どこか遠くでフッチボル

鹿島サポだが裏の顔は日本代表サポ組織「食う軍」の司令。徒然なるままボソボソと。

旅。長崎漫遊/4月7日

2004-11-04 | TROUBLE TRAVEL
島原ユースの夜は本当に楽しかった。
人の暖かさも感じた夜だ。

ライダーが多いと言う事もあったが、深夜まで旅の話、そして人生観までを話してしまった。
大した人生を送っている訳ではないと言う意識もあって、人生観を話すのには抵抗があった。
しかし、お互いがそれを出し合っていると、いつのまにか心の底から他人と話せるようになってくるから不思議だ。
父親との確執、現在無職の心細さ。
色々話してしまった。
話しすぎたかと、布団に入った時にはちょっとした自己嫌悪も感じた。

寝不足で起きると、雲仙は雨に煙り寒い朝が待っていた。
みんなで食堂で朝食を食べる。
不思議と、全員仲間と感じる。
俺の旅仲間達だ。
今日ユースを発つと二度と会わないだろう。しかし仲間なのだ。

出発準備で雨具を着ていると、昨夜深夜まで語り合った中の二人が話しかけてきた。
確か、二人で旅をしているライダーで、大阪から来ている連中だ。
今日は長崎ユースに泊まる予定と聞く。
雲仙からは山を越えて長崎は直ぐそこだ。
長崎はゆっくり観光したいと思っていたので、同行することにした。
彼らは、SRさんとGPZRさん。楽しい一日になりそうだ。

昨夜語り合った仲間達と集合写真を撮る。
写真を撮る時、みんなで声にならない奇声を上げた。
最高の笑顔で、薄汚れた旅仲間達との一瞬はフィルムに焼き付けられた。

雨の中3台のバイクは走る。
俺は最後尾を走る。
前のバイクが跳ね上げる水は、土を含んで後が残る。
バイザーに付く泥水は視界を妨げる。少し距離をとって走った。

雲仙普賢岳を横目に温泉地を抜ける。
温泉の文字には心が騒いだが、一瞬で歓楽街は抜けた。
山を下り始めると、直ぐに長崎が見えてきた。
小さな湾に密集する古ぼけた町。
港に停泊する船と町のコントラストは、どこか異国を感じさせるものだった。

今日はまず長崎ユースに荷物を置きに行った。
今迄で一番大きなユースで、建物もコンクリート製。一見して学校のような雰囲気を持っていた。
部屋も大部屋で、一人一人ベットがある。一部屋は10人程度泊まれそうだった。
コインランドリーもある。
今夜は久しぶりの洗濯だな・・・洗える事が最近楽しみだ。


       ◆長崎ユースです◆

荷物を降ろしたバイクは、本当に軽く感じる。
気持ちも軽く、3台は再び長崎の町に出発。
観光のみの一日。
旅に出て初めての経験か。
バイクの走行距離があまり伸びなくなってきた。
心に余裕が出てきたのか、家に戻るのを遅くしたいのか・・・。

大浦天主堂に向かう。
バイクは土産物屋に置かせてもらい、歩いて坂を上っていく。
皮パンツに、フライトジャケットの格好の俺。
観光客の中に入ると、気恥ずかしい気分になる。
門で写真だけ撮り、グラバー邸へ向かう。
庭から見る長崎港の雰囲気に圧倒される。
商船、タンカーなどに混ざって、軍艦も見える。
夜になると、それは夜景が綺麗だろうな・・・楽しみでワクワクした。

俺の希望で、散歩がてら商店街を歩く。
行きたかった店があるのだ。
長崎カステラで有名な福砂屋さん。
カステラの下の部分に粗目の砂糖が付いていて、ボリボリ言わせながら食べる。
口の中を想像で甘くさせながら店を探した。
以外にコジンマリした店で驚くが、とても雰囲気がいい店だった。
カステラを2本購入。
いつ食べるんだ?
そう思ったが、せっかく行ったんだからと買ってしまったのだ。
試食を食べた時点で、目的は達成していたんだけどね。


     ◆老舗の福砂屋さん◆


 ◆粗目砂糖が美味しいカステラ◆

オランダ坂、眼鏡橋等を見物しながらバイクで走る。
初めて路面電車を見た。
道を走る電車に戸惑う。どこを走っていればいいのか、ドキドキする。
意外に遅いな・・・抜いていいんだよな・・・。
そして、路面電車の線路が滑る事に気が付いた。
タイヤの角度を気をつけないと、線路で転倒してしまいそうだった。

長崎ユースは夕食がなかった。
なので3人で長崎皿うどんを食べに行った。
初めて食べる皿うどん。
ワクワクしながら30分近く待つと、運ばれてきた料理は間違っていた。
うどんを頼んだのに、見るからにその面は細い・・・。
皿うどんを頼んだのに、テーブルに運ばれてきたのはカタ焼きそばだったのだ。
「すみません、頼んだのは皿うどんなんですが・・・」
心細く言うと。
「これですよ」
あっけなく言われた。
えっ!?
うどんと言うから、俺のイメージは“焼きうどん”だったのだ。
これが皿うどんって言うのかぁ。
恥ずかしさと、美味しさで、ニヤニヤしながら3人で食べた。


   ◆いまだに思う。これ固焼きそばだろ!◆

一度ユースに戻る。
やっておかなければいけない洗濯を始める。
今夜は夜景を見に行くので、早く終わらせなければ。
結局出掛ける事が出来たのは8時過ぎてしまった。
ユースには門限がある、夜景をのんびり見ていられる時間はさほど取れそうもなかった。

慣れない夜道を、長崎港の対岸にある稲佐山を目指す。
夜景が有名なスポットらしいので、せっかくならと目的地にしたのだ。
数度迷った。
道は細い山道だった。
時間は掛かったが、頂上のアンテナ施設が見つかると、そこは結構な人だかり。
景色を見たとたん絶句してしまった。
何と言う綺麗さ・・・。
宝石をちりばめたとは、こういった景色を言うのか。
この光の一つ一つは人々を照らす小さな明かりの集合帯。
中には小さく動く光もある。
人が作っている光なんだな・・・。
当たり前のことだが、その事に感動してしまった。

ユースに戻ると、昼間買ったカステラを開ける。
2本共だ。
一人で食べても美味しくない。みんなで食べた方が美味しい。
そう思い、同室になった人に声を掛けた。
「長崎カステラ買ってきたんだけど、食べたい人は取りにきて。」
俺のひとかけらを残して、みんなに食べれられてしまった。
まっ、いいか。

“遠慮して食えよぉ”

心で呟きながら、ニヤニヤ顔で俺は布団に入った・・・。


つづく・・・・。

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 天気:雨のち曇り
 時間:9:00~21:30
 距離:100km
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※写真はWEBから拾ったものです。旅中の写真アップは少々お待ちを!