未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第21章 同じ時を生きる君に ④

2021-02-22 14:42:13 | 未来記

2014-04-05

4.地球を目指す理由

 

「オレ達が、地球へ行くって話か?」

 

「…タケルだっけ。それより、オマエはこれからどースンだよ? 」

 

「オレ達、一応、自己紹介してたンだけどな…。

 

オマエ、聞いてなかったろ! 」

 

「てか、耳悪くて、聞こえてなかったンじゃねーの? コイツ」

 

大きい少年達が、まるでケンカでもふっかけるような雰囲気で、タケルを挑発し始めた。

 

「オレたちゃなぁ。地球にいられなくて、家族で宇宙に出てきた奴らばっかりなンだ」

 

「まぁ家族旅行なンて、テイサイのいいこと言ってたけどさ。

 

家族ごと地球にいられなくて、出てきたのさ。

 

親に地球で仕事がないから、借金して宇宙で仕事見つけようってね。

 

正直、宇宙ステーションに戻って家族に会ったところで、先が見えねンだよな。

 

警察に、オレらがやってたことがバレたら、

 

子供でも、監獄みたいなトコに入れられるらしいし…」

 

「たとえ、そこから出て来れてもな。

 

親に会えるかわかんないし、借金できるかわかんないけど、

 

金があったら、親を探して旅を続けるしかないってわけさ。

 

 

でも、ウィンディが地球に帰ろって言うから、

 

オレ達だけで地球に戻ってでも、生きてくとこ見つけたらいいジャンって、

 

ちょっと期待してたンだ。

 

だけどなぁ…。

 

オレ達だけじゃ、信用ないよな…。

 

何しても、海賊みたいに疑われるだけだし…」

 

「親に暴力振るわれて、一緒にいたら命だってあぶねぇ奴もいるンだ。

 

 家族が他のトコに移って、オイテケボリの奴もいるし、

 

  誰かが、メンドウ見てやンないとな…」

 

最初は、威勢よく話し始めた少年達に、またケンカが始まるのか、とビビッていたタケル。

 

本音を聞いてみると、みんな悩みをかかえ、不安に思いながらも、仲間を助けようと思っていることがわかって、ちょっとホッとした。

 

「そうか。みんなも、先のことわかンないンだよな…。

 

オレだって、いつ耳が聞こえなくなるンだろうって、

 

それが不安で、気が狂いそうだった…。

 

でもさ…。

 

オレ、自分の耳が聞こえないことばっか心配してたけど、

 

オレの知らない世界で、もっとひどい目に遭ってる子がいるンだよな…。

 

オレと同じくらいの年の子が、大人に好き放題ヤラレテ、挙句に殺されるなンてな…。

 

何だか、耳が聞こえないくらいで悩ンでるのって、ちっぽけな気がしてきた。

 

 

オマエら、これから宇宙ステーションに帰って、どうするンだ?

 

オレ…、オマエらに、何かできることないか…? 」

 

タケルの問いかけに、少年達はそれぞれに思いをめぐらせた。

コメント
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