2014-02-21
2.ドコデ アエルノ?
ケンは、Mフォンでヒロとやり取りしていたが、キラシャに聞かれてはマズイことがあるのか、音声モードを使わなかった。
キラシャは、自分にもわからない、とんでもないことが起こる気がして、不安な気持ちでケンを見守った。
タケルには、今スグにでも会いたいと思う気持ちがある半面、もしタケルに何かあるようなら、このまま会わない方がイイのかも…
タケルへの想いが募り過ぎて、胸がキュンとなるような、複雑な思いでいっぱいのキラシャだった。
しばらくして、ケンがキラシャの方を向き、ニコッと笑った。
「タケルは、今、宇宙船に乗っているらしい。
やっぱり、あいつは耳が聞こえないってことが、相当ショックだったンだろうな。
でも、あいつならきっと、自信を取り戻せると思うよ。
うまくいけば、すぐにでも会えるかもしれないンだ…」
「ホント? でも、さっきケン言ってたけど、
タケル、宇宙からMフォンの転送で帰ってくるの?
あれって、危険なンでしょ?
アタシは、海洋ドームからいきなり外海に転送されちゃったもンね…。
ドームのボックスと違って、宇宙で急に転送しちゃうと、
意識失うくらい苦しいこともあるらしいよ!
急がなくても、普通に帰って来ればイインじゃないの…? 」
「まぁな。オレもそう思うんだけど…
ヒロは、もう転送に使うMフォンを送ってるらしい。
あとは、タケルのやる気次第だって言ってた。
MFiエリアじゃ、勝手にMフォンで転送するのは、ルール違反だからな。
このエリアだと、もともとそんなルールがないンだって。
ヒロも、使うのなら今がチャンスだって言ってたンだ…」
「でも、やっぱりあたし、タケルが無事で生きててくれる方がイイ!
ヒロの実験台になって、身体壊すようなことになって欲しくないよ!!
今は、会いたいけどガマンできるモン。
いつかまた会えるンだったら、その時でもイイヨ! 」
「いや、オレにもよくわからないけど…。
ヒロが言うにはね、
今を逃したら、タケルがどうなるかわからないンだ…」
それまでじっと耳を傾けていたパールが、ケンの言葉をさえぎるようにたずねた。
「タケル カエッテ クル?
イツ? ドコデ アエルノ? 」
「そうだよ、ケン。タケルは、どこへ 転送されるの?
それだったら、あたし達もそこへ行かないといけないんでしょ?」
「まぁ、そうあわてるなよ。キラシャ、少し休んでた方がいいよ。
ヒロから、また連絡あるからな…」
パールのパパが亡くなったことで、歓迎会などの行事が明日以降になり、長旅で疲れている子供達をしばらくこの部屋で休ませることになっていた。
キラシャは、不安を感じながらも、ケンの言うとおりに横になって眠ることにした。
結局、タケルのことが心配で、キラシャは眠ることができなかったけれど…