ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

春の詩集

2018-07-04 03:26:03 | 資料


あなたの懐中にある小さな詩集を見せてください
かくさないで――。

それ一冊きりしかない若い時の詩集。
隠してゐるのは、あなたばかりではないが
をりをりは出して見せた方がよい。

さういふ詩集は
誰しも持つてゐます。

をさないでせう、まづいでせう、感傷的でせう
無分別で、あさはかで、つきつめてゐるでせう。

けれども歌はないでゐられない
淋しい自分が、なつかしく、かなしく、
人恋しく、うたも、涙も、一しよに湧き出でた頃の詩集。

さういふ詩集は
誰しも持つてゐます。



河井酔茗の詩である。
だれしも未熟な自分の詩など読みたくはないものだ。
忘れたい記憶として破り捨ててしまうものもいる。
どうにも捨てられず、いつか処分をしようと思いつつ鍵をかけて保存しているものもいるだろう。

そういう詩を愛おしんでくれる詩である。
全文は長いので一部を引用した。


古き歌今よみかへしあやまちをみとめつつ知る若さといふもの    揺之






この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サーカス | トップ | 海の上の »
最新の画像もっと見る

資料」カテゴリの最新記事