職人の手

　先日、お寿司屋さんが患者さんとして来院されました。立ち仕事なので、主に脚の疲れ、むくみが主訴でした。

　当院では、脚が主訴であっても姿勢をはじめ、体全体を観ます。全身を観て、驚いたのが手の形です。長年、お寿司を握っているせいでしょうか。手を観ると、寿司を握っている型で固まっています。これが職人の手というものかぁ・・・。と感激しました。

　長年職人仕事をしていると、それに合わせて体も意識も変化していくものです。その方の左手にご飯をのせると寝ながらでも寿司が握れるのではないかと思ってしまいました。まさに「職人の手」という感じです。

　精妙な機械でも人間の感覚には敵いません。また、力には限りがあると思いますが、感覚には限りが無いと最近、特に感じます。

　一昨日、テレビでハンマー投げの室伏選手の手についてアナウンサーが「凄く柔らかい手」とコメントしていました。たぶん、足から胴体、胴体から腕、そして腕から手と力を繋ぎ、投げる瞬間の微細な感覚をハンマーに伝えるには、非常に繊細な手が要求されると思います。

　人の身体を観る私の仕事も柔らかい繊細な手が要求されると思います。私の手も意外と柔らかいので時々驚かれます。

　空手を２０年、古武術を１０数年、中国拳法を６年くらいやっているのに、女性のような手だと時々言われます。しかし、そのお寿司屋さんの手には、まだまだ敵わないと感じました。

　　　　杉並区西荻窪の整体・木村均整院