東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ヤゴって面白い 3

2024年04月05日 | ヤゴ
シオカラトンボとシオヤトンボのヤゴを図鑑で見ても違いが分かりにくいので実際に並べて比較した。

シオカラトンボ(終齢幼虫)

シオカラトンボの生息環境(冬水田んぼ)

明るく開けた場所にある水が確保された水深の浅い池、田んぼ、河川の水溜り、ビオトープ等に生息。
管理が行き届いた水辺でこの体型のヤゴが採れたらシオカラトンボかオオシオカラトンボの可能性大。

シオヤトンボ(終齢幼虫)

シオヤトンボの生息環境(谷戸の湿地)

水はけが悪く通年乾燥しない、ぬかるんだ湿田、湿地で、シオカラトンボよりも限られた水辺に生息。ここは赤土を含んだ湿地の為、体色が赤茶色の個体が多く見られた。生息環境によりヤゴの体色には違いがあるので色での区別は適さないが今回は違いが明確に出た例。掲載した環境写真は実際に両種のヤゴの採集場所。背棘の有無で区別するのが確実だが肉眼での確認は難しく棘を分かりやすく撮影するには、今のところ自分の機材では無理なのでまたの機会にしたい。

シオヤトンボ(上)シオカラトンボ(下)

ご閲覧くださる方が見て楽しめるようにライブ感ある配置にして動かないでいる瞬間を一発撮り。
一例として参考にしていただければ幸いです。

ヤゴって面白い 2

2024年03月29日 | ヤゴ

Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
ひらべったくて毛深いのはタカネトンボ。脚がシマシマのギョロ目ちゃんはヤブヤンマ。
どちらも山にある、たくさん落ち葉が沈んだ池に棲んでいる。

Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED+ZX C-PL

ヤゴって面白い 1

2024年03月28日 | ヤゴ

色々な種類のヤゴを並べて観ると形や色の違いがわかる。日本でいちばん大きなトンボはオニヤンマ。
でも、この中でいちばん小さいヤゴがオニヤンマ。まだ子供だから小さいんだ。
シオカラトンボ(左上)オオシオカラトンボ(右上)シオヤトンボ(左下)オニヤンマ(右下)
Nikon D300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

ヤゴを操る

2024年03月21日 | ヤゴ
このところ職場から帰宅後はヤゴの撮影を楽しんでいるので更新が疎かになってしまった。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
この日も2日と同じ自然池のヤゴ調べ。前回の場所は避けて池の中央付近をガサガサ。
最深部は1m。植生はガマ、ヨシ、マコモ、タヌキモ。前回と同種に加えギンヤンマのヤゴも採れた。

ギンヤンマ(中齡幼虫)

複眼が大きく水中移動にも優れていそうなスリムな体型で、腹先部には身を守る突起を持つ。
また、枯れたガマ、ヨシ等の抽水植物に擬態した体色も素晴らしい。薄緑色の個体は脱皮後。
ギンヤンマの羽化は5月上旬頃から。

チョウトンボとショウジョウトンボ

後脚が長く体型も似ているけどチョウトンボの方が小型で複眼と腹部先端の違いで見分けられる。撮影時は比較的おとなしいので撮りやすい。チョウトンボとショウジョウトンボは管理時に浮遊させておいたマコモの根で、ギンヤンマとアジアイトトンボはヨシで採れた。水生植物が繁茂する池を好む一般的な種類。ただ、ヨシ、ガマのみの池だとチョウトンボは少なくチョウトンボはヒシ等の浮葉植物や、藻等の浮遊植物をより好む。トンボと水生植物の関係を知るのもまた楽しい。
ショウジョウトンボの羽化は4月下旬頃から6月。チョウトンボの羽化は6月上旬頃から7月。

アジアイトトンボ

前回と重複するが同種のヤゴでも体色に個体差が見られるところが面白い。また、イトトンボのヤゴの特徴である尻尾(尾鰓 びさい)をしっかり張らせてかっこよくする方法は無いかと思い水中に棲むイトトンボのヤゴをイメージして、ヨシの茎の切れ端を撮影用トレイの中に入れてみた。すると...

アジアイトトンボ

見事に成功!尾鰓を開いてくれた。また、尾鰓は取れやすく成虫になる時に身体の一部としての役割りがなく、後ろから外敵に襲われた時には尻尾を犠牲にして逃げるトカゲと同じ効果を持つ事も想像できる。そうした観点からイトトンボのヤゴは面白く興味深い。アジアイトトンボ春型の羽化は3月下旬から4月中旬。

別の場所で採集したヤマサナエ(終齢)

1週間後に再び採れた場所にリリースするスタイルで、撮影の為の一時飼育セット。水は水道水。ヤゴはお尻で呼吸しているので尻先を水面上に出せるように水深を設定。ヤゴと一緒に採れた植物を入れている。エサは赤虫(釣具の上州屋で購入)220円。チョウトンボのヤゴだけ食べてくれなかった。
この仕様で今のところ死んでしまった個体は無い。ヤゴの持ち帰り方についても次の機会に書きたい。

ヤゴの白バック撮影はレタッチ時の作業を減らす為、水中に入ったゴミをなるべく取り除く作業等、色々な苦労と課題がありそれを自分なりにクリアしていくのが楽しい。この先は様々な種類のヤゴを観察、撮影したいのでベランダに飼育施設を検討中。

ヤゴは全てD300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:3月12日

自然池のヤゴ調べ

2024年03月04日 | ヤゴ
この土曜日はヤゴ調べを予定していたので決行。しかし、寒すぎて小一時間で底冷え...

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED+ZX C-PL
その場で撮影する予定だったが寒さに挫け、今回は持ち帰って撮影しノーダメージで翌朝にリリース。

アジアイトトンボ(左)とクロイトトンボ(右)

アジアイトトンボは模様が少なく尾鰓(びさい)が細く尖る。クロイトトンボは透けていて身体、脚、尾鰓に模様が目立つ。クロイトトンボと近縁種のムスジイトトンボ、セスジイトトンボ、オオイトトンボはここに同分布していない為、比較できないのが残念。

アジアイトトンボ(終齢)

茶褐色の個体は枯れたヨシに擬態している。イトトンボのヤゴのエサはミジンコやボウフラなどの小型の水生生物。飼育時での注意は共食いを避けるため小さなヤゴと大きなヤゴは別々にしておく事。大型のヤゴのエサにはメダカ、赤虫、イトトンボのヤゴの餌はミジンコ、ボウフラ、イトミミズが良い。

アジアイトトンボ(終齢)

体色が黒いからクロイトトンボかと思ってしまい紛らわしいけれどこちらもアジアイトトンボのヤゴ。
イトトンボのヤゴは水生植物にしがみついて生活をしているのでそれがないと落ち着かない。
また、冷水に変えてもよく動き回るので撮影がしづらい。

シオカラトンボ(左)とショウジョウトンボ(右)

色々組み合わせを変えながら撮影を楽しむ。

ショウジョウトンボとチョウトンボ(中央)

同じ水辺に棲むヤゴでも浅い水深や抽水植物を好んだりと、種類によって棲家の違いを知ることもヤゴ調べの楽しみと目的のひとつ。今回は例年よりもクロイトトンボが少なくアジアイトトンボが多めで、アオモンイトトンボとヤンマのヤゴは採れず終い。3月は各種のヤゴ調べを楽しみたい。

ヤゴは全てD300S+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:3月2日