幻のそば屋？

さて、先日桧原村に出かけた話を書いたが、いかに趣味で出かけたとはいえ、そこだけで帰るのも・・・と思い、ちょっと周辺を探索することにした。

　というのは、約２０年前にこの辺を通りかかり、偶然発見した絶品のそば屋があったのだが、その後何度かこの周辺に来たときに探したものの、見つからないまま、今日に至っているからだ。ようし、今日こそ見つけるぞ・・・
　記憶の糸をたどりながら、ある交差点を曲がる。ここまでは、以前も来た。


　うん、この場所の奥に進めたような気がするぞ。よーし、一人の気楽さだ。とことん進めよう。と、道幅も狭くなり、土砂崩れ表示もチラホラ。
　だが、ほどなくそれらしきお店が、目の前に・・・確かこんなに立派な店ではなかったが・・・ただ、雰囲気はこの辺だし、そばが食えるようだ（下写真）。

　入って、ざるそばと野菜天を注文。まずは野菜天が出てきた。右写真のそれだ。写真ではわかりにくいが、大盛りで揚げたて。うわ～っ、美味しい（嬉）
　さてさて、肝心のそばだ。２０年前のあの店だとすると、ずいぶん麺が洗練されているぞ。どれどれ・・・ズルッ、うおっ、こ・これは・・・間違いないあの味だ。

　コシがあり、のど越しがいい。何より素朴な手作りの香りがする。大満足しながら、ご主人におそるおそる問いかけた。
　すると、やはり小生が２０年前に訪れたお店で、今の店構えになったのが平成１０年だという。うわ～っ、これは感激である。

　ご主人に、「あのときのそばの味と、焼きしいたけの味が忘れられなくて、探していたんです。失礼ながら、あの頃はご趣味で週末のみやってらっしゃるとおっしゃってませんでしたか？」と尋ねた。
　すると「あの頃じゃ、不味かったでしょ。今も趣味でやってるんだけど・・・」とご主人の元気な声が返ってきた。

　さらにご主人は、サービスでしいたけをプレゼントしてくれた。また、お店の案内をくれたが、やはり週末のみの営業のようだ。儲けに走っていない姿勢が嬉しい。
　サービスの付き出しも、手作りのきんぴらと新じゃがの煮付け。これまた暖かい味であった。


　うーん、これはもうこれからもちょくちょく行くしかないぞ。この日は、夏には寒い日で、途中からストーブを焚き始めていた。
　帰り際、小屋から立ち上る煙が、またおいでよと小生に声を掛けてくれていた。