平成21年6月23日(火)富山県滑川や魚津市の観光を終え、黒部市まで愛車エステイマを走らせやってきた。
国道8号線の日本海側にある県道を走っている。広々とした水田地帯で右側には 北アルプスの山陵が霞んで見えている。道路脇に建てられた看板には湧水と書かれたものが多く見かけられている。たまたま通りかかった所に、 「扇状地湧水公苑」 と書かれた小さな公園があった。何かと思い、立寄って見ることにした。
道路を挟み、左右に公苑が分かれている。
左側にはコンクリート製の建物が造られ、その中央には回廊の様な丸い柱が数本立てられ、その上には藤の花木が緑の葉を広げている。
中央の部分には女性の像が立ち、その奥にはギリシャ神殿造りを思わせるような丸柱の搭が数十本建てられている。その中央には円形にできた噴水搭があり、静かな噴水を吹き上げている。
私は湧水とか、名水とか、水にまつわる所には色々と行っているが、このような湧水公苑(こうえん)は初めてで、興味が湧いてくる。
この「扇状地湧水公苑」は、黒部川の扇状地にできた公苑で、黒部の水の恩恵を受け、中央にある噴水も自噴水で吹き上げるという、全国的にも大変珍しい噴水である。
水は生命の源であり、明日への活力を与えてくれる、水の大切さや美しさを広める為に、環境庁では、身近で清楚な水であって、古くから地域住民の生活に溶け込み、住民自身の手によって保全活動がなされてきたとして、昭和60年に 「名水百選」 を選定し、黒部川扇状地湧水群もそのひとつに選んでいる。
この湧水群は、黒部川の水が扇状地の砂礫層に浸透し、再び自噴水として、また、湧水として扇状地の先端の海岸付近に湧き出しているもで、地元では「ほりぬき」と呼ばれ、現在も生活用水として、この付近の人たちに多く利用されている。
黒部川のデルタ地帯にできた 「扇状地湧水公苑」
「扇状地湧水公苑」 中央には湧水聖女の像が立っている
湧水聖女の像 公苑中央で自噴水で吹上げる噴水
黒部川扇状地湧水群を形成する大きな要因は北アルプスにある。
黒部川は北アルプスの中央部に位置する黒部奥山の鷲羽岳に源を発し、立山連峰と後立山連峰の間に2,000m近くにも及ぶV字形の深い谷を刻み、急勾配の中を短時間で北流し、黒部平野に達し、日本海に注いでいる。
黒部川の上流部分には、全国的にも名高い黒部ダムや黒部渓谷のトロッコ電車などがある。
黒部川は水に溶けにくい硬い岩の間を流れるため、その水質はカルシウムや鉄などの成分が少なく、軟水であり、清らかな水質を持っている。
又、黒部奥山に降る大量の雪は、高地のため夏になってようやく溶け始め、真夏の渇水期にも豊かな水量をもたらしている。高い山は、いわば自然のダムとなっている。
黒部の地表水は黒部平野の田畑を潤し、特産物を育て、黒部の地下水は富山湾海底から湧き出し、魚介類に豊富な淡水性のミネラルを与え、日本有数の漁場を形成している。
また、その地下水の一部は地表に湧き出て、古来から“清水(しょうず)“として人々の生活を潤し、地域住民からも愛され続け大切に活用されている。
水量は、宇奈月地区で年間28億トン、そのうち約14億トンは発電兼灌漑用に分水され、残り14億トンは黒部川本流に流れるが、それぞれの一部は共に広い扇状地内で地下水となり浄化されている。
地下水は、扇央部では、飲料水などの生活用水や工業用水に使われ、扇端部では、湧水や自噴水となり、その一部が「黒部川扇状地湧水群」を形成している。
毎年7月31日には 黒部川 水のコンサート&フェスティバルが黒部川河川公園で開催、日本有数の清流「黒部川」と流域住民が一体となって「水」にこだわった様々なイベントが繰り広げられている。
ギリシャ神殿風に造られた広場 中央には自噴水が造られている
公苑中央の一番奥に作られている泉と水に関わるモチーフ
この公苑は、黒部川扇状地に点在する湧水群のシンボルとして入善町が整備した公苑で、この一帯にしか見られない自噴水を利用し、水の動態をさまざまに表現しているようである。
また、入善町では、水質保全活動を推進するため地下水の総合研究を実施して、名水を保存し、水に親しむことができるような計画も進められている。
滾々と清水が流れ清潔に保たれている生地地区の共同洗い場
ここは、松尾芭蕉が越中巡遊のおり、道場の庭に湧く水を見て、その道場を「清水(しょうず)庵」と命名したそうである。
富山県黒部市生地地区は、海岸近くに位置するものの、黒部川扇状地の湧水群として名水百選に選定されている 「名水の里」である。
黒部川扇状地の一角を占める生地地区には、湧水を利用した清水が18ケ所もあるといわれ、その内写真のような共同洗い場が6か所もあって、地元の皆さんにはなくてはならない存在になっている。
どこの共同洗い場も写真のように掃除が行き届き、清潔に保たれた洗い場で、訪れた人たちにきれいで豊富な水と共に感動を与えているようである。
「水と歴史の町 清水(しょうず)の里 生地(いくじ)へようこそ」 の看板が掲げられている。
この生地地区の清水・共同洗い場は、現在も湧出した水を、飲用や野菜、衣類の洗い物に利用している。
「とやまの名水 清水庵の清水(しみずあん の しょうず)」と書かれた 碑が立てられている。
黒部には生地地区の共同洗い場以外にも、名水を楽しむために整備された施設が多くある。
JR生地駅前にも清水の里と呼ばれ、清水が湧き出る水飲み場があり、のどを潤す憩いの場として、地元住民に親しまれている。
生地から少し離れた黒部市荻生(おぎゅう)地区には、江戸時代から旧北陸道の旅人に休憩の場として親しまれた箱根の清水もあるようである。
名水のあるところには必ずといっていい程、周りには豊かな自然がある。
昨年の夏訪れた富士山周辺の富士五湖や、忍野なども富士の恵みを受けた名水が多く見られる。
ここ富山県立山周辺も、自然豊かな水の恵みを受けている地域で、その多さには驚かされる。
私達人間にとって水はなくてはならない大切なものであるが、都市部では環境破壊による水質汚染がすすみ、社会の大きな問題としてクローズアップされ、その対策が急がれている。
大切な水質は、豊かな自然をもたらす山々の森林にあり、ブナなどの森林を経由して育んできた水が、豊かな河川をつくり、栄養分を含んで海に注ぎ、豊かな魚場を形成している。
地球温暖化などの環境問題が世界中で叫ばれる中、私たちは身近な水や森林などに興味を持って、人々に潤いと憩いの場を提供できる環境作りに、貢献していきたいとの思いを、強く感じさしていただいた今回の気ままな旅であった。
国道8号線の日本海側にある県道を走っている。広々とした水田地帯で右側には 北アルプスの山陵が霞んで見えている。道路脇に建てられた看板には湧水と書かれたものが多く見かけられている。たまたま通りかかった所に、 「扇状地湧水公苑」 と書かれた小さな公園があった。何かと思い、立寄って見ることにした。
道路を挟み、左右に公苑が分かれている。
左側にはコンクリート製の建物が造られ、その中央には回廊の様な丸い柱が数本立てられ、その上には藤の花木が緑の葉を広げている。
中央の部分には女性の像が立ち、その奥にはギリシャ神殿造りを思わせるような丸柱の搭が数十本建てられている。その中央には円形にできた噴水搭があり、静かな噴水を吹き上げている。
私は湧水とか、名水とか、水にまつわる所には色々と行っているが、このような湧水公苑(こうえん)は初めてで、興味が湧いてくる。
この「扇状地湧水公苑」は、黒部川の扇状地にできた公苑で、黒部の水の恩恵を受け、中央にある噴水も自噴水で吹き上げるという、全国的にも大変珍しい噴水である。
水は生命の源であり、明日への活力を与えてくれる、水の大切さや美しさを広める為に、環境庁では、身近で清楚な水であって、古くから地域住民の生活に溶け込み、住民自身の手によって保全活動がなされてきたとして、昭和60年に 「名水百選」 を選定し、黒部川扇状地湧水群もそのひとつに選んでいる。
この湧水群は、黒部川の水が扇状地の砂礫層に浸透し、再び自噴水として、また、湧水として扇状地の先端の海岸付近に湧き出しているもで、地元では「ほりぬき」と呼ばれ、現在も生活用水として、この付近の人たちに多く利用されている。
黒部川のデルタ地帯にできた 「扇状地湧水公苑」
「扇状地湧水公苑」 中央には湧水聖女の像が立っている
湧水聖女の像 公苑中央で自噴水で吹上げる噴水
黒部川扇状地湧水群を形成する大きな要因は北アルプスにある。
黒部川は北アルプスの中央部に位置する黒部奥山の鷲羽岳に源を発し、立山連峰と後立山連峰の間に2,000m近くにも及ぶV字形の深い谷を刻み、急勾配の中を短時間で北流し、黒部平野に達し、日本海に注いでいる。
黒部川の上流部分には、全国的にも名高い黒部ダムや黒部渓谷のトロッコ電車などがある。
黒部川は水に溶けにくい硬い岩の間を流れるため、その水質はカルシウムや鉄などの成分が少なく、軟水であり、清らかな水質を持っている。
又、黒部奥山に降る大量の雪は、高地のため夏になってようやく溶け始め、真夏の渇水期にも豊かな水量をもたらしている。高い山は、いわば自然のダムとなっている。
黒部の地表水は黒部平野の田畑を潤し、特産物を育て、黒部の地下水は富山湾海底から湧き出し、魚介類に豊富な淡水性のミネラルを与え、日本有数の漁場を形成している。
また、その地下水の一部は地表に湧き出て、古来から“清水(しょうず)“として人々の生活を潤し、地域住民からも愛され続け大切に活用されている。
水量は、宇奈月地区で年間28億トン、そのうち約14億トンは発電兼灌漑用に分水され、残り14億トンは黒部川本流に流れるが、それぞれの一部は共に広い扇状地内で地下水となり浄化されている。
地下水は、扇央部では、飲料水などの生活用水や工業用水に使われ、扇端部では、湧水や自噴水となり、その一部が「黒部川扇状地湧水群」を形成している。
毎年7月31日には 黒部川 水のコンサート&フェスティバルが黒部川河川公園で開催、日本有数の清流「黒部川」と流域住民が一体となって「水」にこだわった様々なイベントが繰り広げられている。
ギリシャ神殿風に造られた広場 中央には自噴水が造られている
公苑中央の一番奥に作られている泉と水に関わるモチーフ
この公苑は、黒部川扇状地に点在する湧水群のシンボルとして入善町が整備した公苑で、この一帯にしか見られない自噴水を利用し、水の動態をさまざまに表現しているようである。
また、入善町では、水質保全活動を推進するため地下水の総合研究を実施して、名水を保存し、水に親しむことができるような計画も進められている。
滾々と清水が流れ清潔に保たれている生地地区の共同洗い場
ここは、松尾芭蕉が越中巡遊のおり、道場の庭に湧く水を見て、その道場を「清水(しょうず)庵」と命名したそうである。
富山県黒部市生地地区は、海岸近くに位置するものの、黒部川扇状地の湧水群として名水百選に選定されている 「名水の里」である。
黒部川扇状地の一角を占める生地地区には、湧水を利用した清水が18ケ所もあるといわれ、その内写真のような共同洗い場が6か所もあって、地元の皆さんにはなくてはならない存在になっている。
どこの共同洗い場も写真のように掃除が行き届き、清潔に保たれた洗い場で、訪れた人たちにきれいで豊富な水と共に感動を与えているようである。
「水と歴史の町 清水(しょうず)の里 生地(いくじ)へようこそ」 の看板が掲げられている。
この生地地区の清水・共同洗い場は、現在も湧出した水を、飲用や野菜、衣類の洗い物に利用している。
「とやまの名水 清水庵の清水(しみずあん の しょうず)」と書かれた 碑が立てられている。
黒部には生地地区の共同洗い場以外にも、名水を楽しむために整備された施設が多くある。
JR生地駅前にも清水の里と呼ばれ、清水が湧き出る水飲み場があり、のどを潤す憩いの場として、地元住民に親しまれている。
生地から少し離れた黒部市荻生(おぎゅう)地区には、江戸時代から旧北陸道の旅人に休憩の場として親しまれた箱根の清水もあるようである。
名水のあるところには必ずといっていい程、周りには豊かな自然がある。
昨年の夏訪れた富士山周辺の富士五湖や、忍野なども富士の恵みを受けた名水が多く見られる。
ここ富山県立山周辺も、自然豊かな水の恵みを受けている地域で、その多さには驚かされる。
私達人間にとって水はなくてはならない大切なものであるが、都市部では環境破壊による水質汚染がすすみ、社会の大きな問題としてクローズアップされ、その対策が急がれている。
大切な水質は、豊かな自然をもたらす山々の森林にあり、ブナなどの森林を経由して育んできた水が、豊かな河川をつくり、栄養分を含んで海に注ぎ、豊かな魚場を形成している。
地球温暖化などの環境問題が世界中で叫ばれる中、私たちは身近な水や森林などに興味を持って、人々に潤いと憩いの場を提供できる環境作りに、貢献していきたいとの思いを、強く感じさしていただいた今回の気ままな旅であった。
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