もちろん、レミングは嘘をついたりしない。
嘘をつくのは、いつも人間だ。
レミングは「死の行進」など行わない。
数が増えると集団で海に飛び込む、というのは真っ赤な嘘だった。
では、なぜそういうイメージが広まったのか。
それは、1958年に制作されたディズニー映画「白い荒野」のヤラセ。
おいおい、またもや「ディズニー」かよ。ご丁寧に「一種の強迫観念が小さな齧歯類を捉え、理不尽なヒステリーによりレミングの集団を奇妙な運命へと誘っていった」というナレーションまでついているらしい。
実は、レミングの「集団自殺」について、ずっと頭の隅に引っかかっていた。
動物の行動から人間のことを考えていたからだ。
なかなか理解できなかったし、人間の行動を類推したことさえあった。
まんまと「ディズニー」の策略に嵌っていたわけだ。
最近になってやっと、それが嘘だとわかってすっきりした。
それにしてもこの映画には、「人間ももしかしたら」と思わせる意図があったのではないかと思う。
話変わって、水に飛び込むカマキリ。
泳げないはずのカマキリが水に飛び込むしい。
ハリガネムシは、水中で孵化してカゲロウ等の幼虫に食べられる。その後、成虫となったカゲロウがカマキリに食べられると、ハリガネムシはカマキリをマインドコントロールして水に飛び込ませる。カマキリは魚の餌となり、ハリガネムシは水中で産卵。
このカマキリとハリガネムシの関係も、いろいろなことを考えさせてくれる。
「高齢者は集団自決を」なんて言った人がいたが、この発言の一番の問題は、「集団自決」という言葉を軽々しく使っている点である。
レミングの件も上記のことも、書くことによって、誤用や乱用を助長してしまうかもしれないという危惧はある。