
23年前、スペインに行きました。
宿を決めないひとり旅です。
おおまかに申しますと、バルセロナ→セビリア→マドリッド→バルセロナという旅程で、3週間ほど。
バルセロナ五輪やセビリア万博が開催された年だったので、どこの街も活気に溢れておりました。
バルセロナ空港から市内へ国鉄で行くのですが、車内でニッポン人3人と知り合う事となります。
旅は道連れ世は情け。
オンナのコ2人・オトコのコ1人・そして僕の計4人はニッポン人が経営する宿を目指しました。
もちろん、予約などしておりませんでしたが4人部屋なら空いてる、という事で投宿決定。
オンナのコ2人も個人旅行をするくらいなので、なかなか肝が据わっており、オトコ2人と相部屋でも構わないとの事。
宿は新市街といわれるトコで、グラン・ビーア(大通り)沿いでした。

荷を解いた僕らは早速街歩きに。
宿を出て数分しますと、血相を変えたニッポン人男性2人が僕たちに寄って来ました。
あまりの形相に僕なんかは少しビビったものです。
片方のニッポン人が『日本大使館はどこですか

どうしたのか、と問うと相方がマスタードマンに遭っちゃったらしい。
マスタードマンってのはご存知の方の多いかと思いますが、旅行者にマスタードをブっかけ、そのヒトがあたふたしている間に、財布や荷物を盗る、という至極オーソドックスな窃盗を行う不届き者の事。
似た様なヤツでワインマンなんてのもいるそうです。
マスタードマンに遭い、パスポートや財布を盗られちゃったヒトは意気消沈しており、その相方が激昂する、という珍しい図式でありました。
【地球の迷い方】の地図を広げて、日本大使館の場所を教えてあげましたが、やはり頭に血が上っているせいか、ロクに感謝の言葉もありません。
バルセロナ到着1時間程度で遭遇した、この出来事はその後の旅に多大な影響を与えました。
『自分の身は自分で守るしかない』と。
気を取り直した僕たちは、まずは完成してないのに世界遺産に登録されたサグラダ・ファミリアへ。
ふたたび、ここでも犯罪に巻き込まれる事となります。
被害者は道連れのオンナのコのひとりでした・・・。

サグラダ・ファミリアでパチリ。
内部は落書きだらけ。ニッポン語のモノもありました。実に嘆かわしい。
『孤独という切符を買ってでも、自由な旅人でいたい』戸川昌子(日本の推理作家・1933~)