9月5日、宝塚歌劇公式ホームページに
「宝塚大劇場の禁煙化について」というニュースが掲載されました。
私は長年登山を趣味にしていましたが
COVID-19の流行や家族の病気、自分にも慢性疾患が見つかるなど
さまざまな観点から、高リスクである登山を続けることはあきらめました。
そして、登山に代わる新たな趣味として、ミュージカル鑑賞が加わりました。
その一つが宝塚歌劇で、基本的には東京宝塚劇場で特定の組を観劇していますが
宝塚大劇場は3回訪れたことがあります。
最初に大劇場を訪れた時は、館内の所々に「喫煙所」と書かれた紙が貼られていて
劇場全体の雰囲気とその紙の不釣り合いなことに、違和感を覚えたものでした。
なにより、観劇前や休憩中に観客が喫煙した場合
呼気からの受動喫煙や、衣服や髪に付着したタバコの有害物質で三次喫煙に遭うことは明らかで
感染症対策の観点からも喫煙所を廃止してほしいと要望を出しました。
その後、阪急阪神ホールディングス創遊統括部から「検討する」という回答があり
東京宝塚劇場の喫煙ルーム(館内)は、COVID-19対策として2020年6月の公演再開時に閉鎖後
そのまま廃止されて現在に至っていますが
宝塚大劇場の屋外喫煙所は使用を再開、存続されてきました。
劇場は座席が指定されているため
タバコを吸う人が隣席になった場合、観劇中はタバコ臭さを耐えるか
チケット代を捨てる覚悟で席を立つしかありません。
兵庫県は子どもを受動喫煙から守るという点で先進的に取り組む自治体で
兵庫県受動喫煙の防止等に関する条例では
「とりわけ20歳未満の者と妊娠中の者(以下「妊婦」という。)を
たばこの煙から保護することが重要である」
としており(第2条)、事業者及び施設管理者にも
「受動喫煙の防止等に関する措置を図るとともに、その環境の整備に取り組まなければならない」
と、責務が課せられています(第5条)。
宝塚歌劇には、子ども連れや学校の芸術鑑賞会・修学旅行などの利用も多く見られます。
劇場でそうした子どもたちを受動喫煙や三次喫煙の被害に遭わせるのは
事業者・施設管理者としての責務を果たしていないばかりか
未来の宝塚歌劇を支えてくれるかもしれない人々を大切にしておらず
事業者の将来的な構想としても間違っている、と私は考えていました。
9月5日に宝塚大劇場の喫煙所が廃止されたことは
「やっとか」と思ったものの、率直に喜ばしいことでした。
宝塚歌劇団は阪急電鉄創遊事業本部歌劇事業部が運営しているため
この決定は、阪急電鉄が駅を全面禁煙にしたことと連動しているかもしれません。
ちなみに、阪急電鉄が駅のホームの喫煙コーナーを廃止し
喫煙ルーム以外を禁煙化したのは、2011年9月1日でした。
駅構内の全面禁煙化まで、13年弱かかったのです。
この間、受動喫煙や三次喫煙の被害に遭い、苦しんだ人は数知れず
施設内に喫煙ルームを設置し、完全に禁煙化されていない公共交通や劇場では
現在でも被害が生じています。
完全禁煙を実施していない公共交通や劇場の経営者・管理者には
阪急電鉄に続き、一刻も早く喫煙ルームを廃止して施設の禁煙を実現し
その施設内で受動喫煙・三次喫煙を生じさせない管理・運営をしてほしいと思います。