台風26号が去り、昨日は台風一過で青空が広がった名古屋でしたが、今朝は雲が多くなってています。多くの爪痕を残した台風26号、 伊豆大島での大雨による土石流の惨状、どうにかならなかったのかと思います。避難勧告が出なかったことがこれだけの多くの犠牲者を。以前、名古屋では全域に避難準備情報が出されました。「おおげさ」と思いましたが、たとえ無駄だったとしても住民は行政への安心感が。改めて自分の考えの至らなさに恥じ入ります。尊い命が亡くなってからでは遅すぎると。
お亡くなりになった方々のご冥福をこころからお祈りしますと共に被害に遭われた方々へお見舞い申しあげます。
一昨日、台風が通りすぎてもう大丈夫と思い、名古屋駅にある映画館へ。吹き返しの風がすごくて飛ばされるのではと。
「6年間育てた息子は、他人の子でした」...カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞、10分以上もスタンディングオベーションを受けた「そして父になる」を観てきました。公開されてからかなり日が経っています。私は観客が多いと集中できなくて、台風での影響で観客も少ないのではと。一番良い席で観ることができました。
子供の取り違え、それも看護師による故意によるものでした。主人公(福山雅冶さん)はエリートの大手建設会社に勤務、妻と一人息子との何も不自由のない生活、反対にもう一家族は群馬のさびれた電気店で親子5人で小さな家に。真逆...当然の事ですが、考え方も子供に対しての接し方も違います。重いテーマなのに静かに淡々と、でも親たちのこころの葛藤は..「あなたならどうする?」と是枝監督から突き付けられたようで感情移入です。妻(尾野真千子さん)が「どうして気付かなかったのか」と自分を責める気持ちは子供を育てた母親ならきっとわかるのではと。
しっかり者のお母さん(真木ようこさん)の横でちゃらんぽらんに見える電気店のお父さん(リリー・フランキーさん)が時折話す言葉が理想的なエリート会社員より的を得ていて「お金では買えない物がある」仕事の忙しい主人公に「父親だって取りかえのきかない仕事」その言葉がこころに響きます。決して恵まれてはいないのです。こどもにとって「本当の幸せは何かと」...リリーさん好演でした。
まだ、6歳の子供に今までの家庭環境を変えさせることは無理なのは目に見えています。(出演した子供たち、4人が演技をしているのかと思うほど自然で素晴らしくて泣かされました)交換を決めてからの主人公か周囲を取り巻く人たちによって徐々に傲慢さが少しずつですが消えて..(上手くなりました!!福山さん)パパに教えられ写真を撮るのが好きだった息子...残したカメラの画像に知らないうちに撮った大好きなパパの姿がいっぱい...体に流れる血は違ってもこころに流れる血は父子でした。
淡々とした120分の物語、時間が経つうちにじわじわと押し寄せる感動、優しくてこころが温まる「LIKE FATHER, LIKE SON」でした。