戦国時代から天下統一を果たしたのは誰・・・と問われれば、多くの人が織田信長とか豊臣秀吉、さらには徳川家康の名前を挙げるに違いない。
わけても織田信長については、その天才ぶりも含めて人気が高い。だが、最新の歴史的な評価からいえば・・・実は三好長慶だったという。
その点でいうと、今年の大河ドラマはまことに楽しい。コロナの影響でシナリオも変わらざるをえなくなったのは残念だが、主役の明智光秀をはじめ、細川藤孝・松永久秀・三好長慶などこれまであまり描かれなかった人物が違う光を浴びている。
今日紹介する本は、知人から紹介された歴史小説である。小説である以上フィクションだが、史実に基づいて作られたものだけに、極めてリアリティのあるものだった。
この本の主役は松永久秀だが、とかくこれまでのドラマなどで見る彼は悪の権化のような存在だった。
なにしろ、後世描かれた右下の画像が有名だが、ほとんど鬼のような・・・だが、冷静に考えてみれば、彼は初の天下人と言われる三好長慶の名参謀なのだ。
今年の大河では吉田鋼太郎が演じているが、歴史秘話ヒストリアでも、こんな内容で取り上げられている。
事実に基づいて冷静に評価をすれば、彼は忠実に三好家に仕えたのだが、一方の事実でみれば、主殺し、将軍殺し、東大寺の焼き討ちなど、極悪非道のうさんくさい輩とも。
この小説は、そうした得体の知れない松永久秀という人物はいかなる人物か、そしてなぜ信長に仕えることができたのか・・・がストンと理解されよう。
個人的には目新しい事実が・・・ということはなかったが、だけにこの内容がグンとリアリティをもってしみこんできた。
そしてもうひとつ、これは小生の読み違いかも知れないが、今の政治情勢に通じる日本人というもののDNAにまで触れている感じだ。
詳細に触れるのはご法度だから避けるとして、この小説の中で久秀が民について敵と語るシーンがある。
その中で敵がいう「民とは・・・」については、思わずうなづいてしまった。そうそう、今とまったく同じだあ・・・と。
これは日本人の特異性なのか、それとも世界でもそうなのか・・・作者はそれをこの戦国時代のストーリーの中に忍ばせたのではないか・・・って。
読み方や感じ方はいろいろあろう。ともあれ、織田信長の天下の前のストーリーを見る書物としてなかなか面白い本だ。
ちょっと、お勧めしたいなあと。
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