6:30出発 二時間掛かる工場まで
電車で出かけた。
ガラ空きの席で、万葉集を読んだ
時間つぶしにと 求めた 単行本
「万葉 花 散歩」
その中に・・・ 心に響く歌があった
つぎね
(いまの ひとりしづか~センリョウ科~とされる)
馬より行くに己夫し(おのづま)歩より行けば たらちねの 母が形見と わが持てる 真澄鏡に 蜻蛉領巾(あきづひれ) 負ひ並め持ちて馬買へわが背」
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つぎねの生える山城道を
他の夫は馬で行くのに
わが夫は歩いて行くので
見る度にひどく涙が流れる。
それを思うと心が痛い。
たらちねの母の形見の真澄鏡に
とんぼの羽ねのように薄く長い布をそえて
ともに背負って市へ持って行き
馬を買えよわが夫よ
万葉人の妻心
寒い朝に、ぽかぽかと暖まる言葉だった