東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ヤゴって面白い 13

2025年02月07日 | ヤゴ
ヤブヤンマ

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
昨年の晩秋に山地の池で採集した3頭。飼育中に3頭とも1度、脱皮を終えた中齢2頭と終齢1頭。
2月に入ってからエサを食べなくなったので、そろそろ脱皮が近いのかも知れない。ヤブヤンマは1年1世代とされているが、見ての通り成長過程に差があるところが気になった。山地ような低水温の環境池に分布する個体群の中には、成虫になるまで数年かかる個体も出そうな気もするけれど、今の段階で中齢の個体は、春にヤマアカガエルのオタマジャクシをたらふく捕食して終齢にまで達するのか。例年、羽化のタイミングに合わせられずにいるのも事実。1年1世代と言う事は、産卵の時期にはヤゴが採れないはずなのでその真相を確かめてみたい。

マルタンヤンマ

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
晩秋に湿地で採集。ヤブヤンマと同じく1年1世代。成虫の活動期間はヤブヤンマよりも若干出遅れに感じるが同等。10頭ほど飼育中だけれど、成長過程でヤブヤンマのような大差は見られず、不思議と粒ぞろい。これは羽化の時期が短期集中型を表しているのではないかと思った。そう考えるとやっぱりヤゴって面白い。※画像はクリックで拡大します。

撮影日:2月7日

ヤゴって面白い 12

2025年02月05日 | ヤゴ
ヤンマ3種類の中齢幼虫を一緒に撮影してみた。大きさは15mm程。こうして一緒に並べて撮影すれば、それぞれの特徴と違いが分かりやすいし、閲覧された方も楽しめると思った。 3種類を撮影用の白いトレイに入れてワンフレームに収めるとなると、動き回るのでなかなか難しい。でも、1頭ずつ撮影して後から合成する方法だと、撮影している自分にライブ感もリアル感も無いから楽しくないんだ。

Nikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
マルタンヤンマのヤゴは撮影中おとなしいけれど警戒心が強く、エサのアカムシを与えて暫く様子を見ていると、絶対に食べないので捕食シーンの観察が叶わない。貪欲なギンヤンマとは明らかに違う生態を持っている。ヤブヤンマのヤゴも警戒心が強く、3種類の中では逃げ隠れが非常に上手い。

撮影日:2月5日

ヤゴって面白い 11

2025年01月29日 | ヤゴ
久しぶりのヤゴネタ。
東京都に生息するトンボの成虫だけでは物足りないく、各種ヤゴの姿と生態を知りたいと思い、
コツコツ地道に採集し、一時的に飼育しているヤゴを紹介。今回は昆虫少年に大人気のギンヤンマ。

ギンヤンマのヤゴ集団

マイルームを飼育部屋としている為、成長を促さない様にこの冬は寒々な暖房厳禁生活中。
複数を一緒に飼育する場合は、同じサイズ毎に揃えると、比較的、共喰いのリスクを回避できる事がわかった。それでも脱皮の最中には狙われやすい。その脱皮の時も観たいと思っているが、いつの間にか行われていてまだ観察が叶わない。また、羽化はフィールドで観察する事に拘っている為、それ以外の中齢〜終齢幼虫の飼育方法を改めて別の機会に書く予定。ヤゴは観察、撮影後に採集場所へリリース。

ギンヤンマの三兄弟

同じギンヤンマのヤゴでも体色には個体差があり不思議で面白い。何故、体色が違うのかと言うと、棲んでいる水辺の色、水中に在る枯葉などの植物に合わせた擬態色を持つ事で、天敵からの捕食のリスクを回避していると考えられる。

ギンヤンマのヤゴのオスメス

ギンヤンマだけではなくヤンマ科のヤゴは腹面、尾部の中央、少し上にトゲ(成虫時に必要な産卵管)を持つのがメスで無しがオス。特に終齢幼虫だと分かりやすい。

ギンヤンマとクロスジギンヤンマのヤゴ

観察をする中、ギンヤンマの終齢幼虫だけでも個体の経過により特徴に微妙な違いが観られる事が解った。ギンヤンマとクロスジギンヤンマのヤゴを並べて撮影。意地悪かもしれないが外見の違いでは見分けられないので参考にしないように。これらも観察を続けて自分なりの分析を楽しみたい。

参考までに
以前に掲載したヤゴの飼育方法

画像は全てNikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G

10月下旬のヤゴ調べ

2024年10月29日 | ヤゴ
前回、ミズカマキリを観察できた事が嬉しく、再びヤゴを含めた水生昆虫の調査を楽しんだ。

水辺環境


Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
どちらも隣接して水深が異なる水辺をガサガサしてチェック。

すると...

ギンヤンマの終齢幼虫

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
今の時期の終齢幼虫は来年の春に羽化。ギンヤンマのヤゴは獰猛。
小型を襲う習性を持つので共喰いを避けるため同サイズ毎に分けて容器に入れるよう心掛けている。
飼育時も同様で毎日エサを与えている状況下では今のところ共喰いは見られない。

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
隠れる場所がないので姿をオープンにされるのを嫌がり仲間同士しがみつく様子が見られていた。
特にマルタンヤンマのヤゴは臆病で警戒心が強く、即座に身を隠す習性を持つことが観察から伺えた。

マルタンヤンマとギンヤンマの比較

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
大きさは2cm程の個体。マルタンヤンマはギョロ目で枯葉色。ギンヤンマは抽水植物に擬態した体色。違いは一目瞭然。前回、運よく捕れたミズカマキリはまぐれだったようで、ギンヤンマとマルタンヤンマのヤゴが無限に捕れる一方、ヤゴ以外の水生昆虫は少なくヒメガムシ、マツモムシ、その他にヌマエビ、アメリカザリガニ。それから3mm程の極小型ゲンゴロウの仲間を捕獲したものの種類の特定は次回に持ち越し。ヤゴは撮影用に多少持ち帰っているのでじっくり撮る予定。

撮影日10月26日

秋のヤゴ調べ

2024年10月09日 | ヤゴ
ここは7月にカトリヤンマの棲家の記事で掲載した水辺環境。その時よりもだいぶ減水が見られ晩秋には渇水に至るシステム。渇水する前が最大のチャンスで、この時期は何が捕れるのか調査を楽しんだ。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
水深が浅い溜まりを網でガサガサ。すると...


Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
ギンヤンマのヤゴの天下。その他の水生昆虫はマツモムシ、キベリヒメクロゲンゴロウ。それと、どう言う経路で侵入するのかが気になる、ここでは珍しいアメリカザリガニの幼体も。1匹でもアメリカザリガニがいたら生息数は100匹以上と言う説があるけれど、それは残念な都心部の公園池。ここに今100匹以上いるのはギンヤンマのヤゴ。
また、ギンヤンマの終齢幼虫ならこのサイズのアメリカザリガニを捕食できるはず。本当にギンヤンマのヤゴがアメリカザリガニを食べるのかを見たいので実験用に持ち帰った。

これだけ多数のヤゴが生息しているのであれば、希少な水生昆虫がいても不思議では無いと思い、
もう一箇所、似たような環境下で気になっていた水辺に入ってガサガサした。すると、お!いた。

ミズカマキリとギンヤンマの終齢幼虫

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
比較用にギンヤンマの終齢幼虫を入れたけれどヤゴ以外で大型の水生昆虫のミズカマキリに出会えるとは最高に嬉しい。ミズカマキリが生息すると言う事は近縁種のタイコウチ、コオイムシ、東京都絶滅とされているタガメの可能性にも期待できるかも知れない。雨でも来た甲斐あり。冬場に水が無くなる事により外来種の繁殖が断たれる。そんな数少ない水辺こそが在来水生昆虫の棲家。ただ、彼らの外敵は水中に棲む外来種だけでは無い。

野生動物の足跡

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
岸辺には渇水を待ち望んでいる魔の手の存在あり。アライグマやイタチ等の野生動物の足跡が点在していた。飛翔移動可能なミズカマキリ、キベリヒメクロゲンゴロウ、マツモムシ以外のヤゴ達の運命は...残念ながら野鳥や雑食性野生動物の餌食になってしまうだろう。助けてあげたいけれど、自然の摂理に手出ししてはいけない。

※ フィールドでヤゴを撮影する場合は予め白いトレーとペットボトルに水道水を入れ持参して使用しているが、ここは水質がクリアだったので水辺の水を使用した。トレーに入ったゴミはスポイトで取り除いている。また、晴れているとトレーの周りとヤゴの下に影が多く出てしまい映えないので、天気が悪い日の楽しみにしている。

撮影日:10月6日