木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《アメリカン・ハッスル》

2014-02-10 00:20:12 | 日記


『アメリカン・ハッスル』(2013年アメリカ)

成り上がり人生を賭けて、熱戦が繰り広げられる騙し合い。
諸事情により、あっちでもこっちでも醜い争いが勃発。
スピーディな展開でおくるノンストップ人生ゲーム


Wワークで詐欺稼業を営むアーヴィング。
運命的な出会いをしたシドニーとグルになり業績もラヴライフも絶好調。
しかし、FBIにしてやられた二人は、仕方なく捜査に協力するはめに。
詐欺師を逮捕する為に始めた囮捜査は、政治家やマフィアを巻き込む大嵐に。
ヤバいことに、なりました──


妻に振り回され、愛人には詰め寄られ懊悩。
愛する息子と離れたくない為、決断できないアーヴィング。
更にFBIからのプレッシャーが追い討ちをかける。
挙句にマフィア登場で、絶体絶命。
自分が蒔いた種とはいえ、非常事態。


家庭に帰っていく彼に、毎度寂しい思いをさせられ。
嫉妬と悔しさで悶々とするシドニー。
天性の演技力で、相手構わずカモる逞しさ。
その計算高さから、ちゃっかり保険はかけておくが。
本当に欲しいものが手に入るかどうか、怪しい雲行き。


悪い奴らには問答無用、ついでに邪魔する奴(上司)にも問答無用。
ってそれ、逆パワハラ?な熱血捜査官リッチー。
しかも、人の話聞かない症候群。ってタチ悪いがな。
超強引に押しまくる作戦(捜査)に、周り中うんざりさせつつ。
なにか大事な事を見落としてる感漂わせながら、大暴走。


引きこもりがちな、ぐーたら妻ロザリン。
夫の弱みを上手く利用しつつも、限界を感じる今日このごろ。
うっかり屋なのか、ただの家電オンチなのか不明。
危険感知能力、ほぼゼロ。
予想不可能な行動力で荒れまくる台風の眼。


地元の活性化に尽くそうと張り切り、危ない橋を渡る市長。
部下の無謀さに歯止めをかけようとするリッチーのボス。
囮捜査にノリノリな、目立ちたがり屋の、リッチーのボスのボス。


こいつら、大丈夫なのか?
って、やっぱり大丈夫じゃなかった諸々が丁寧に描かれてます。


進行形の捜査+犯罪もさることながら。
何よりも、特筆すべきは、
女優陣の衣装の犯罪的な薄さ。
ここは、クレタ島か?
胸元も太ももも、脚線美もあらわ。
そして。
70年代センス炸裂してる男優陣の髪型に。
直視していいのでしょうか?状態。
髪は有っても、無くても威力を発揮するらしい。
更に、役作りでブヨったお腹にも視線が泳ぐ~。
ホント、目のやり場に困る。
撮影現場でも、お互いに目のやり場に困ってたはず。


素晴らしき脚本の充実ぶり。
とにかく人物を描こうとする姿勢に共感。
その上、笑いまで盛り込む徹底ぶり。
監督が持つ独特のユーモア感覚。
ちょびっと過激で、ひねくれた真剣さ。

で、それを役者達が見事に表現。
真っ向から笑いをとろうとするような、
コメディアンが求められがちな大げさな演じ方ではなく。
面白いことを言ってるつもりじゃない感じ。
その人物が本気で言ってます感が、可笑しい。
笑っていいのか?なセリフも、おおいに笑うべし。
登場人物達の図太さ故に、笑うべし。


基本的には、熱演ですが。
ただの賞獲り演技合戦になりそーな所を、バランス良く演出。
絶妙の編集と、楽しいサントラ、大迫力のカツラ?が加わり。
無敵な出来ばえ。

キャットファイトシーンに、思わず。
取り合っている男のハゲでデブな事実を忘れそうに。
って、だから散々どこが魅力なのか描いてたやん。
思い出してー!
余裕のあるとこだっけ?包容力ってやつ?

その腹ボタモチなる禿頭男を取り合う美女ふたり図。
って確か日本画にもあった気が──
─無いです。


白でも、黒でもなく──グレー!宣言してますけど。
黒く塗りつぶしたくない部分があるって印象。

頭脳戦と心理戦が同時に楽しめる大人の映画。


『アメリカン・ハッスル』(2013年アメリカ)
監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル、脚本:エリック・ウォーレン・シンガー、撮影:リヌス・サンドグレン、
衣装デザイン:マイケル・ウィルキンソン、編集:アラン・ボームガーテン、ジェイ・キャシディ、クリスピン・ストラザーズ、
出演:クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス、
ルイス・C・K、マイケル・ペーニャ、アレッサンドロ・ニヴォラ、エリザベス・ローム、ロバート・デ・ニーロ(クレジットなし)