猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ジェントルマン

2025-02-13 22:40:38 | 日記
2022年の韓国映画「ジェントルマン」。

「依頼された事件は100%解決する」を売り文句にしている興信所の
社長チ・ヒョンス(チュ・ジフン)は、犬の捜索を依頼してきた少女と、
その犬がいると思われるペンションを訪れるが、そこで謎の男に襲撃
されて昏倒する。病院で目を覚ましたヒョンスだが、依頼人の少女は
何者かに誘拐され、自分がその容疑者になっていることを知る。だが、
ひょんなことから検事であると誤解されたヒョンスは、そのまま検事
に成り済まして少女を捜し、自分を窮地に陥れた犯人を見つけるべく
奔走するが、事件の裏にはかなりの大物が関わっていることが判明す
る。

誘拐犯の濡れ衣を着せられた探偵が検事に成り済まして事件の捜査に
挑む姿を描いたクライム・ドラマ。ソウルで興信所を経営しているチ
・ヒョンスは、ある少女からの依頼で犬を捜すことになった。ヒョン
スと少女は犬がいると思われる人里離れたペンションを訪れるが、少
女はペンションに入っても戻ってこず、その後を追ったヒョンスは何
者かに襲われて昏倒してしまう。目覚めると、側にはナイフが落ちて
いて、ヒョンスは少女の誘拐犯として側を通りかかったカン検事に捕
まってしまう。
だが、ヒョンスを乗せた車が大事故を起こし、ヒョンスは必死で脱出
する。ヒョンスは病院に運び込まれるが、何故かカン検事と間違われ
てしまい、彼はそのまま検事に成り済まして、自分を陥れた犯人を追
うことになった。そしてその過程で、依頼人の少女は人身売買組織に
関わっていて、大手法律事務所の代表で資産家のクォン・ドフン(パ
ク・ソンウン)が黒幕ではないかということが疑われた。
捜査チームには「イカれ女」というあだ名がついている凄腕の検事キ
ム・ファジン(チェ・ソンウン)も加わり、ヒョンスとファジンは一緒
にクォンの悪事を暴こうとする。クォンは金の力で様々な悪事を闇に
葬ってきたことがわかる。そしてヒョンスは仲間たちの力を借りて、
バイヤーが依頼人の少女を売ろうとしているのを突き止める。車に乗
せられた彼女を仲間は追跡するが、捕らえられてクォンの元で拷問を
受ける。ヒョンスたちは仲間を助けに向かう。
ヒョンスのキャラクターがおもしろい。色んな顔を使い分けて口がう
まくて、探偵というより詐欺師のようだ。仲間たちも個性豊か。検事
のファジンはかなりの切れ者で仕事が好きすぎるのでイカれ女と呼ば
れているのだが、彼女の男まさりさがかっこよかった。悪役のクォン
は表情がとても憎々しくて事件の黒幕らしかった。前半は正直言って
よくわからないところが多く、首を捻りながら観ていたのだが、後半
真相がわかってくると爽快な感じがした。どんでん返しのラストやち
ょっとコメディっぽいところはとても良かった。そして犬がかわいか
った。ラストで王冠をかぶせられた犬の姿は粋である。


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四月になれば彼女は

2025-02-06 23:16:23 | 日記
2024年の日本映画「四月になれば彼女は」。

精神科医の藤代俊(佐藤健)の元に、かつての恋人である伊予田春(森
七菜)から手紙が来る。ボリビアのウユニ塩湖から出されたその手紙
には、10年前の初恋の記憶が綴られていた。その後も春は、プラハ
やアイスランドなど世界各地から手紙を送ってくる。その一方で藤代
は現在の恋人・坂本弥生(長澤まさみ)との結婚の準備を進めていたが、
ある日突然、弥生は姿を消してしまう。春は何故手紙を送ってきたの
か、そして弥生はどこへ消えたのか、戸惑う藤代が愛する人を捜し求
める中で、2つの謎はやがてつながっていく。

川村元気氏の小説を映画化したラブストーリー。精神科医の藤代俊は、
1年後に恋人・坂本弥生との結婚を控えていた。そんな中藤代の元に、
大学時代に初めて付き合った伊予田春から突然手紙が届く。春はボリ
ビアのウユニ塩湖を訪れ、そこから手紙を送ってきていた。その後も
手紙は届き、次はチェコのプラハから。その次はアイスランドのレイ
キャヴィクから。そこには旅先の美しい情景と共に、藤代に出会って
からの思い出が綴られていた。
春の手紙により恋の記憶が蘇った藤代だったが、一方で弥生との結婚
に迷い始める。「本当に彼女を愛しているのか、このまま結婚しても
いいのか」という思いを抱くようになる。そして「何故春は今になっ
て自分に手紙を書いたのか」という思いに翻弄されていく。かつて藤
代と春は大学の写真部で出会い、お互いに惹かれ合って付き合い始め
た。しかしあるきっかけから別れてしまう。
現在藤代と弥生は、タワマンで一緒に暮らし、一見何の問題もない関
係を築いているが、2年間体の関係がなかった。藤代は今自分が弥生
を愛しているのかわからなくなっていた。しかしその迷いや疑問は解
消しないまま、結婚式の準備は着々と進行していた。そして結婚式ま
であと4ヵ月となった12月のある日、弥生は姿を消してしまう。
正直言って退屈でおもしろくなかった。佐藤健、長澤まさみ、竹野内
豊とキャストは豪華なのだが、残念だった。藤代、弥生、春といった
メインの登場人物が皆独りよがりで、それぞれに少しも共感できない。
藤代は恋人との結婚が間近だというのに、大学時代の恋人から手紙が
届いたからと言ってあんなに深く振り返っていいのだろうかと思った。
未練があるのではないようだが、まるでもう1度春に恋しているよう
に見えた。あれでは弥生が気の毒だ。
それによく手紙が届いたなと思った。学生の頃とは住所が変わってい
るだろうに。弥生の行動も納得できない。なんだか皆妄想を抱いて現
実逃避しているように見えた。原作小説はベストセラーになったそう
だが、恐らく私は読んでもおもしろくないと思う。元々ラブストーリ
ーは苦手だし。色々腑に落ちない物語だった。


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探偵マーロウ

2025-01-30 23:24:56 | 日記
2022年のアメリカ・アイルランド・フランス合作映画
「探偵マーロウ」。

1939年、ロサンゼルス。探偵フィリップ・マーロウ(リーアム・ニー
ソン)の元を裕福そうなブロンドの美女が訪ねてきた。クレア・キャヴ
ェンディッシュ(ダイアン・クルーガー)という彼女の依頼は「突然姿を
消した愛人を捜して欲しい」というものだった。依頼を引き受けたマー
ロウだったが、映画業界で働いていたというその男ニコは、ひき逃げ事
故で死亡していることがわかる。マーロウはそれをクレアに伝えるが、
クレアは街でニコを見かけたと主張する。捜査を進めるにつれマーロウ
は映画産業が急成長するハリウッドの闇に飲み込まれていく。

推理作家レイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵フィリップ・
マーロウシリーズの映画化。マーロウを演じるリーアム・ニーソンにと
って映画出演100本目の記念作となる。1939年、ロサンゼルスに事務
所を構える探偵フィリップ・マーロウの元を見るからに裕福そうなブロ
ンド美女クレア・キャヴェンディッシュが訪ねてきて、「突然姿を消し
た愛人を捜して欲しい」と依頼する。マーロウはその愛人ニコの足取り
を追うが、映画業界で働いていたというニコはひき逃げの事故で死亡し
ており、殺人の可能性もあることがわかる。
それを知らせるためにマーロウはクレアの邸宅を訪ねるが、その邸宅は
ハリウッド女優ドロシー・クインキャノン(ジェシカ・ラング)の家だっ
た。ドロシーは資産家の夫との間にクレアを授かるが、女優としての名
声を守るためクレアを「姪」として育てていた。クレアはそんな母ドロ
シーに対して冷ややかで、夫のキャヴェンディッシュも財産目当てだと
言う。マーロウはクレアにニコが交通事故死していることを告げるが、
彼女は「ニコは生きている。メキシコのティファナで見かけた」と言い
切る。
マーロウはクレアの邸宅を去る時、ドロシーから声をかけられ、「娘か
らどんな依頼をされたのか」と探りを入れられるが、「守秘義務がある
」と何も言わなかった。そしてマーロウはニコの自宅へ向かうが、人気
はなく、2人のメキシコ人も彼の行方を捜しに訪ねてきたと隣人が教え
てくれた。マーロウは旧知の刑事バーニー(コルム・ミーニー)と共にニ
コの手掛かりを追うが、事情を知っていると見られるニコの妹は何者か
に拉致され、マーロウも襲撃され意識を失ってしまう。
どちらかと言うと地味な感じのミステリー映画だが、推理小説を読んで
いるようなおもしろさがあった。終盤はかなり動きがあっておもしろか
った。クレアやその母ドロシーのキャラクター造形も良かった。1939
年頃のアメリカの文化やハリウッドの映画製作についても興味深く観ら
れた。リーアム・ニーソンはフィリップ・マーロウの大ファンで、いつ
か演じたいと希望していて、今回それが叶ったそうだ。マーロウは過去
にいろんな俳優が演じていて、私は「マーロウ 最後の依頼」という映
画を観たことがあるが、その時のマーロウ役はジェームズ・カーンだっ
た。ジェームズ・カーンのマーロウはとても良かった。もちろんリーア
ムの兄貴も良かったけどね。









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満ち足りた家族

2025-01-24 23:40:31 | 日記
2024年の韓国映画「満ち足りた家族」を観に行った。

兄ジェワン(ソル・ギョング)は、道徳よりも利益を優先して生きてきた
弁護士で、殺人犯の弁護もいとわない。若い2人目の妻ジス(クローデ
ィア・キム)や高校生の娘らと共に高級マンションに住み、家事は家政
婦がこなす誰もが羨む暮らしだ。一方、小児科医の弟ジェギュ(チャン
・ドンゴン)は、どんな時にも道徳的で良心的であることを信念に生き
てきた。年上の妻ヨンギョン(キム・ヒエ)と高校生の息子と共に住む彼
は、認知症になった母の介護にも献身的に当たり、品行方正な日々を送
る。全く相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟。2人はそれぞれの
妻を伴って月に1回、高級レストランの個室に集い、ディナーを共にす
る。レストランではお得意様であるジェワン夫妻が常に優先され、兄弟
家族同士の会話はどこかぎこちない。ディナーが行われた夜、ある事件
が起こり、満ち足りた日々を送る家族の歯車は狂っていく。

ソル・ギョングとチャン・ドンゴン共演のサスペンス。監督は「八月の
クリスマス」や「世宗大王 星を追う者たち」のホ・ジノ。兄は弁護士、
弟は小児科医。それぞれに美しい妻を持ち、息子、娘は間もなく大学生
になろうとしている、満ち足りた兄弟家族。兄のジェワンは道徳よりも
物質的な利益を優先して生きてきて、殺人犯の弁護もいとわない。一方
弟のジェギュは常に道徳的で良心的であることを信念に生きてきて、同
僚から患者の手術費が未払いになる可能性を指摘されても、治療の継続
を迷うことなく決める。
全く相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟だが、2人はそれぞれの
妻を伴って月に1回、高級レストランの個室でディナーを共にする。冒
頭でジェギュの家で同居する兄弟の認知症の母親が、ジェギュの妻ヨン
ギョンやヘルパーに対して暴言を吐いたり暴力を振るったりするシーン
があって、本当に胸糞だった(言葉が汚くて失礼)。ディナーの席で、ジ
ェワンはヨンギョンの心労を考えて母親を高級老人ホームに入れること
を提案する。
やがて1つの衝撃的な映像が巷で拡散される。ティーンエイジャーと見
られる男女がホームレスの男性を暴行する姿を、監視カメラが捉えた映
像だ。男性は意識不明の重体に陥っていた。警察は早速捜査に着手する
が、男女の顔ははっきりと写ってはおらず、犯人の特定には至らない。
しかしその映像を見たジェワンとジェギュ夫妻は、それぞれの娘と息子
に関して恐るべき事実を確信するに至る。
とてもおもしろかった。ジェワンとジス、ジェギュとヨンギョンの2組
の夫婦は、ホームレスを暴行したのがそれぞれの娘と息子であると知っ
て、非常に苦悩する。利益が最優先のジェワンも、親としての心情と正
義感の間で揺れ動かずにはいられない。ジェワンの娘は高校3年生で大
学受験を控えており、ジェギュの息子も高校生で、将来がかかっている。
自分が親だったらどうするだろうと考えた。でもどれも正解ではない気
がする。ソル・ギョングとチャン・ドンゴンの演技はさすがで、熱演で
ある。チャン・ドンゴンは久しぶりに見たが相変わらずハンサムだった。
韓国映画はどうしてこんなに見応えがあるのだろう。衝撃的なラストに
声を失った。

デヴィッド・リンチ監督が1月15日に78歳で亡くなった。リンチ監督の
映画好きだったなあ。もっと観たかったなあ。とても残念。


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ナイトスイム

2025-01-17 23:15:39 | 日記
2024年のアメリカ映画「ナイトスイム」。

元メジャーリーガーのレイ(ワイアット・ラッセル)は、郊外のプールつき
の家を中古で購入し、妻イヴ(ケリー・コンドン)、長女イジー、長男エリ
オットと共に引っ越してくる。難病により早期引退を余儀なくされるも現
役復帰を目指す彼が自身の理学療法も兼ねて購入したマイホームは、裏庭
にプライベートプールがある憧れの物件にも関わらず、そのプールは15
年間も使われていないという不思議な物件でもあった。新居での生活を満
喫する一家だったが、やがてプールに潜む得体の知れない怪異によって恐
怖のどん底に突き落とされる。

ホラー映画。1992年夏。サマーズ家の娘レベッカは夜中に庭のプールの
方からの物音で目を覚ます。プールには弟のトミーの大切なおもちゃが浮
かんでいた。トミーは病気で体が不自由だった。レベッカは飛び起きてお
もちゃを拾おうとするが、足を滑らせてプールに落ちてしまう。レベッカ
の悲鳴を聞いたトミーは助けを求めるが、彼女は助からなかった。そして
元メジャーリーガーのレイは難病により引退するが、治療に専念するため
郊外のプールつきの家を中古で購入し、妻イヴや思春期の娘イジー、小学
生の息子エリオットと共に引っ越してくる。裏庭にあるプールは何故か
15年も未使用のままだった。
家族で家を内見に訪れた際、レイはプールで溺れかけるが、家族により助
けられる。プール・セラピーが治療に役立つとレイは考えるが、プールは
落ち葉と泥に埋まり放置されていた。家族皆でプールの掃除をするが、そ
の時レイは排水溝の詰まりを取り除こうとして手を切り負傷する。排水溝
から茶色い水が湧いてきて、そこが湧き水の出る源泉プールであることが
わかる。そして一家はプールを使うようになる。
しかしプールを使い始めると一家は奇妙な出来事を体験するようになる。
一方でレイは医師も驚く程の回復ぶりを見せる。負傷していた手の傷もほ
ぼ治っており、ウエイトトレーニングができる程体力も戻ってきていた。
レイはこれらのことからプールには何か不思議な力があると確信していた。
しかしレイ以外の家族はプールでの怪異により徐々にプールへの恐怖を感
じるようになる。ある日レイは子供たちの同級生や近所の人を招いてプー
ル・パーティーを開く。しかしレイは野球ボールにサインを求めてきた少
年を肩車した状態でプールの底に沈んでしまい、レイも少年も溺れ死ぬと
ころだった。少年の両親は激怒しレイに2度と関わるなと言う。
レイはまたも死にかけたにも関わらず、また泳ぎたいと言う。イヴは家の
仲介をした不動産会社を訪れ、プールのことを調べ始める。そしてその家
では過去に数々の失踪事件が起きていることを知る。プールに何かの怪異
が潜んでいるという割と好きなテーマなのだが、期待したよりもおもしろ
くなかった。もっとゾワっとした心霊ホラーかと思っていたがあまり怖く
なかったし。レイが次第におかしくなっていく様子や、レベッカという少
女の母親は不気味で良かったが。娘より息子の方がかわいいのだろうか。
物語の中でペットが犠牲になるのは胸が痛む。ラストもえーそうなるの?
といった感じだし、もっと工夫をすればおもしろくなったんじゃないかな、
と思った。



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