東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ヤゴに夢中

2023年07月20日 | ヤゴ
クワガタ採りの後は河川に入って避暑。2日連続の早起き、山歩き、それに暑さでヘトヘト。
思考回路も低下。曇り空なのでヤゴ調べを楽しむ事にしてヤゴ採りは娘に任せた。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED

前日にハグロトンボの羽化を撮影していたので、狙うはハグロトンボの終齢幼虫。すると...

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
左右、違う種類に見えてしまうけれど、両方ともハグロトンボの幼虫。左は終齢、右は終齢羽化前。
終齢から終齢羽化前になると、複眼は丸く張り出し、翅芽は膨らみストレートに変化。写真ではわからないけれど、終齢羽化前の個体は浮力が出ている。各段階での変化の違いを観察するのもまた楽しい。

撮影日:7月9日

再び河川のヤゴ

2023年03月29日 | ヤゴ
春分の日は朝から曇り空。
これだと成虫の活動は少ないと詠み、サナエトンボ科のヤゴの記録を楽しみに河川へ訪れた。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+Kenko Tokina ZX C-PL
羽化の時が迫っている為ダメージを最小限に配慮しながら一部の砂礫底を浚ってヤゴを検出。すると...

ダビドサナエ(終齢)

この川で春一番最初に発生、羽化の姿を見せてくれるのがこのダビドサナエ。

ホンサナエとアオサナエ(終齢)

羽化の時期が近い個体は前胸の下から翅胸付近に白い筋模様が見られる。

アオサナエ(中齢と終齢)

成虫になるまで2〜3年かかる為、世代違いを同時に観察できるところが嬉しい。
終齢はアオサナエらしい緑色の個体も見られるのが特徴。

アオサナエ(終齢の擬死)

前記事に掲載したコシボソヤンマのヤゴと同じく、触ると暫く動かずに擬死体勢をとり天敵を避ける。
シャチホコスタイルが魅力的で面白い。

オナガサナエ(終齢)

アオサナエよりも触角の先端が楕円形で体型も丸身なのが特徴的。

コオニヤンマ(中齢)

身体は扁平で流されてきた落葉にしか見えない擬態感が素晴らしい。ヤンマの名がつけられているけれど、コオニヤンマはヤンマ科ではなくサナエトンボ科でちょっとややこしい。

コヤマトンボ(中齢と終齢)

コヤマトンボはサナエトンボ科ではなくヤマトンボ科。身体は扁平でカニやクモの様な長脚が特徴的。身体にコケが生えているリアルな個体も見られた。羽化が迫るヤゴに配慮し、本当ならば2月〜3月上旬の記録が理想的。しかし、影の出をなるべく弱くしたい曇り空の日に合わせ、この時期になってしまった。撮影後にヤゴは捕れた場所にそっとリリース。また、オジロサナエ、ヒメサナエ、ヤマサナエのヤゴが採れず終い。それらのヤゴの記録はまた来春の機会にしたい。

ヤゴ撮影は全てD300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G

撮影日:3月21日

河川でヤゴ観察

2023年03月25日 | ヤゴ
今日、明日と冷たい雨の花冷えの週末なので、残念ながらフィールドワークはお休みかな。。。
サボっていたブログの更新をします。

朝は肌寒く感じられていたけれど、暖かくなってきたところで、娘と河川に入りヤゴ取り。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+Kenko Tokina ZX C-PL
そうそう、娘が同行した時はもちろん昼飯あり。ツルヨシを網でガサガサ、取れたヤゴは...

アサヒナカワトンボとアオハダトンボ(終齢)

カワトンボ科のヤゴは脚と尻尾(側鰓 そくさい)が取れやすく、画像のアサヒナカワトンボは前脚の片方がなく残念。両種、成虫の体型は殆ど変わらないのにヤゴの体型が異なっている事が不思議に思う。アサヒナカワトンボは緩流に棲み寸胴型で、アオハダトンボはやや急流に棲みスリム型。棲家に合った体型を持つのかも知れない。

コシボソヤンマの擬死

コシボソヤンマのヤゴは触ると、腹部を上に反らせてシャチホコのような、擬死と言われる姿勢をとり暫く動かない。尻尾に持つ鋭い棘を強調しているので、外敵を避ける為の防御姿勢だと感じられる。

コシボソヤンマのヤゴ(中齢)

上からの写真を見るとコシボソヤンマのヤゴの特徴は複眼下の前脚と被る後頭角に棘を持つ。また、腹部両側(側棘)、腹部先端(肛上片、肛側片)に鋭い棘があり、このトゲトゲしい身体は捕食者の鯉が吸い込んでも嫌がり吐き出してくれそうだ。

アオサナエとミヤマサナエ(中齢)

サナエトンボ科のヤゴが採れず、棲家がイマイチわからなかった。採れたヤゴはダメージに配慮して、その場で撮影、採れた場所にそっと戻すのがマイスタイル。フィールドでの白バック撮影に試行錯誤する事も楽しみのひとつだよ。次回は主にサナエトンボのヤゴを探したい。

ヤゴ撮影は全てD300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G

撮影日:3月12日

河川のヤゴ調べ

2022年03月21日 | ヤゴ
今年からヤゴの特徴や生息環境の知見を深めたいと思い、通い慣れた水辺に棲むヤゴを少しずつ調べているところ。この日は中流域に生息する種類を調べに訪れた。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
都心と比較して季節の進行が遅く、サクラの蕾が膨らむのはまだこれからといった様子。例年4月上旬からサナエトンボの羽化がスタートするので3週間後に迫る中、その前にヤゴの観察をしたいと思い網でガサガサ。すると...

コオニヤンマ(左)とコヤマトンボ(右)のヤゴ

両種、扁平な体型で長脚が特徴的。コオニヤンマは体色に個体差があり、今回、採れた個体は真っ黒。動かずにいたら枯れ葉にしか見えない擬態が素晴らしい。川底に枯葉が堆積した淀みで採れた。

オナガサナエのヤゴ

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
比較的、流れの早い場所を好むようで、下流側に網を構え上陸側に沈む石を返して流す作業で採れた。身体の側面に棘が多く見られる事から流されない様に棘を使用して石の間に身体をガッチリとロックしながら獲物を待ち構えているのかも知れない。

アオサナエのヤゴ(亜終齢と前齢)

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
身体の内部にアオサナエらしい緑色が見られる。背面中間より一段下の部分にM字のような斑紋が入る個体と入らない個体がいる。思いの外、サナエトンボのヤゴを採るのに苦戦していて、自分は諦め撮影に取り掛かっていたところ、同行いただいた田中さんが丹念に砂礫底を掬った努力の末、アオサナエのヤゴを採っていただいた。

アオハダトンボかハグロトンボのヤゴ

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
ヤゴハンドブックとヤゴペディアのサイトを参考にされていただいたけれど、アオハダトンボorハグロトンボなのか?個体差もあり確信できる同定ポイントが無いため解らず。自分なりに観察と知見を重ねて判明できるようにしていきたい。

ミヤマカワトンボのヤゴ

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
上記のヤゴに似ているけれど、明らかに体型が大きく、触角の第1節目も長いので同定可能。尾鰓が欠けてしまっているのがちょっと残念。カワトンボのヤゴは抽水植物の根で採れた。狙っていたダビドサナエ、ホンサナエ、ヤマサナエのヤゴは全く採れず終い。いったい何処に潜んでいるのか、この先の課題にしたい。

撮影日:3月13日

池のヤゴ調べ

2022年03月08日 | ヤゴ
アズマヒキガエルの観察は程々にして、この日の本命は自然池に棲むヤゴ調べ。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED

娘と一緒に網でガサガサ採集。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
ダメージを考慮して持ち帰らずその場で撮影する為、あらかじめペットボトルに準備していた水を、白いトレイに入れ、ゴミやチリはスポイトで除去。直射日光がヤゴの下に濃い影を出してしまうので、それを軽減させるため、半透明のビニール傘をディフューザーの代わりに使用して、種類別に撮影した。(多少のレタッチあり)

クロイトトンボ

D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
イトトンボ科のヤゴが数多く採れたので選別してみると全てクロイトトンボのヤゴ。アジアイトトンボとアオモンイトトンボのヤゴは何処に潜んでいるのだろうか。クロイトトンボよりも浅いエリアにいるのかも知れないので、次回は浅場を中心に掬ってみたい。

ショウジョウトンボ

D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
クロイトトンボの次に数多く採れたのはショウジョウトンボのヤゴ。
成長段階が異なり右側の翅部に泥が着いた個体は終齢幼虫。

シオカラトンボ

D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
成虫は付近に水辺が無い公園や空き地やなどでも見られる一般的な普通種。
シオカラトンボのヤゴをじっくりと観察したのは今回が初めてかも知れない。

ヨツボシトンボ(終齢幼虫)

D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
東京都区部では超希少種に入るレアなトンボ。このヤゴの棲家は上記の3種類とは異なり、植物が繁茂する浅い場所を好んでいる様子にある。シオカラトンボのヤゴに似ているけれど、より複眼が大きく角張っていて毛深いのが印象的。

集合写真

D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
ヤゴ以外は、ギンブナ、カダヤシ、ヌマエビの一種、アカムシ。

観察、撮影した後は、採れた場所にリリース。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
期待していたヤンマ科のヤゴが採れず残念だったけれど、今回、予想していなかった在来種のギンブナの生息確認ができた事も嬉しく、ヤゴを含めた池の中の生きもの調べもまた楽しい。次回は河川に棲むヤゴを調べに行こう。

撮影日:3月5日