木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《女王陛下のダイナマイト》

2013-08-22 20:48:36 | 日記


『女王陛下のダイナマイト』(1966年仏)

このタイトル!
これはど~考えてもスパイものと思うって。

カタギになってボートショップを経営するアントワーヌ。
かつての銀行強盗仲間が、高飛びさせてくれと突然の訪問。
あげくに、費用を払いたいがノミ屋に巻き上げられ文無し、と告白。
4万フランを取り返すべく、ノミ屋ミシャロンを探すアントワーヌだったが…


荒唐無稽、ギャグ盛りだくさん、平手打ち連発のおふざけ映画。
そして。
キャラクターが秀逸。
ノミ屋で詐欺師のミシャロンのダメっぷり。
(愛想をつかした妻曰く、「全部嫌い、あのロクデナシ」)
アントワーヌの超短気なキレッぷり。
何事にも動じない友人のジェフ。
金塊を狙う、大佐と呼ばれる謎のイギリス紳士。

どこまでもとぼけた味わいで展開されるダイナマイト合戦。
セリフが可笑しいし、もはやシュールな領域に突入。

大佐率いる、ブレザーにタイ、キャップ姿の‘それ、学校の制服。。。軍団’。
お揃いの赤いバイクで出陣。
しかもギターをかき鳴らす演出あり。
奇声を発しながらの痙攣ダンス?に60年代カルチャーっていったい…と感慨深い。


誤解が有り~の、裏切りが有り~の、復讐に至る展開。
ことあるごとに平手打ちされるミシャロンの憎めなさがあっぱれ。
アントワーヌ役のリノ・ヴァンチュラの、男気あふれる存在感。
極端な二人に挟まれて、ジェフがひとり大人な反応をみせる。
この三人組の相性がバツグン。

でもって、ミレーユ・ダルクが華を添える。


オースティン・パワーズほどの徹底したポップ感は無いものの、
独特の滋味あふれる、ドタバタと言っても過言ではない爆破コメディ。
このバカバカしさ、作ってくれてサンキュ!な一本。

ちなみに、陸橋で立ち往生するシーンは、ちょっとスゴイ。
CGとか無い時代だし、これは驚いた。

英語タイトル Let's Not Get Angry が原題に近いらしい。
怒らないようにしようぜ、ってLet'sなのがミソ。
ステキに激オコな大人たちによるGoGoダイナマイト大作戦。


『女王陛下のダイナマイト』(1966年仏)
監督:ジョルジュ・ロートネル、脚本:マルセル・ジュリアン、ジャン・マルサン、ジョルジュ・ロートネル、
原作:ミシェル・オーディアール、音楽:ベルナール・ジェラール
出演:リノ・ヴァンチュラ、ミレーユ・ダルク、ジャン・ルフェーブル、ミシェル・コンスタンタン、トミー・デュガン