伝説とは、古代ローマのキンキナトゥスが畑仕事の最中に元老院から呼び出され、半年間の限定で全権を委任された。蛮族との闘いに勝つと、即辞任して畑へ戻った。この間わずか16日だったという。
「潔く有能な人材はどの時代にも求められる」という天声人語子の11/21の朝刊から、標題はすこぶる秀逸な締めの言葉を引用させてもらった。
古今東西、青い芝生が羨ましい国民はことのほか多い。昨今、政治家の人材難には途方に暮れる事態だからである。
『何でそうなるの!』
社会の安定期に入っていることが最大の要因である。そんな時代の要請は、キャリア重視一辺倒である。
1.世襲議員 ⇒適性試験がパスされ、口頭試問のみ
2.中央官庁の役人上がり ⇒事務次官競争から早々の転向組か脱落者
3.政治家養成塾 ⇒とことん拘り屋と看板のみの現実主義者
4.テレビでの知名度 ⇒大衆人気と好感度重視は見てくれ勝負
5.組織のお墨付き ⇒派閥ボスの一声に全面服従の忠誠心
こんなキャリアが重視される結果、庶民派がどうしても少ない。そうなると、優等生か特待生ばかりになって人間らしさや方言を話す者がい無くなってしまった。中には、地元に住まずに地元の票で当選する猛者まで現れるようになって、伝説のキンキナトゥスが夢のまた夢になっている。