よろずウッド工房(西宮市山口町船坂):国産木材、注文家具::定休日:毎週水曜日

よろずウッド工房さんの一角で手作り木工してます。欅、栃、桜、檜等の無垢一枚板のダイニングテーブルやTVボードも

アリ桟加工

2015年05月12日 | 工法、治具、工具

以前に投稿した、「寿司のネタ箱」の蓋に付けた「アリ桟(吸い付き桟)」の加工法を紹介します
アリ桟は台形のホゾを板にスライドさせて送り込み、板の反り防止と同時に板の収縮に対応するため、接着材はつかいません。桟の長さを板の幅と一致して加工しても、使っているうちに板が収縮してくると、桟が飛び出してきます(普通はほんの少しですが・・)。
※木は乾燥すると、繊維方向には収縮しませんが、繊維と直角(幅)方向には収縮します。収縮の度合いは木の質や乾燥度合いによりことなりますが、以外と収縮するものです。幅が300mm以上の場合はこの「収縮」を計算にいれた加工が大事だということです。 

アリ溝とアリ桟から構成されます。
まず、アリ加工の注意事項から
1.アリ溝は先端に行くほど少し細くテーパ(1mm/300mm程度)を付けます。
  テーパーを付けることにより、桟を滑らせて入れ、目的の位置と硬さでぴたりと納めることができるのです。このテーパーの方向は左右逆にします。
2.アリ溝はアリ桟より若干( 1mm以内)深くしクリアランスをとります。
  クリアランスを取ることにより、アリ桟の導突面がぴたりとおさまり、いわいる(吸い付き桟)となるわけです。

では、実際の加工法です
まず、アリ溝からですが、アリ溝はトリマで彫ります。トリマのビットをセットして、本体加工の前にサンプル加工をして、ガイドと溝の位置関係の寸法を把握しておきます。

 

加工板にガイドを取りつけます。このガイドは前後で幅を調節できるようにしてあります。これで、1/300のテーパ(先細り)に調整します。



 トリマは、まず左のガイドに沿って進め、向こう側まで貫通したら、そのまま、右側のガイドに沿って戻ってきます。
これで、「アリ溝」の完成です。
※荒取り加工:アリ溝の深さや材料によりますが、予めアリ溝より少し小さめの溝をかきとっておきます(トリマの直ビットや溝切りなどで)、こうすることにより、無理なく精度、仕上がりがよくできます。

次はアリ桟。


トリマのビットにコロを付けます(コロがない場合はトリマにガイドを付けます)。
アリの深さは溝よりわずか(1mm以内)浅くセットします。
これも、サンプル加工を行って、材料の幅とアリ部分の寸法を正確に把握してから、材料の寸法(先細り)を決めテーパーを付けた棒を作ります。この棒状の材料にトリマをあてていけば「アリ桟」ができます。
材料の幅は、最初はやや大きめにしておき、アリ加工をして、溝に沿わせてみて、きつければ少し削ってから、またアリ加工・・これでぴたりとはまるまでがんばります。
なお、桟の長さは必要な長さよりすこし長めにしておけば、細くなりすぎても先端をおとせば大丈夫!(^^ 

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三枚・五枚・あられ組み接(4・・完)

2015年04月07日 | 工法、治具、工具

雄木の両サイドの切り取りです。通常はノコギリで切り取るとおもいますが、「すばやく、正確に」スライドソーでやってみました。

 

 

マキタのスライドソーには・・モーターの横に写真のy0おうなレバーと、その上に蝶ネジがついています。これで、切り込みの深さを調節することが出来ます。 

 

 

このレバー・・・通常は閉じた状態で、その上の蝶ネジが通過するようになっているので、材料が切断できています。このレバーを開けると、蝶ネジが当たって切り込み深さを調節できるようになります。

 

 

切り込み深さはこれで調節可能。切り込み位置は宛て木を固定して決めます。

 

 

これで、両端の切り取りはスピーディ!!。特に多くの材料を加工する時は効果てきめん

 

三枚・五枚・あられ組み接・・・完

 

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三枚・五枚・あられ組み接(3)

2015年03月29日 | 工法、治具、工具

組み接ぎの「雌木」と「雄木」の切欠き部分の縦引きを行っていきます。 ノコ刃とフェンスの幅を切欠き幅に合わせて、送り込みます。

 

 

板をフェンスに直角に当てて送り込む必要がありますが、板を手で持って送り込むにはチョッと無理があります。また、危険でもあります。そこで、一本の捨て木を用意、木口をきちっと直角にカットしておきます。材料をこの捨て木にあてて、ゆっくり押し込みます。これなら、安全にかつ直角におくり込むことができます。

 

雌木の第一面めをカットしたら、フェンスはそのままで、雄木の第一面目をカットしていきます。このとき、材料をノコ幅分だけ右に移動する必要があります。ノコ幅は1.6mmですが、アサリの分も含めて調整します(サンプルでやってみるしかないです)。私の環境では、「1.8mmのアクリル板に紙1枚」丁度いい。

 

 

これで、丁度、雄木のカット面になり、この方法で各面をカットすると・・・ぴったりおさまります。

 

次は不要部分のカットになります。雄木の両端はノコで取ります。その他の部分はノミでとります。

 

次回は雄木の両端を「スライドソー」で取る方法です。 

 

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三枚・五枚・あられ組み接(2)

2015年03月27日 | 工法、治具、工具

五枚組み継・・このような加工が必要で、凸と凹をいかに正確に刻むかが課題です。

 

 

正確に墨をつけ、正確に加工すればいいわけですが、時間と精度・・手じかな機械でやれないものか

 

 

マルノコを専用台に取り付けて、フェンスを作って取りつける。※マルノコ台の付属のフェンスは使えません(正確に設定できない)フェンスの直角と高さがミソ。・・自作しかないでしょう。切り込みの深さと幅を正確に合わせて、材料を立てて送り込むわけですが、これなら、墨付けの必要もなくなります(^^。

 

ところで、フェンスとマルノコ台はクランプで固定するわけですが・・市販の台のままでは、クランプがつかえません・・・裏技をご覧ください↓。 

 

 

クランプを挟むところに、予め宛て木を両面テープで張り付けておきます。これに、材料を立てて送り込むわけですが・・・安全と精度⇒送り込み治具(棒)が活躍します。また、次回。 

 

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三枚・五枚・あられ組み接(1)

2015年03月22日 | 工法、治具、工具

木工の組み手の代表挌の一つ・・三枚組み接ぎ、五枚組み接ぎ、そして細かく刻むあられっ組み接の作り方。
初心のころは、すべてノコとノミでやってましたが・・もう少し能率よくしたいと機械加工を採用して工夫しました。
 でも、特殊な専用機械をつかうのではなく、マルノコの活用です。

↓これは、五枚組み継です。ただ、このように板厚より細かい組み次はあられ組み接ぎと呼ばれます。 

↓こうなると、あられ組み接ぎ

 

正確な作業の繰り返しではありますが、あまり神経をとがらせないでも、自動的にきちっと合う組み接ぎの加工方法になります
 

次回から、順をおって紹介していきます。

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グリンテックK2:これなかなかのすぐれものです・・カンナ研ぎ

2015年03月18日 | 工法、治具、工具

かれこれ、1年前に買ったものですが、なかなか諜報してます。
カンナやノミを研ぐ・・我々素人には、なかなか難しいものです。どうしてもマル研ぎになってしまいます。
グリンテックK2        8500円


ちょっと高価ですが、研ぎ角度を微調整することができ、ほぼ完全に「真っ直ぐ」研ぐことができます。仕上げ研ぎでは、砥石としのぎ面が吸付いてしまって・・・・砥石を前後固定しておかないと研げません。
また、使い込んで短くなった刃もセットすることができます。

調整機能が厳密なのはいいのですが・・・・その分、設定がやや面倒!!?
何枚かの刃を研ぐとき、いちいち正確に設定を調節しなければなりません。
・・・ま、当然といえば当然のことですが・・・


 研ぎ角を決めるポイントは「刃先とローラの距離にあります。これを一定にするには・・・・・

この様な、治具を作成しました。
本体の固定ネジを緩めた状態で、刃先とローラを治具に合わせます。その状態で固定ネジを締める。
これ一発で研ぎ角がきまります。
これなら、なんまいでも、そして、その日の気分にも関係なく同じ角度で研ぐことができます。

 


治具の構造はいたってかんたん。刃先をあてる部分は固定し、ローラをあてる部分は可動式(クランプでつかむ)にしました。
研ぎ角に問題なし・・・となれば、ローラを充てる部分も固定し、
研ぎ角に合わせて、この治具を何枚か作っておけば・・鬼に金棒!??

結構、快適です(^^。
仕上げ研ぎの際は、「砥石の固定」をお忘れなく!

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八角ゴミ箱の作り方(その3:組立)

2015年03月16日 | 工法、治具、工具

前回までで、「八角睡輪切り」の部品ができました。これをボンドではりつけていきます。

 

 

外側になる面を上に向け、メンディングテープで張り付けます。

 

立てて、内側に曲げていきます。 これで、ぴたりと八角形におわまれば、部品の加工はOKです。 終端を付けた時、妙に離れようとしたり、あまりにもたやすく終端したりしたときは、角度の調整に不備があった?・・・カンナ等で調整してください。

 

うまくいったら、ひっくり返して、接着面にボンドを付けます(写真なし:すみません(._.)。最後の工程・・・おこして、貼り付けです。 

 

 

メンディングテープは付けたまま、紐等でぐるぐる巻きにして固定します。このまま、ボンドが乾くまで、放置。そのあと、底板・・もちろん八角形!、上の蓋・・・これももちろん八角形。そして、上の蓋の円い蓋・・もちろん円形以上で、出来上がりです。きれいに磨いて、オイルフィニッシュで・・・・・完成!!!! 

 

八角形の蓋と円形の蓋・・・そのはめあいに注意!。普段のゴミ箱では、円形の蓋を開けて、ゴミを入れます。・・円形の蓋の抵抗と、八角形蓋の抵抗を、うまく調整しないと、思わぬ動きをします。⇒失敗してみれば、良くわかります。はめあいの具合を調整して、普段は、円形の蓋だけが、外れるようにするのが、コツです。出来てから、もう2年ほど使ってますが、接着面がはがれるなどのトラブルもなく、安定しています。加工にはシビアなところもありありますが、単純な組み合せで出来る「開運!八角形ゴミ箱」 ・・でした(^^。

 

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八角ゴミ箱の作り方(その2:木取り)

2015年03月12日 | 工法、治具、工具

材料は、欅の板(7~8mm)です。まずは、250mm×200mmの板を8枚用意します。

これを、テーパー(22.61°)を付けて、おおぎ型にカットするわけですが・・
扇形の開き角(88.3°)の治具を2枚作ります。

 

そして、昇降盤のノコの角度を22.6°に傾けます。

22.5°ではなく、22.6°です。この微妙な角度が、あとの仕上がりに大きく影響します

扇角度の治具を一枚あてて側面をカットしていきます

片面のカットが終わったら、もう一方の面をカットします

この時、扇形の治具を2枚かませます(写真では分かりにくいですが・・)
2枚とも手前側に広い方をもってきます。

8枚共、両面カットできました・・・

 

ここまでできたら、次は「組立」です。ボンドで接着するだけですが、ちょっとしたコツがあります。
ではまた、次回。 

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八角ゴミ箱の作り方(その1:設計)

2015年03月09日 | 工法、治具、工具

とかく部屋の欠点になりがちなゴミ箱。きれい木製のゴミ箱なら、部屋のアクセントにもなります。
欅(ケヤキ)の端材(薄板)を使って、ゴミ箱を作ってみました。結構うまくでき、家族等にも好評!!でした。
その、作り方を説明します。・・・・木工愛好家のみなさん、ぜひトライしてみてください。

まずは、完成図・・・こんなのを作ります

  ←図面です・・・大きく表示してご覧ください。

 直径200mm、高さ250mmの八角形ですが、八角柱ではなく、4°転んでいます。
8枚の板をボンドで接着するだけの簡単な構造ですが、正確にカットすれば、十分実用に耐える強度に出来上がります。
 八角柱だと、接着面の角度は22.5°ですが、転びがあるので、わずかながらこの角度が大きくなります。図面で求めたところ「22.61°」となりました。この微妙な角度での加工が「ミソ」です。

・・・・画像の枚数がかなりありますので、何部かに分けて投稿します・・・・ 

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