ヘンリー・ウォード・レンジャー(1858-1916)、アメリカ。
これはカミーユ・コローの「モルトフォンテーヌの思い出」に寄せて描かれたものだろう。
タッチや絵の具の薄さを真似して描かれている。
オマージュというものについて考えてみたい。
芸術家はよくほかの芸術家の作品に刺激されて自分の作品を作ることがある。
それは悪いことではない。
他者の作った作品に感動して学ぶのはよいことだ。
だがそれが時に愚に落ちるのは、馬鹿な作家がたくみに盗んで自分のものにすることがあるからだ。
その境界というのがかなり難しい。
オマージュ作品は、原作者の作品を越えてはならない。勉強させてもらうものとして、腰を低くせねばならない。
そういう態度を明確に表しながら、決して引けを取らない自分の力をも示さねばならない。
人はいさこころにもなくいはやどの月をむかしの野にもとめけむ 揺之