「めげないで」2000/4/1
大野隆司
本棚の整理をしていたら、絵本が出てきた。
もうずいぶん長いこと読んでいなかった本...
読んでいたら、うわー何これ!何これ!
思わず涙が出た😿
たぶん20年ぐらい前に購入した本で、大野隆司さんの直筆のサインもあった。
どういういきさつで買ったのか、よく覚えていないのだけれど
やっぱり初めて読んだときは泣いた記憶がある。
本の帯を見ると「話題の版画家・大野隆司の大人のための短編童話集」とあり
収録されている作品は「めげないで」「サンタクロースの弟子」「声」
童話集というより、木版画の絵本と言う感じでしょうか。
版画で描かれた猫ちゃんたちが可愛かったです。
「めげないで」
(本文より)
「だいじょうぶ?がんばってね」
口先だけで、なぐさめないで。
わたしのつらさは、わたしと同じ苦しみを体験した人にしかわからない。
今のわたしは素直になれない。
・
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わたしが何をしたというの。
わたしは何もしていない。
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他人の笑顔がにくらしい。
他人のしあわせがねたましい。
みんな地獄へ落ちればいいんだ。
あっ。
(仔犬が倒れているのを見つける)
わたしには関係ない。
わたしには関係ないから。
わたしには関係ないんだから。
わたしには関係ないんだけど。
「いちばん近い動物病院へお願いします。」
(タクシーを拾う)
「どうでしょうか?」
(動物病院にて)
「......」
死なないで、お願い。
「だめですか?」
「......」
「そうですか」
わたしの心は動かない。
やっぱり凍ってしまっているんだ。
「ん」
(獣医さんが自分の手を主人公の手に添える?握る?)
これってセクハラ?
「泣いていいんですよ」
仔犬が死んだくらいで泣きません!
そう言おうと思ったのに、
急に涙があふれてきて
今までがまんしてきたいろいろな思いが、
頭に広がってきて
こんなはずじゃないんだ。
ずっとがんばってきたんだ。
泣いちゃだめだと、
言いきかせてきたんだ。
(主人公大泣き)
「はい、この子」
(獣医さんが仔犬を手渡す)
え!生きている!
どうなっているのだろう。
わたしの頭は混乱している。
「あなたのほうが、この子よりずっと傷だらけだったから、
傷の手当てをさせてもらったんです。」
(獣医さんからの言葉)
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・
わたしは、ほんの少し元気になった。
(仔犬と暮らすようになる)
・
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・
生きていくってたいへんだ
でも
めげないで!ね
(本文は一部省略しています)
主人公が何に傷つき、心を閉ざしてしまったのかはわからない。
わからないけれど、すごく心の中にため込んでいたんだろうなあということはわかる。
本当に生きていくってたいへんだよね😿
主人公がほんの少しでも元気になってよかった。
つらさや苦しみを自分の中に抱え込んでしまうと、いつか張りつめた糸がプツンと切れてしまう。
難しくとも、その都度吐き出して向き合うことが大切なんではないか、と
最近つくづく思います。