電話に出ると、久しぶりに声を聞く男性が名前を告げた後、
「窓から夕陽を見ていたら、○○さん(私の本名)のことを思い出して電話したくなった」
と言うので、
「まあ、うれしい! 何て素敵な殺し文句!」
思わず私はそう答え、2人で噴き出すように笑ってしまった。
数年前に出版社を退社して同僚だった人と出版プロダクションを作った○○さんとは、もう2年ぐらい会っていなくて、たまに電話でおしゃべりするくらい。
いつも長電話になってしまうほど、小説の話を延々として、甘い会話などない関係なのに……。
夕陽を見ていて、思い出してくれたなんて、女なら誰でも胸がキュンと甘くなってしまうようなセリフである。
その夕陽を見ている場所は、海辺とか山のふもとではなくて、東京の神田にあるビルの7階の窓からなのだ。
それを思うと、いっそう胸がキュンと甘くも熱くもなり……。
女はいつだって、そんな殺し文句みたいな甘いセリフに弱いものだ。ベッドの外でも中でも――。
「きみの甘い唇、忘れられなくなりそうだ」
「寝てもさめても、この白い身体がチラチラしてて、仕事も手につかなかった」
「こんなきれいな肌のきみを抱けるなんて、男として幸せだよ」
そんな言葉を耳にしながら愛撫される女は、もう夢心地。彼に愛されている歓びに包まれ心が熱くなり、肉体も燃え盛って我を忘れてしまうほどだろう。
大半の女性にとって、ベッドで魅力的な男とは、回数とかテクニックを誇る男ではないかもしれない。ほかの男性からは言われなかったような、殺し文句みたいなセリフを囁かれて燃え上がってこそ、最高に素晴らしかったと心と肉体で感じられるはずだから――。
「窓から夕陽を見ていたら、○○さん(私の本名)のことを思い出して電話したくなった」
と言うので、
「まあ、うれしい! 何て素敵な殺し文句!」
思わず私はそう答え、2人で噴き出すように笑ってしまった。
数年前に出版社を退社して同僚だった人と出版プロダクションを作った○○さんとは、もう2年ぐらい会っていなくて、たまに電話でおしゃべりするくらい。
いつも長電話になってしまうほど、小説の話を延々として、甘い会話などない関係なのに……。
夕陽を見ていて、思い出してくれたなんて、女なら誰でも胸がキュンと甘くなってしまうようなセリフである。
その夕陽を見ている場所は、海辺とか山のふもとではなくて、東京の神田にあるビルの7階の窓からなのだ。
それを思うと、いっそう胸がキュンと甘くも熱くもなり……。
女はいつだって、そんな殺し文句みたいな甘いセリフに弱いものだ。ベッドの外でも中でも――。
「きみの甘い唇、忘れられなくなりそうだ」
「寝てもさめても、この白い身体がチラチラしてて、仕事も手につかなかった」
「こんなきれいな肌のきみを抱けるなんて、男として幸せだよ」
そんな言葉を耳にしながら愛撫される女は、もう夢心地。彼に愛されている歓びに包まれ心が熱くなり、肉体も燃え盛って我を忘れてしまうほどだろう。
大半の女性にとって、ベッドで魅力的な男とは、回数とかテクニックを誇る男ではないかもしれない。ほかの男性からは言われなかったような、殺し文句みたいなセリフを囁かれて燃え上がってこそ、最高に素晴らしかったと心と肉体で感じられるはずだから――。