喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

演劇舞台上での喫煙に対する申し入れとその結果

2024-09-14 21:54:06 | タバコ問題への取り組み

舞台上での喫煙は、現在では非常に稀なことと思います。
しかし、2022年に彩の国さいたま芸術劇場(以下、劇場と略す)における
演劇公演の舞台上で、俳優が葉巻を吸う演出がありました。
同様の問題が今後も起こる可能性を否定できないため、情報共有します。

【経緯】
2022年、彩の国シェイクスピア・シリーズ『ヘンリー八世』の9月21日公演で
「俳優が舞台上で本物の葉巻を吸ったことを客席から視認した」
という報告と今後についての相談が
埼玉・タバコと健康を考える会(以下、埼玉の会と略す)にありました。
私も一会員の埼玉の会は、埼玉県を拠点にタバコ問題を解決すべく活動している団体で
JR川口駅前の キュポ・ラ本館棟M4階にあるかわぐち市民パートナーステーションで
隔月の定例会(現在は感染症対策のためオンライン定例会)を開催しています。
相談者は埼玉の会の会員で、舞台上での喫煙に驚き
当日の終演後に劇場スタッフと次のようなやりとりをしたそうです。

埼玉の会会員「タバコのような物を吸うシーンがありましたが
       あのタバコのような物の成分はなんですか」
劇場スタッフ「本物の葉巻です」
埼玉の会会員「なぜ本物を使うのですか」
劇場スタッフ「リアリティを演出するためです(意訳)」
埼玉の会会員「でも、本物の水は使いませんよね」
劇場スタッフ「水はこぼれると困るので」

埼玉の会会員「葉巻は煙が出ます。FCTC*1違反の可能性があります」

劇場スタッフとのやり取りに納得できなかった会員は
数日後劇場に電話をし、再度、舞台上での喫煙について質問をしたところ
電話受付スタッフから「消防法による許可*2を得ていますから」と回答されました。
消防法による許可があれば舞台上での喫煙に問題はないのか?
どうしても納得できなかった会員は、埼玉の会に報告し、相談しました。

【埼玉の会での話し合い】
埼玉の会では、定例会で本件について話し合い
・劇場の管理者がタバコによる健康被害を甘く見ているのではないか
・FCTCの抵触というより、健康増進法違反ではないか
・消防法の許可が受動喫煙を防止することの免除にはならない
という意見が出ました。

【公開質問状の送付】
埼玉の会では、消防法の許可を得ていたとしても
劇場は健康増進法に違反*3しているのではないか、という結論に達し
弁護士に意見を聞いたうえで
劇場の指定管理者である 公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団(以下、財団と略す)と
埼玉県県民生活部文化振興課(以下、文化振興課と略す)に宛てて
2023年1月4日付で公開質問状を送付しました。

【財団からの回答】
財団から、同年1月27日付で回答*4が届きました。


前向きに改善する旨を、公開質問状送付後1か月以内に回答した財団に対し
埼玉の会から礼状を送りました。
なお、文化振興課からの回答はありませんでした。

*1 FCTCとはたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約
   (略称 たばこ規制枠組条約)を指す
*2 各自治体には、消防法に則って火災予防条例が定められている。
   不特定多数の人が使う建物内において禁止されている行為(=「禁止行為」)には
   公演制作現場が関係するものとして、大きく分けて「裸火・喫煙・危険物持ち込み」があり
   演出効果上の理由によりその行為を舞台上で行いたい場合には
   必ず消防署に願い出て、許可を得なければならない(禁止行為解除申請)。
   これが劇場のいう「消防法による許可」に該当すると推定される。
*3 健康増進法
   本件に関係するものは、第29条1項2号、2項、第77条1号
*4 令和5(2023)年1月27日付の財団からの公開質問状への回答は
   日本禁煙医師歯科医師連盟通信第32巻第2号(2023年8月31日)
   「演劇舞台上での喫煙に対する申し入れとその結果」(齋藤麗子)より抜粋 

 


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