猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

告白 コンフェッション

2025-03-12 22:51:04 | 日記
2024年の日本映画「告白 コンフェッション」。

大学の山岳部OBで親友同士の浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン
・イクチュン)は、登山中に猛吹雪に見舞われ遭難する。大ケガをして死
を覚悟したジヨンは、大学時代に登山中に行方不明となり、事故死とされ
た同級生・西田さゆり(奈緒)は自分が殺害したのだと告白。長年抱えてき
た罪の意識から解放され安堵するジヨンだったが、その直後、眼前に山小
屋が出現し、2人は命を取り留める。親友の最期の告白を聞いてしまった
男と、うっかり言ってしまった男。薄暗い山小屋で救助隊の到着を待つ中、
2人の間には気まずく不穏な空気が流れ始める。

福本伸行・かわぐちかいじ氏の漫画を実写化したシチュエーション・スリ
ラー。大学山岳部OBで親友の浅井啓介とリュウ・ジヨンは、16年前登山
中に行方不明になり、事故死とされた同級生・西田さゆりの慰霊登山に出
かけていた。2人は猛吹雪に遭い、遭難してしまう。脚に大ケガを負い、
死を覚悟したジヨンは、16年前に自分がさゆりを殺したと啓介に告白す
る。自分の犯した罪に苛まれ続けてきたジヨンは苦しみから解放されるが、
直後に山小屋を発見し2人は命を取り留める。そして2人は閉鎖された山
小屋で一夜を過ごすことになる。
死ぬと思ったからできた告白だった。秘密を明かしてしまったジヨンと秘
密を聞いてしまった啓介の間には、気まずく不穏な空気が流れる。秘密を
知ってしまった啓介は、誰にも見られない密室で、ジヨンに殺されるので
はないかと疑心暗鬼になっていく。山小屋の台所にあった包丁がいつの間
にかなくなっていてジヨンが持っていたり、携帯が通じないと言っていた
のに啓介に何も言わずに救助を呼んでいたりと、ジヨンの行動に怪しさが
募っていく。
とてもおもしろかった。74分と短い映画だが、74分の中におもしろさや
迫力が凝縮されていて、普通の映画のように長かったらこのストーリーで
は中だるみしてしまうと思う。ちょうどいい長さ。生田斗真とヤン・イク
チュンのほぼ2人芝居。死ぬと思って過去の殺人の告白をしてしまったジ
ヨンと、聞かされてしまった啓介。ところが助かったことで、啓介はジヨ
ンが自分を口封じのために殺すのではないかという不安に囚われる。啓介
の疑心暗鬼な気持ちがとてもよく描写されていて、観ていてドキドキした。
ジヨンの行動の怪しさも怖い。
スリラーというかサスペンスなのだろうが、ホラーっぽく作られていてお
もしろい。原作では日本人2人ということらしいが、どうして一方を韓国
人の設定にしたのだろう。ヤン・イクチュンの雰囲気はジヨンの役に合っ
ていたが、セリフの聞き取りやすさを考えたら日本人俳優の方が良かった
のではないかと思った。でも生田斗真もヤン・イクチュンも演技はとても
良かった。特に後半はヤン・イクチュンが「シャイニング」のジャック・
ニコルソンばりに怖くて、迫力があった。真相が2転3転し、とてもおも
しろい映画だった。


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シスターズ 異常な愛情

2025-03-05 23:08:57 | 日記
2019年のアメリカ映画「シスターズ 異常な愛情」。

母親の拘束から逃げるかのように家を飛び出したライリー(クリステン・
ヴァガノス)。残してきた病弱な妹・ベス(ミカヴリー・アマイア)は、母
親・モニカ(リビー・マンロー)の支配下で病院にも行けず、病状は悪化す
るばかりだった。それから3年が経過し、2人の前にライリーが戻ってき
た。久しぶりの我が子の帰宅にも関わらず、モニカは警戒心をむき出しに
対応。ライリーが帰省したのは、ベーカリーを開き、恋人である看護師・
エイデン(ザック・ゴールド)との婚約を報告、彼を紹介したいからだった。
モニカは祝福するも、相変わらず「ベスを病院に連れて行ったら」という
ライリーの話には全く耳を傾けなかった。だが、べスの髪がごっそり抜け
るのを見たライリーは、不安になりエイデンに相談する。

実際に起きた事件を基にしたサスペンス。父親が死んだ後、母・モニカ、
妹・べスと共に暮らしている高校生のライリーは、母親が2人の娘を大事
に思うあまり、ろくに学校にも行かせない束縛ぶりに嫌気が差し、1人で
家を出ていく決意をする。それから3年後、苦労しながらも小さなベーカ
リーの店をオープンさせ、看護師をしているエイデンという婚約者もでき
たライリーは、久しぶりに母親とべスが住む自宅へと戻る。母親はライリ
ーが戻ってきたことを喜びつつ、家に入るなりライリーにシャワーを浴び
させ着ている服を消毒するなど、異様な潔癖症の様子を見せる。
ライリーはべスにも再会するが、べスは体調が悪く顔色も青白かった。母
親はべスがギラン・バレー症候群という免疫性の病気にかかっていると説
明し、そのために外部から毒素が侵入することを防いでいるのだと話す。
そしてライリーが自分で作ってきたお土産のケーキも捨ててしまう。ライ
リーがべスに話を聞くと、病気の診断を受けてから家を1歩も出たことが
なく、自宅で勉強をしているのだと知る。しかし勉強に使っている百科事
典などは古いもので、ライリーは新しい知識も取り入れた方がいいと母親
に助言するが、母親は自分のやり方があると拒絶する。
ライリーは、ティーンエイジャーでありながら化粧の仕方も知らないべス
のために髪を結ってあげるが、櫛で髪をとかすとべスの髪がごっそりと抜
けてしまう。驚いたライリーはエイデンに電話し、ギラン・バレー症候群
について調べてもらうと共に、べスの血色の悪い爪の写真を撮ってエイデ
ンに送信する。そしてライリーは外の世界を知らないべスのために、自分
のスマホで色んな写真を見せてあげるが、母親は外から持ち込んだものは
危険だからとスマホを取り上げてしまう。母親はライリーのスマホを温室
に持ち込むと、金づちで叩き割る。
タイトルの通り母親の異常な愛情、そして狂気の物語である。予定調和の
展開だが、これが実際に起きた事件だと思うと怖い。ライリーは最初に家
を出ようと決めた時べスに一緒に行こうと声をかけたのだが、おとなしい
べスは母親の元から離れるのを恐れて行かなかった。異常に過保護で過干
渉な母親の歪んだ愛情は、べスの心をすっかり支配していたのだろう。色
んなシーンで「次はこうなるよね」と予測できてしまうが、それでもなか
なかスリリングだった。ただラストが気に入らない。ライリーとべスはど
うして母親に会いに行ったのだろう、と思った。あんな目に遭ったのだか
ら会いに行かなくていいのに。普通は絶縁一択だろう。実際にはどうだっ
たのかわからないが、その点がしっくり来なかった。


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マッチング

2025-02-20 22:45:54 | 日記
2024年の日本映画「マッチング」。

ウエディングプランナーとして働く唯島輪花(土屋太鳳)は恋愛に奥手で、
同僚で親友の尚美(片山萌美)に勧められてマッチングアプリに登録する。
マッチングした相手・永山吐夢(佐久間大介/Snow Man)と会ってみた
ものの、現れたのはプロフィールとは別人のように暗い男だった。その
後もメッセージを繰り返し送ってくる吐夢はストーカー化し、恐怖を感
じた輪花は取引先であるマッチングアプリ運営会社のプログラマー・影
山剛(金子ノブアキ)に助けを求める。同じ頃、アプリ婚をした夫婦が惨
殺される事件が続発し、被害者たちは輪花が働く式場で式を挙げていた
ことが判明する。

マッチングアプリから始まる恐怖を描いたサスペンス・スリラー。原作
・脚本・監督は内田英治。ウエディングプランナーの輪花は恋愛に奥手
で、同僚で親友の尚美に勧められ渋々マッチングアプリに登録する。ア
プリを利用するうちマッチングに成功し相手と会うことになるが、現れ
たのはプロフィール画像とは全く違う暗い雰囲気を持つ青年・吐夢だっ
た。彼は「僕とあなたは運命でつながっています」と意味不明な言葉を
口にし、輪花は怖くなってその場を立ち去る。その後、輪花のスマホに
は吐夢から何件もメッセージが届くようになる。
輪花は取引先であるマッチングアプリ運営会社のプログラマー・影山に
相談するが、吐夢はマッチングアプリでつきまとい行為を繰り返し、要
注意人物とされていることを知る。一方その頃、マッチングアプリで結
婚したカップルが殺される事件が続発。そんな中、輪花は父・芳樹(杉
本哲太)の様子がおかしいことに気づく。父を問い詰めると、昔彼はチ
ャットで知り合った女性と不倫していたことを告白する。芳樹が別れ話
を切り出すと「私たちの子供ができた」と言い出し、立ち去ろうとした
ところを刺されたと言う。幸い父は助かったが、その直後輪花の母は失
踪してしまっていた。
その後、尚美から「1人で来て欲しい」と電話があり、すぐに輪花は尚
美の家に向かうが、彼女が転落死しているのを発見する。更に父が奥多
摩の森で首を吊っているところが見つかったと連絡が入る。父の葬儀で
輪花は影山に「私の大切な人が皆亡くなってしまった」と話すが、影山
は「君には僕がいる」と優しく言う。そして「君のお父さんの不倫相手
と吐夢についてわかったことがある」と、輪花を廃墟となった団地に連
れていく。
とてもおもしろかった。吐夢がとにかく不気味で、輪花のストーカーだ
けど実はいいやつ?と思わせて、えっ本当は?となる。佐久間大介の演
技も良かった。輪花の父・芳樹の不倫相手は芳樹を恨みすぎだと思う。
「捨てられた」と言っているが元々不倫関係なのだし、長く続くはずは
ない。それをわかった上で不倫していたのだろうに、去ろうとする芳樹
を刺すなんて怖い。その後の行動も狂ってるとしか思えない。そこまで
する?という感じ。恋愛に溺れすぎ。こういう激情的な人は私は嫌いだ。
クライマックスのシーンはホラー映画みたいに怖かった。ラストは後味
が悪いけど、ストーリーとしてはおもしろかった。


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ジェントルマン

2025-02-13 22:40:38 | 日記
2022年の韓国映画「ジェントルマン」。

「依頼された事件は100%解決する」を売り文句にしている興信所の
社長チ・ヒョンス(チュ・ジフン)は、犬の捜索を依頼してきた少女と、
その犬がいると思われるペンションを訪れるが、そこで謎の男に襲撃
されて昏倒する。病院で目を覚ましたヒョンスだが、依頼人の少女は
何者かに誘拐され、自分がその容疑者になっていることを知る。だが、
ひょんなことから検事であると誤解されたヒョンスは、そのまま検事
に成り済まして少女を捜し、自分を窮地に陥れた犯人を見つけるべく
奔走するが、事件の裏にはかなりの大物が関わっていることが判明す
る。

誘拐犯の濡れ衣を着せられた探偵が検事に成り済まして事件の捜査に
挑む姿を描いたクライム・ドラマ。ソウルで興信所を経営しているチ
・ヒョンスは、ある少女からの依頼で犬を捜すことになった。ヒョン
スと少女は犬がいると思われる人里離れたペンションを訪れるが、少
女はペンションに入っても戻ってこず、その後を追ったヒョンスは何
者かに襲われて昏倒してしまう。目覚めると、側にはナイフが落ちて
いて、ヒョンスは少女の誘拐犯として側を通りかかったカン検事に捕
まってしまう。
だが、ヒョンスを乗せた車が大事故を起こし、ヒョンスは必死で脱出
する。ヒョンスは病院に運び込まれるが、何故かカン検事と間違われ
てしまい、彼はそのまま検事に成り済まして、自分を陥れた犯人を追
うことになった。そしてその過程で、依頼人の少女は人身売買組織に
関わっていて、大手法律事務所の代表で資産家のクォン・ドフン(パ
ク・ソンウン)が黒幕ではないかということが疑われた。
捜査チームには「イカれ女」というあだ名がついている凄腕の検事キ
ム・ファジン(チェ・ソンウン)も加わり、ヒョンスとファジンは一緒
にクォンの悪事を暴こうとする。クォンは金の力で様々な悪事を闇に
葬ってきたことがわかる。そしてヒョンスは仲間たちの力を借りて、
バイヤーが依頼人の少女を売ろうとしているのを突き止める。車に乗
せられた彼女を仲間は追跡するが、捕らえられてクォンの元で拷問を
受ける。ヒョンスたちは仲間を助けに向かう。
ヒョンスのキャラクターがおもしろい。色んな顔を使い分けて口がう
まくて、探偵というより詐欺師のようだ。仲間たちも個性豊か。検事
のファジンはかなりの切れ者で仕事が好きすぎるのでイカれ女と呼ば
れているのだが、彼女の男まさりさがかっこよかった。悪役のクォン
は表情がとても憎々しくて事件の黒幕らしかった。前半は正直言って
よくわからないところが多く、首を捻りながら観ていたのだが、後半
真相がわかってくると爽快な感じがした。どんでん返しのラストやち
ょっとコメディっぽいところはとても良かった。そして犬がかわいか
った。ラストで王冠をかぶせられた犬の姿は粋である。


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四月になれば彼女は

2025-02-06 23:16:23 | 日記
2024年の日本映画「四月になれば彼女は」。

精神科医の藤代俊(佐藤健)の元に、かつての恋人である伊予田春(森
七菜)から手紙が来る。ボリビアのウユニ塩湖から出されたその手紙
には、10年前の初恋の記憶が綴られていた。その後も春は、プラハ
やアイスランドなど世界各地から手紙を送ってくる。その一方で藤代
は現在の恋人・坂本弥生(長澤まさみ)との結婚の準備を進めていたが、
ある日突然、弥生は姿を消してしまう。春は何故手紙を送ってきたの
か、そして弥生はどこへ消えたのか、戸惑う藤代が愛する人を捜し求
める中で、2つの謎はやがてつながっていく。

川村元気氏の小説を映画化したラブストーリー。精神科医の藤代俊は、
1年後に恋人・坂本弥生との結婚を控えていた。そんな中藤代の元に、
大学時代に初めて付き合った伊予田春から突然手紙が届く。春はボリ
ビアのウユニ塩湖を訪れ、そこから手紙を送ってきていた。その後も
手紙は届き、次はチェコのプラハから。その次はアイスランドのレイ
キャヴィクから。そこには旅先の美しい情景と共に、藤代に出会って
からの思い出が綴られていた。
春の手紙により恋の記憶が蘇った藤代だったが、一方で弥生との結婚
に迷い始める。「本当に彼女を愛しているのか、このまま結婚しても
いいのか」という思いを抱くようになる。そして「何故春は今になっ
て自分に手紙を書いたのか」という思いに翻弄されていく。かつて藤
代と春は大学の写真部で出会い、お互いに惹かれ合って付き合い始め
た。しかしあるきっかけから別れてしまう。
現在藤代と弥生は、タワマンで一緒に暮らし、一見何の問題もない関
係を築いているが、2年間体の関係がなかった。藤代は今自分が弥生
を愛しているのかわからなくなっていた。しかしその迷いや疑問は解
消しないまま、結婚式の準備は着々と進行していた。そして結婚式ま
であと4ヵ月となった12月のある日、弥生は姿を消してしまう。
正直言って退屈でおもしろくなかった。佐藤健、長澤まさみ、竹野内
豊とキャストは豪華なのだが、残念だった。藤代、弥生、春といった
メインの登場人物が皆独りよがりで、それぞれに少しも共感できない。
藤代は恋人との結婚が間近だというのに、大学時代の恋人から手紙が
届いたからと言ってあんなに深く振り返っていいのだろうかと思った。
未練があるのではないようだが、まるでもう1度春に恋しているよう
に見えた。あれでは弥生が気の毒だ。
それによく手紙が届いたなと思った。学生の頃とは住所が変わってい
るだろうに。弥生の行動も納得できない。なんだか皆妄想を抱いて現
実逃避しているように見えた。原作小説はベストセラーになったそう
だが、恐らく私は読んでもおもしろくないと思う。元々ラブストーリ
ーは苦手だし。色々腑に落ちない物語だった。


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