ヒットした短歌: 8件
「動悸」は全て齋藤。さすがお医者さま。遠遊あたりまでは、恩師、友人を思う気持ちの昂りを言っているが、こなれて、ボクシングや相撲の興奮を表すようになってくる。
「あやしくも動悸してくる暗黒を救はむとして灯をともす」が突出している。小題によると、法泉寺住職、陸軍中尉山口隆一氏戦死の電報を受けてのもの。2年後には、宮柊二さんが招集され、この地で戦うことになる。
眼前に在すごとMarburg先生に感謝ささげけり動悸しながら : 斎藤茂吉 『遠遊』, 1923, 1947
このときに六全大会を報じ来る新勢に動悸を感ず : 斎藤茂吉 『寒雲』, 1939, 1940
あやしくも動悸してくる暗黒を救はむとして灯をともす : 斎藤茂吉 『寒雲』, 1938, 1940
拳闘の猛烈なりし時のまをわれはしきりに動悸して居り : 斎藤茂吉 『曉紅』, 1935, 1940
同船にて来りし君がベルリンに死にたりといふ動悸しやまず : 斎藤茂吉 『遠遊』, 1923, 1947
はるばると憧憬れたりし学の聖まのあたり見てわれは動悸す : 斎藤茂吉 『遠遊』, 1922, 1947
空の藍つよさきはまりて描かれし寺院をも見つ動悸しながら : 斎藤茂吉 『遍歴』, 1924, 1948
断間なく動悸してわれは出羽ヶ岳の相撲に負くるありさまを見つ : 斎藤茂吉 『曉紅』, 1935, 1940
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