未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第21章 同じ時を生きる君に ⑤

2021-02-20 14:43:41 | 未来記

 

5.タケルに会いに行こう!

2014-05-04

 

ケンがベッドから降りて、何かゴソゴソ始めたな~っと思ったキラシャが、急に眠気を感じてウトウトしていた時だった。

 

「キラシャ 起きるンだ!

 

会いたいンだろ? タケルに…」

 

ケンがキラシャの肩を揺さぶりながら、周りを気にした小さい声で言った。

 

キラシャはケンをしばらくボーっと見つめながら、今の自分の状況を思い出していた。

 

『そうだ、あたしは今、ケン達とアフカにいるンだ。

 

タケルは、宇宙にいて、地球に帰ろうとしているンだっけ…?

 

何だか、ヒロのおかげで、とんでもないことが起きそうなンだけど…』

 

ケンがキラシャを強くゆすぶったせいで、パールも目を覚ました。

 

「ヒロがせかしてくるンだ。

 

オレにこのMフォンを送ってきた。

 

たぶん、タケルはこれをたよりに転送してくるらしい。

 

ただね…。

 

オレもちょっとわかんないンだけど、転送してくるのはタケルだけじゃないンだ。

 

10人ぐらいの男子が一緒に来るらしい。

 

だから、広い所にいなくちゃならないンだ。

 

それにドームの中じゃ、ヒロはまずいって言うンだ。

 

なんだか、チョー危険な気もするンだけど…」

 

すると、パールが言った。

 

「ドームノ ソト ナラ

 

ワタシ ヒロイトコ シッテル

 

タテモノ バクハツ シタアト

 

イシ タクサン ノコッテル ダケ

 

ムカシノヒト スンデタ ケド

 

センシャ ヒコウキ コワレタ ママ

 

イマハ ダレモ イナイ

 

マワリ ヒロイ テツノ サク アル

 

キケンナ ドウブツ コナイ

 

ソコハ キット ダイジョーブ」

 

「オレやキラシャは身軽だから たぶん大丈夫と思うけど…

 

マイクはなぁ~? 」

 

ケンがマイクを見やると、マイクはイビキをかいて、おへそをポリポリとかいていた。

 

「マイクは置いてくか~ 」

 

パールも苦笑いしながら、ウンとうなずいた。

 

キラシャは会えるうれしさより、タケルが無事なのか心配で、身体も心も固まっていた。

 

ケンは、そんなキラシャをそっちのけで、パールとその場所の位置を確かめるために、Mフォンで3Dホログラムの地図を広げた。

 

ケンとパールが、ここからどうやってそこへいけばいいのか、ルートを試行錯誤しながら探していると、突然ヒロが送ってきたMフォンから声が聞こえてきた。

 

「バッカだな~

 

ケン! オレ言ったろ!?

 

アフカじゃあ、Mフォン使っても、別にルール違反じゃないんだぜ!

 

ケンとパールとキラシャさえ、その気になりゃ~

 

このMフォン使って、転送すればいいンだヨ。

 

まぁ、無理にとは言わないけど…。

 

でも、そのまま歩いて外へ出たら、時間がかかるし…

 

途中でバレて、たどり着けないかもなぁ~ 」

 

「ゲッ!? オレ達もオマエの作ったMフォンの実験モルモットになるのか?

 

オレ、そこまで考えてなかったヨ!

 

それに、パールは事故で入院するはめになっちゃったからさぁ。

 

無理してやったら、パールのママが心配で倒れちゃうよ!

 

やるンだったら、オレとキラシャぐらいだな。

 

キラシャだって、海洋牧場のことでコリてるみたいだけどな~ 」

 

ケンは、ちらりとキラシャを見やった。

 

キラシャも、ヒロとケンのやり取りは聞こえていたが、自分のことよりも、タケルことで頭がいっぱいで、どう答えていいのか、しばらく迷っていた。

 

しかし、キラシャは覚悟を決めたように、Mフォンに向かって声をかけた。

 

「ヒロ…。あんたのMフォン、信じていいの…? 」

 

ヒロは、自信たっぷりに「信じていいよ! 」と答えた。

 

キラシャは、ケンに向かって言った。

 

「タケルが、ホントにここへ来てくれるンだったら、

 

あたしもそのMフォンで、タケルが無事に着ける場所へ行ってみるよ。

 

だって、せっかくタケルが来ても、あたしがそこにいないとがっかりするでしょ?

 

ケンひとりに任せたりしたら、ケンだってタケルのこと怒ってたでしょ?

 

ひょっとして、ケンカになるかもしれないじゃない。

 

あたし、ケンとタケルがケンカするのだけは、やめて欲しいンだ!

 

2人とも大好きだし、2人とも仲良くして欲しい!

 

…ケンさえ良かったらだけど、あたしと2人で転送してもらえる?

 

ひとりだけじゃ、勇気ないンだ…。

 

ケンのこと、心の底から信じてるから、2人でタケルが来るのを待っていたい。

 

それで、いいかな…? 」

 

ケンは少し胸がキュンとなって、

 

『なんで、こんなかわいいこと言うキラシャが、オレの彼女じゃないンだろう…』

 

くやしい思いをしながらも、だまってウンとうなずいた。

 

ヒロは、妙にセキばらいをしてこう言った。

 

「Mフォンは、こっちから制御できるから、

 

2人とも安心して、目的地に着くことだけ考えとけばいいヨ! 」

 

キラシャは、ヒロの言葉にうなずいてから、パールに向かって言った。

 

「パールは、ここで待っててね。じきにマイクも目が覚めるだろうから。

 

タケルがこっちに着いたら、パールにも必ず会わせてあげる! 」

 

パールとキラシャは、お互いを見て微笑んだ。

 

ヒロがせかすように言った。

 

「よし、じゃあ急いで着替えてくれ。準備ができたら、合図をくれよ! 」

 

キラシャとケンは、あわててパジャマを脱いで、出かける服に着替えた。

 

「OK! 準備できたよ! 」

 

「それじゃあ、深呼吸して~。はいっ、送るよ~」

 

キラシャとケンは手をつないで、呼吸を合わせながら目的地へと消えて行った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする