引き続き。
『密偵』コンラッド
コンラッドの人物描写は素晴らしい。
外見の表現の仕方のお手並みは相当。
たぶん、道ですれ違ったら、判ると思う、この人だって。(ってまぁ、フィクションなんですけど)
行動やら思考、セリフに至るまで、人物が浮き彫り。
アナーキストとつるんで某大使館に情報を提供しているヴァーロック氏。
ご都合主義で狡い人間が蠢くロンドン。
‘自分が一番大事’な人々の、余りにも小心な姿。
‘自分が正しい’と考えている人々の身勝手さ。
人間のショーモ無さに泣けてくる逸品。
『ヒューマン・ファクター』グレアム・グリーン
このスパイ小説に登場するスパイは、可哀想。
そしてラストの壁のシーンで余りの可哀想さに愕然とした映画。
「寒い国から帰ったスパイ」(1965年)
あぁ、無情…
映画「インファナル・アフェア」3部作。
警察と香港マフィアにそれぞれ潜入する警察官とマフィア。
1の興奮、冷めやらず。
2は新鮮で良かった。
3はちょっと無理もあったけど、テーマは継続。
トリロジーを通してテーマは一貫。
ハリウッドリメイク版「ディパーテッド」(2006年)で、
いきなりテーマが綺麗さっぱり消え失せてたのには震撼。
いやぁ、これぞハリウッドマジック!
さすが映画の都。
「第十七捕虜収容所」(1953年)
ドイツの捕虜収容所でのアメリカ兵の日常と脱走計画。
(この場合、脱走計画は限りなく日常に含まれてます)
そして捕虜の中に紛れ込んだドイツ側スパイ。
道化役がかなり濃いし、クドいので苦手な人居そうですけど。
ウィリアム・ホールデンがいい味出してるし(というか、儲け役)。
若かりし頃のピーター・グレイヴス(スパイ大作戦TVシリーズ)の姿が見られます。
「ゴーストライター」(2010年)
意味深で不穏。
出てくる人全員、隠し事が有りそうな…
ポランスキー監督のお得意な演出が居心地の悪いサスペンス。
真相に迫る謎解きを楽しむミステリー。
解いた甲斐は?
“この世の不幸は、だれもかれもが自分が正しいと思っていることにある”
byジャン・ルノワール