猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ザ・メニュー

2025-01-04 23:58:49 | 日記
2022年のアメリカ映画「ザ・メニュー」。

太平洋岸の孤島を訪れたカップルのマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)
とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない
有名シェフ、ジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が彼のレ
ストランで振る舞う、極上のメニューの数々。「ちょっと感動しちゃっ
て」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マ
ーゴが感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰
囲気に。何と1つ1つのメニューには想定外のサプライズが添えられてい
た。

孤島の高級レストランで振る舞われる極上のメニューに隠された秘密を
描くサスペンスであり、ブラック・コメディでもある。カリスマシェフ、
ジュリアン・スローヴィクが料理を振る舞う孤島のレストラン、「ホー
ソン」。そこに集まったゲストは皆セレブだった。料理評論家、投資家、
俳優といった面々の中、マーゴを同行して訪れたタイラーは興奮してい
た。マーゴがタバコを吸うと「料理の味がわからなくなるから止めろ」
と注意する。美食家であるタイラーはスローヴィクに心酔していた。
スローヴィクが登場し、「パンッ!」と大きく手を打つと、厨房のスタ
ッフが一斉に作業の手を止め「イエス、シェフ!」と言う。スローヴィ
クは不敵な笑みを浮かべている。コース料理の1皿目が運ばれてくると
タイラーは目に涙を浮かべ、1皿に込められたメッセージを読み、味を
解説し、禁じられている写真を撮ってしまう程のはしゃぎようで、マー
ゴは呆れてしまう。2皿目が運ばれてくる。パンにつけるジャムのよう
だが、肝心のパンがない。3皿目はタコスで、スローヴィクは自分の幼
少期の話をし、テーブルに着いている老婆を母親だと紹介するが、老婆
は無表情だった。
1人1人に配られたトルティーヤには何やら模様が施されていた。夫の
浮気現場の絵、会社の不正取引の書類のコピー、料理の写真を撮るタイ
ラーの絵まであった。「何かがおかしい」と感じたマーゴは、料理に一
切手をつけていなかった。違和感を抱いたマーゴはトイレに行きタバコ
を吸って気持ちを落ち着かせるが、そこにスローヴィクがやってくる。
女子トイレにまで入ってきたスローヴィクにマーゴは恐怖を感じる。ス
ローヴィクは「何故私の料理を食べないのか」と質問するが、マーゴは
「私は自分が食べたいものを食べる」と答える。
レイフ・ファインズの怪演ぶりがすごい。英国紳士然とした彼が不穏で
イカれたシェフを演じている様子は怖くなるほど。コース料理の1皿1
皿の紹介が物語の章仕立てになっている。何が起きているのかが把握で
きないままコースは進む(観ている側だけでなくレストランの客たちも
同様である)。そして次第に料理に恐ろしい秘密が隠されていることに
気づく、その過程はとてもおもしろい。結局客のセレブたちよりもセレ
ブではないマーゴが1番常識的だったということである。変わった映画
だが見応えがありなかなか良かった。


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今年映画館で観た映画

2024-12-29 21:23:00 | 日記
今年映画館で観た映画、おもしろかった順に。

1) 落下の解剖学(フランス)
2) VORTEX ヴォルテックス(フランス)
3) ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命(イギリス)
4) マンティコア 怪物(スペイン・エストニア)
5) 人間の境界(ポーランド・フランス・チェコ・ベルギー)
6) ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人(フランス)
7) 梟ーフクロウー(韓国)
8) WILL(日本)
9) 胸騒ぎ(デンマーク・オランダ)
10) 美しき仕事(フランス)


今年は少な目でしたがおもしろい映画が多かったです。
それでは皆様、良いお年を。

クリスマスに食べたケーキです

コメント (4)
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さらば友よ

2024-12-23 22:07:39 | 日記
1968年のフランス・イタリア合作映画「さらば友よ」。

アルジェリアの外人部隊から帰還した軍医ディノ・バラン(アラン・
ドロン)は、広告会社に勤める女イザベル(オルガ・ジョルジュ=ピ
コ)から奇妙な依頼を受ける。彼女が黙って持ち出した債券を会社の
金庫に戻して欲しいというのだ。バランと同じく戦争帰りのアメリカ
人の傭兵フランツ・プロップ(チャールズ・ブロンソン)は、バランの
仕事に興味を持ち、2人は金庫に潜入することとなった。こうなれば
債券を戻す代わりに金庫の金を奪い取ろうという魂胆だ。だが、よう
やく開いた金庫の中に金はなく、その上2人は金庫に閉じ込められて
しまった。

アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン共演の犯罪サスペンス。戦
争末期のある寒い朝、アルジェリア帰りの兵士たちを乗せた船が、マ
ルセイユに着いた。その中に、軍医のディノ・バランもいた。そのバ
ランに「モーツアルトの友人のバランさんでしょ?」といきなり若い
女が話しかけてきた。バランは表情も変えず無視して歩き続けた。同
じ船からアメリカ人軍曹で、戦争を商売にしてきたフランツ・プロッ
プも降りた。彼は部下をかき集め、次はコンゴに出かけ一稼ぎしよう
と企んでおり、それには軍医が必要と、バランを口説いていた。
そのプロップを殴り倒し、バランは彼を追ってきた若い女の車に乗っ
た。女はイザベルといい、彼女はモーツアルトに頼んでおいた約束を、
バランに代行して欲しいと頼んだ。その仕事というのは、イザベルは
パリの広告会社で働いているが、会社の債券を密かに持ち出し利用し
ていた。年末の決算も近づいたので、それを金庫に返さなくてはなら
ない。地下室の元モーツアルトのいた医務室の隣に金庫があり、クリ
スマスの連休の間にそれを返して欲しいというのだ。
バランはその仕事を引き受け、医務室にハイスピード分解写真装置の
ついたカメラを持ち込み、金庫室の見渡せる小窓にそれをセットした。
金庫の7つのダイヤルの組み合わせ番号を盗みだそうというのである。
バランが作業を開始した時、ふらりとプロップが現れた。今更彼を追
い返すわけにもいかず、2人は一緒に仕事を始めた。が、ふとしたこ
とから金庫室の中に2人は閉じ込められてしまった。男2人の間に奇
妙な友情が生じた。そして、長い苦闘の末、遂に金庫は開いた。しか
し中はからっぽだった。
期待していたがそれほどおもしろくはなかった。何だかよく意味がわ
からなかった。男2人が金庫のダイヤルの組み合わせ番号を盗み出す
までの過程や、プロップがバランの身代わりに警察に捕まり、絶対に
バランのことを言わずに刑事が苦労するシーンなどはおもしろかった。
知り合って間もないのにバランとプロップは意外に友情を感じている
のだな、と思った。ラストシーンの意味不明さもフランス映画らしく
ていい。
ともあれフランスの大スター、アラン・ドロンとアメリカの大スター、
チャールズ・ブロンソンの共演というだけで観る価値はあるというも
の。とにかくこの2人がかっこいい映画。私はどちらも好きだが、世
紀の二枚目のアラン・ドロンと野性的で男臭いチャールズ・ブロンソ
ンの対比がいい。それだけで満足できる映画だった。


アラン・ドロンは今年の8月18日に88歳で亡くなった。映画界から
は引退していたが、もっと生きて欲しかった。今年亡くなった有名人
の中で特にショックだったのは、アラン・ドロン様と楳図かずお先生
だった。












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コメント (6)
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スイート・マイホーム

2024-12-16 22:57:34 | 日記
2023年の日本映画「スイート・マイホーム」。

冬の寒さが厳しい長野。スポーツインストラクターの清沢賢二(窪田
正孝)は1台のエアコンで家全体を暖められるという「まほうの家」の
モデルハウスに興味を抱き、寒さが苦手な妻・ひとみ(蓮佛美沙子)と
娘のため、その家を建てることを決める。やがて新居が完成し、更に
次女も生まれて一家は幸せの絶頂にいた。しかし、新居に住み始めた
直後から、不可解な出来事が起こり始める。

神津凛子氏の小説を映画化したサスペンス・ミステリー。俳優の齊藤
工の「blank13」に続く監督作第2弾。冬が厳しい松本市で暮らす清
沢賢二は念願のマイホーム購入を決意した。それは、地下室の大型エ
アコンで全室暖房され、各部屋に見守りカメラ搭載などの最新システ
ムに満ちた理想の家だった。妻のひとみや幼い娘のサチと共に、実家
に新居建築の報告に行く賢二。母親と2人暮らしの兄の聡(窪塚洋介)
は精神を病み引きこもりで、常に誰かに監視され盗聴されているとい
う妄想に取り憑かれていた。
土地も購入し、住宅会社の女性建築士・本田(奈緒)に新居の設計を依
頼する賢二。賢二の3人家族は自分の理想だと憧れを口にする本田。
何故か同じ住宅会社の甘利(松角洋平)がしつこく担当になろうと迫っ
てきたが断る賢二。賢二は同僚の友梨絵と不倫していたが、友梨絵の
結婚が決まり不倫関係は終わった。新居の建築が終わる頃に次女が生
まれ、家族4人で新生活を始める賢二。だが、別れた愛人の友梨絵の
夫に、賢二が友梨絵の家に入る動画が送られ大騒動となった。誰の仕
業かわからず賢二は動揺する。
住宅会社の甘利から「家族を大事にしてください」と言われた賢二は
不快に思い、「どうしてあなたが僕の家族を心配するんですか」と言
って甘利ともめる。だが甘利は絞殺死体で発見され、長野県警の柏原
刑事(中島歩)が賢二の元を訪ねてくる。更に友梨絵が死に、自殺と他
殺の両面で警察が捜査を開始した。そんな中、ひとみは「家に誰かい
る」と言って怯えノイローゼ状態になる。ある日賢二が帰宅すると新
居の中で兄の聡が刺殺されていた。妻子は無事だったが、ひとみの恐
怖は加速していく。
観始めた最初の方は「ホラーかな?」と思ったが、次第にホラーでは
なく(ホラー的な雰囲気はあるが)サスペンスなのだとわかる。心霊現
象などではなく人間の狂気を描き出した映画。齊藤工ってこんな映画
も作るんだな、と思った。よくわからない点や無理がある点、おかし
な点も多かったが、全体としてはおもしろかった。おかしな点は原作
がそうなので仕方ないのだろう。キャストの演技も良かった。人間の
狂気は怖い。住宅会社の甘利は最初は嫌な奴だと思ったが、なかなか
のキーパーソンだった。けれどもひとみは狂いすぎだと思った。ああ
いう体験をしたからと言ってもあんなに気がおかしくなるものだろう
か。


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ハンテッド 狩られる夜

2024-12-09 22:45:04 | 日記
2023年のアメリカ・フランス合作映画「ハンテッド 狩られる夜」。

製薬会社でSNSマーケティングを担当するアリス(カミーユ・ロウ)
は、不倫相手である同僚との密会後、深夜に夫の元へ家路を急いでい
た。その途中、人里離れたガソリンスタンドに立ち寄るが、従業員の
姿は見当たらない。仕方なく店を出ようとした瞬間、突然どこからか
銃弾が飛んできてアリスは腕を負傷し、彼女を心配して店に入ってき
た不倫相手が射殺されてしまう。スマートフォンも撃ち壊され助けを
呼ぶ手段はなく、狙撃手の目的すらわからないまま、悪夢のような一
夜が幕を開ける。

姿の見えないスナイパーに命を狙われた女性の恐怖を描くサスペンス。
製薬会社でSNSマーケティングを担当するアリスは、不倫相手である
同僚との逢瀬の後、彼の車で夫の待つ自宅へ急いでいた。田舎道のガ
ソリンスタンドに立ち寄り、併設する売店で買い物をしようとするア
リスだったが、店員がいないことに気づき売店を出ようとする。しか
しその瞬間アリスはどこからか飛んできた銃弾で腕を撃たれてしまう。
そして彼女が戻らないのを心配して店に入ってきた不倫相手も射殺さ
れる。
アリスは腕の痛みと恐怖に混乱するが、店と反対側にある高台からの
狙撃は続き、落としたスマートフォンも撃ち抜かれてしまう。アリス
は店のレジ横にある無線機を見つけ、無線機越しに呼びかける声に助
けを求めるが、声の主は高台にいる狙撃手だった。警報装置は切られ、
アリスには周囲に自分の状況を知らせる術がない。絶望の中夜の闇が
スタンドを包み、静かに時は過ぎていく。
女性店員の死体を見つけたアリスに狙撃手は「それは浮気した妻」と
告げる。何故自分が狙われるのかわからないアリスだったが、狙撃手
も「君は何者だ?」などと言い出す。犯人は無差別に撃っているのだ
ろうか。そこへ客が入ってくるが、彼も射殺されてしまう。無線でア
リスの職業が製薬会社のマーケティング担当だと知った狙撃手は、
「ワクチンで幼い命を奪っている」と持論を展開する。
私は初め、狙撃手の正体はアリスの浮気を知った夫が雇った殺し屋な
のではないかと思ったが、違っていた。アリスと狙撃手の無線機によ
る会話劇である。会話によってアリスの恐怖や絶望感が伝わってくる。
適度に客が訪れ、射殺され、グロテスクな描写も満載である。最初か
ら緊迫感がありそれが途切れない。ラストはすっきりしないが、見応
えがありなかなかおもしろかった。ほぼ一人芝居だったカミーユ・ロ
ウの演技も良かった。


オリジナルパンケーキハウスに行きましたおいしかったですが、
お腹いっぱいになりすぎました。さすがアメリカンメニュー、と思い
ました(笑)

コメント
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