検索ワード: 逃げ
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アキリーズ孤独になりて逃げむとす逃げてゆかむと彼おもひきや : 斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1942, [1942]
眼をすゑてひとところのみみつめゐしその間に若さ逃げゆきにけり : 前田夕暮 『歌稿』, 1910, [1910]
ヨウクタウン中心にして白き尾を引き艦隊の逃げゐる写真 : 斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1942, [1942]
思ふことみな逃げ行きしそのあとのわがあきらめの味なきこの頃 : 前田夕暮 『陰影』, 1911, 1912
もの借りて未だ返さぬその人の娘に似たり我は逃げにき : 石川啄木 『明治四十一年歌稿ノート暇ナ時』, 1908, [1908]
花の中に抑へられたり鰻の児命懸けにて逃げにしものを : 北原白秋 『雲母集』, 0000, 1915
逃げざまにけけと羽ばたく唐丸のうしろ寒げやその朱の鶏冠 : 北原白秋 『昭和12年2月1日「日本短歌」6巻2号』, 1937, [1937]
逃げて行く家鴨の如く逃げて行く女を友よ思ひきれよかし : 前田夕暮 『歌稿』, 1911, [1911]
逃げて行くわれが逃げ行く冬の路物に追はれて小さく走れる : 前田夕暮 『歌稿』, 1911, [1911]
笹藪に雀戦ふ日の永さ一羽は逃げて椋のこずゑに : 北原白秋 『大正6年6月1日「文章世界」12巻6号』, 1917, [1917]
脚長蜂わが卓上の白桃に大き穴あけ逃げ去りにけり : 窪田空穂 『木草と共に』, 1960, 1964
東京に逃げて来りしその夜の悲しさ脳を病む少年の : 前田夕暮 『歌稿』, 1910, [1910]
道中に遊びゐる子もしづかにて、問へば逃げ散る 木屋瀬の町 : 釈迢空 『短歌拾遺』, 1945, [1945]
事あらば逃げよただにと公に定められたる老びと我か : 窪田空穂 『明闇』, 1941, 1945
水すまし針のごとくも逃げまはるその水面に涙を落す : 北原白秋 『明治45年1月1日「朱欒」2巻1号』, 1912, [1912]
馬追の逃げし小窓によりそひぬ空をながるる初秋の風 : 前田夕暮 『歌稿』, 1910, [1910]
沢の道に、ここだ逃げ散る蟹のむれ 踏みつぶしつつ、心むなしもよ : 釈迢空 『海やまのあひだ』, 1924, 1925
山ぎはの夕寒庭にのこりしか逃げたつ鳥のおとの大きさ : 中村憲吉 『軽雷集以後』, 1929, 1934
いつの間にわれ阿片をば服しけん雲騷しく山逃げて行く : 与謝野晶子 『草の夢』, 0000, 1922
病院の羊が庭に逃げ入りてとらはれし日の落葉のみだれ : 与謝野晶子 『流星の道』, 0000, 1924
逃げ去りしいくさの跡に亂れたる弓は弱弓矢は細矢にて : 長塚節 『[長塚節全集]』, 1900, [1900]
教室の窓より逃げてただ一人かの城跡に寝にゆきしかな : 石川啄木 『曠野 明治四十三年十一月号(第九号)』, 1910, [1910]
道ゆけば若き女のあとおひて心われより逃げゆく日かな : 石川啄木 『東京毎日新聞明治四十三年三月四日』, 1910, [1910]
餌をやれば親鮒は逃げ子鮒どもわが手の下に群りてをる : 若山牧水 『黑松』, 1927, 1938
「覚めしとき夢は逃げたる」その夢を思ひてひとり長き路行く : 前田夕暮 『歌稿』, 1908, [1908]
固腹をづぶりと刺して逃げのびし男捕はれて来るとふ朝や : 斎藤茂吉 『あらたま』, 1913, 1921
金網のひびききらひて鼠らが逃げゆくなどと誰かいひたる : 斎藤茂吉 『曉紅』, 1936, 1940
夜もすがらわれの体を襲ふ蚤朝くらがりにはやも逃げゆく : 斎藤茂吉 『小園』, 1945, 1949
宮島の島の浦わに伏す鹿を撫でんとすれば起きて逃げけり : 正岡子規 『竹乃里歌』, 1899, [1904]
われ時に君を殺して国境に逃げなむとしき無事にいかりて : 石川啄木 『明治四十一年歌稿ノート暇ナ時』, 1908, [1908]
寂しさに海を覗けばあはれあはれ章魚逃げてゆく真昼の光 : 北原白秋 『雲母集』, 0000, 1915
空間に魂逃げて去ぬるがにわが児おどろくまはだかなれば : 前田夕暮 『深林』, 1914, 1916
死なんとて蹈切近く來しときに汽車の煙をみて逃げ出しき : 萩原朔太郎 『短歌』, 1910, [1910]
泥鰌つかみ逃げゆく兄に追ひすがり泣聲立ててものいへり妹 : 窪田空穂 『朴の葉』, 0000, 1920
要塞のあやふしと見るや總司令妻子を具して逃げ去りにけり : 窪田空穂 『明闇』, 1942, 1945
街とほく彼のもの音のきこゆるは今追はざれば逃げ行く如し : 中村憲吉 『馬鈴薯の花』, 1913, 1913
蘆山牯嶺の陣も陥ちたり逃げたるは三十二歳の指揮官楊遇春 : 斎藤茂吉 『寒雲』, 1939, 1940
ひらひらと青いなづまの逃げてゆく脚をば見たりそらの片隅 : 太田水穂 『流鶯』, 1944, 1947
みちのくへ逃げてゆくとふ少女子と話なくなり笛きけるかも : 島木赤彦 『切火』, 1913, 1915
日の本のますらたけをのをたけびに仇の砦は逃げて人もなし : 長塚節 『[長塚節全集]』, 1900, [1900]
ゑひどれのわれに恐れて逃げてゆく雪つみわたす村のむく犬 : 若山牧水 『くろ土』, 1918, 1921
逃げぬをば何か親しく見てゐたり寒けき夜半に出でてをる鼠 : 若山牧水 『くろ土』, 1918, 1921
「海へかもはた山へかもとく逃げよ」そくそくとして不安ぞ来たる : 前田夕暮 『歌稿』, 1908, [1908]
汽車に乗りて逃げなむとする何物かわが神経を刺し乱すなり : 前田夕暮 『歌稿』, 1910, [1910]
白萩のしげみに逃げて苑の鹿やさしきまなざしわれにむかはぬ : 窪田空穂 『初期拾遺』, 1902, [1902]
夜逃げせる百姓のあり穫り收れを雨にもやめず急ぎたりと云ふ : 中村憲吉 『軽雷集以後』, 1930, 1934
をさなごは吾が病み臥せる枕ベの蜜柑を持ちて逃げ行かむとす : 斎藤茂吉 『ともしび』, 1927, 1950
アキリーズただひとつにて逃げゆくが蒼うなばらの中に小さし : 斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1942, [1942]
木ずゑあかるく降る日光をみてあればわが幸ひは逃げ行く如し : 前田夕暮 『歌稿』, 1912, [1912]
赤楝蛇みづをわたれるときのまはものより逃げむさまならなくに : 斎藤茂吉 『石泉』, 1931, 1951
世の中の樂しき時は犬もほえずゐのししも突かずねすみも逃げず : 島木赤彦 『短歌拾遺』, 1924, [1924]
まくら辺に子を坐らせて、/まじまじとその顔を見れば、/逃げてゆきしかな。 : 石川啄木 『悲しき玩具』, 1909-1911, 1912
そこ通る女子とらへてはだかにせう、といふたれば皆逃げてけるかも : 北原白秋 『雀の卵』, 0000, 1921
ぬるときにいつもおもひし女の眼いつかいづくに逃げさりにけり : 前田夕暮 『歌稿』, 1911, [1911]
春がきたそこらあたりのものをみなかかへて走れ山を逃げいだせ : 前田夕暮 『歌稿 天然更新歌稿』, 1923, [1923]
架け滔に日がほのめけば刈り田より吹きて逃げゆく狹霧ぞあかるき : 中村憲吉 『補遺』, 1919-, [1919-]
カナリヤのつがひは逃げしとやの内に鶸のつかひを飼へど子生まず : 正岡子規 『竹乃里歌』, 1900, [1904]
思ふことみな逃げゆきしそのあとのわがあきらめのさびしきこの頃 : 前田夕暮 『歌稿』, 1911, [1911]
逃げ行かずや。またしてもかかる疑ひをもて、小さき鳥、かあゆき鳥よ、汝を見まもる : 窪田空穂 『初期拾遺』, 1913, [1913]
大山のかうべを得んといひし九郞鳩、自かかうべ僅にもちて逃げし九郞鳩 : 伊藤左千夫 『[左千夫全集]』, 1905, [1905]
きびしい督戦隊に射すくめられ射すくめられて逃げるすべさへ知らぬ : 前田夕暮 『烈風』, 1938, 1943
いさりするあまの妻子はやせにけりあはれうろくづよ逃げずもあらなん : 正岡子規 『竹乃里歌拾遺』, 1892, [1892]