水の張られた田に


早苗が植えられ
青々とした田の面を
燕が 高く低く 飛ぶ
昔から 今も変わらぬ
里山の風景
さて 正岡子規の
墨汁一滴 から ひとつ
「夏目漱石と高等中学に居た頃
余は
牛込の喜久井町に住んでいた
漱石の家へ行った
そこは田圃から
一丁か二丁しか
隔たっていない処で
漱石はそこで成長したのだ
六月の頃とて
二人は田圃を散歩した
水田に植えられたばかりの苗🌱が
風にそよぎ
誠に善い心持ちであった
余がこの時驚いたのは
漱石は
我々が平生喰う処の米は
この苗🌱の実であることを
知らなかったいふことである
もし都の人が
一匹の人間になろうといふのは
どうしても鄙住居〈ひなずまい〉を
せねばならぬ」と
呟き書いている
さて 漱石の心持ちは・・

自分の姿かたちは
親からもらったもので
どうも いまひとつ・・
とのご意見
確かに 身体髪膚
耳・手足の指の形から
顔のパーツ ひとつひとつまで
染色体レベルで
血脈から頂戴したもの
気に入らない部品も
漏れ無く付いてくる
が
二十歳を過ぎたら
後は自分でみがく
表情・所作・挙措に
心を配り
居住まいを正し
佇まいや醸しだす雰囲気を
洗練させてゆく
美しい人とは 即ち
心情の美しい人のことでしょう
「みんな違って みんないい」と
金子みすゞの詩にあります
仲良く美しく
歳を重ねてゆきましょう
