未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第21章 同じ時を生きる君に ⑨

2021-02-12 14:16:02 | 未来記

2021-09-04 14:16:00 | 未来記

9.ヒロ…お願い!

 

キラシャとケンは、気を失った時の爆発音で、耳がキーンとしたまま、頭もモウロウとした状態で、無理やり立たされ、銃でこづかれ、先頭を歩かされていた。

 

言葉もわからない大人達が、自分の後ろでわめきながら、銃をこちらに向けていることは、音と雰囲気で何となくわかった。

 

遠くに、少年が何人か見えたが、みな銃を構えて、こっちをにらんでいるみたいだ。

 

タケルがどこにいるのか、強い風で砂ぼこりが舞い、見つけることができない。

 

頭もフラフラして、少年達の姿も砂ぼこりとともに、消えてゆく気がした。

 

「これって、夢の世界なのかな?

 

タケルに会いたいと思い過ぎて、おかしな夢を見てるみたい… 」

 

ただ、そばにいるケンは、しっかりとキラシャの手を握りしめていた。

 

たぶん、ケンがそうしないと、キラシャは立つことも、歩くことも、できなかっただろう。

 

「どうして、こんなとこで、タケルに会うってなったンだろう…

 

タケル、どこに隠れてるの? 

 

あたしたち、なンのためにここにいるンだろう…

 

ケンだって、かわいそうだよ…

 

あたしのせいで、こんな目に遭って…

 

お願いだから、ケンを助けて…

 

神様! あたしの命、差し上げますから…

 

どうか、ケンだけでも…

 

お願いだから、パールとマイクのいる所に、転送してください!

 

ヒロ… お願い! 

 

神様… 」

 

キラシャは、天を仰いで神に祈った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする