恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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マスターが好き~その1

2015-09-06 06:22:16 | かなり年下の彼女

『年上の彼女』と同じ時期に書いたお話です。
ここでは、年下の子との恋愛というよりも、ちょっと手出しをするのは憚られる相手がいたとして、積極的な女の子のアプローチに譲二さんはどう対処するだろう? という興味で書き始めました。
吉恋のヒロインはそんなに積極的というわけではないですからね。女の子の方から抱きついてくるようだったら、どうするの? って。

この話はまだラストが確定してない…と言うか、途中で止まってます。
だけど、upするうちに続きの話も書けるようになるといいな…という希望的観測でupしていきます。


☆☆☆☆☆

 譲二ルート以外のどれかのルートの譲二さん。
 本編のヒロインは大学を卒業して就職、クロフネを出ている。

☆☆☆☆☆
マスターが好き~その1

〈汐里〉
 折り紙で、風船や鶴、星を折っている。

 数をこなすうちにだんだん上手になってきて、楽しい。


 チャイムが鳴った。


汐里「あ、りっちゃん!」

理人「やあ、何してるの?」

汐里「あのね、今度の夏祭りの時に商店街のアーケードに七夕飾りをディスプレイすることになったんだけど、マスターがその当番にあたって、折り紙でその飾りを作らなきゃなんなくなったんだよ」

理人「え? マスターと汐里ちゃんだけで全部作るの?」

譲二「りっちゃん、いらっしゃい…。俺のとこだけじゃないんだけどね…。
責任者だから、一番数をこなさなくちゃいけなくて…。
汐里ちゃん、ごめんね。店が終わったら俺も一緒に作るから…」

理人「マスター、こんなの作れるの?」

汐里「そうだよ。色々上手なんだよ。鶴とか星の折り方もマスターに教えてもらったんだよ」

譲二「汐里ちゃんは物覚えがいいからね。すぐ覚えて器用に作るよね」

理人「楽しそうだね」

汐里「マスターには料理とか何でも教えてもらってるもんね」

譲二「汐里ちゃんは筋がいいから教えがいがあるよ」

理人「へぇ…」


りっちゃんは意味深に笑った。


理人「僕がしばらく来なかった間に、2人の間は結構進んでるんだね」

汐里「え? そう? そう思う?」


私は思わず身を乗り出した。


譲二「りっちゃん、からかわないでよ。汐里ちゃんが本気にするだろ」

理人「僕は思った通りのことを言っただけだけど?」

譲二「それより、りっちゃん、オーダーは?」

理人「じゃあ、サンドイッチとカフェオレちょうだい。アイスで」

譲二「サンドイッチとアイスカフェオレね」

汐里「逃げた…」

 私はそんなマスターの後ろ姿を目で追った。

(ん、もう…。そういう話になるとすぐ逃げ出すんだから…)


 りっちゃんが私の向かいの椅子に座った。

 頬杖をついて私を見つめた。

 りっちゃんはそんな風にするとお人形さんみたいに綺麗だ。


理人「それで…。ホントのとこ、マスターとはどこまで進んだの?」

汐里「うふふ、熱いキス…と言いたいとこだけど、マスター、キスなんかしてくれないんだよね。たまにおでこにちゅっくらい」


 りっちゃんが身を乗り出す。


理人「でも、もう恋人なんでしょ?」


 私はしぶしぶ白状した。


汐里「それも…。マスターは2人は恋人じゃないって言うんだよね」

理人「ふうん。でも、端からみてると十分恋人だと思うけど…」

汐里「そうだよね? そう思うよね?」

理人「汐里ちゃんの方から甘えて誘ってみたら?」

汐里「それはもうしてるよー」

理人「うーん。マスター、結構ガード堅いんだなぁ」


 私はこの間から気にかかっていることを聞いてみた。


汐里「ねえ、マスターと百花さんて…本当に何も無かったの?」

理人「うん。僕が見る限りで、特に何もなかったから、何も無かったと断言していいと思うよ」

汐里「そっか」


 なんだか顔がニヤけてしまう。


理人「汐里ちゃん、嬉しそうだね」

汐里「だって、私みたいにマスターと2人で暮らしてた女の子がいたなんて、気になるじゃない?」

理人「マスターの方は気があったかも知れないけど…、百花ちゃんは全然だったよ」

汐里「…やっぱり。マスターは百花さんのこと好きだったんだ…」

理人「あ、ごめん。でも、それいうとマスターだけじゃなく、僕らはみんな百花ちゃんのことが好きだったからね…」

汐里「え? そうなの?」


 それならりっちゃんも百花さんが好きだったんだ。


理人「そう。マスターもその6分の一というだけだよ」

汐里「ちょっと安心したかも…」

理人「だから、百花ちゃんとよりは汐里ちゃんの方がマスターと近いポジションにいると思うけどな」

汐里「りっちゃん、ありがとう」


 やっぱり、りっちゃんは優しいな。

 もちろん、マスターだって優しいけど…。

 この頃、少し私と距離を取ってる気がするんだよね。


 気のせい? と思ったりもするけど……。

 私のお父さんのことを話す前のほうが、ずっと私に触れてくれてたって思う。

 

その2へつづく