
昨年11月に訪問した株式会社マジカルが発行する通販カタログ『マジカルニュース』2017年新春号に
禁煙に関するコラムを書いてほしいとのご依頼がありました。
大変ありがたいことに、テーマは何でも良いということでしたので
葉タバコ生産者の児童労働について書くことにしました。
私が葉タバコ生産において児童労働が行われていることを知ったのは
タバコ問題首都圏協議会の2016望年会で
巣鴨のとげぬき地蔵尊・高岩寺の来馬明規住職のお話を伺ったのが最初でした。
それまで、タバコがどこで作られるか、誰が作っているかについて無関心だったこともあり
海外のタバコ農園で貧困層の子供たちが働かされ
葉タバコに触れることや使用されている農薬によって病気になっているということを知って
頭を何かでぶん殴られたくらいの衝撃を受けました。
来馬住職が使っていたスライドに映る子供たちを見て、涙がこみ上げてきたことを覚えています。
来馬住職のお話を伺うまで、受動喫煙の問題が解決されれば
大かたタバコ問題は解決だ、と私は考えていました。
受動喫煙さえ起きなければ、タバコを吸いたい方はどうぞご自由に
喫煙を許してくれる人の範囲内で好きなだけ吸って、タバコに蝕まれながら死んでください
それが喫煙者のお望みでしょ、くらいに思ってもいたのです。
しかし、来馬住職のお話を伺って、たとえ受動喫煙がなくなったとしても
海外のタバコ農園で働かされている貧困家庭の子供たちがいる限り
タバコ問題は解決しないと気づかされました。
それを一人でも多くの方に知ってもらいたいと考え、コラムのテーマに選びました。
よほど食に無関心ではない限り、多くの方にとって口に入る物の安全性は気になるところだと思います。
近年では食品の追跡可能性(トレーサビリティ)が明確にされている商品も出回り
また、どこで、誰が作ったかがわかるような、生産者の顔が見える商品も多くなっています。
しかし、タバコは口から体内に直接取り込む物であり
また、意図する・しないにかかわらず、タバコを吸わない人の体内にまで入り込む物ながら
どこで作られているか、誰が作っているかを知らないことがほとんどだと思います。
コラムで書いたように、タバコの需要がなくなることで
海外の貧困家庭の子供たちが葉タバコ農園で働かされなくなる
とは、一朝一夕にはいかないでしょう。
各国においてタバコからほかの作物への転作を推進することや、国際的な対策も必要でしょう。
ただ、あなたの吸っているタバコに使われている葉タバコは
海外の貧困家庭の子供たちが自分の健康と引き換えに生産している可能性がある
ということを、タバコを吸っている人には真剣に考えてもらいたいと思います。
子供たちが病気になってまで作っている葉タバコを使ったタバコを、あなたは吸いたいですか。
もちろん、貧困家庭の児童が働かされているのはタバコ農園だけではありません。
チョコレートの原料となるカカオ豆農園でも、同様の問題は起きています。
一時的な欲求や快楽を満たすために私たちが手に入れる物が
子供たちの健康を奪いながら生産された商品であるか否かを、見極める目が求められています。