ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

汚れっちまった悲しみに・・・・・・

2018-07-10 03:25:35 | 資料


汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘(かわごろも)
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢む

汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……


今日は中也である。
「夢む」はどう考えても「夢みる」だろう。だがこういうことばは古語にはない。
作者の造語である。

こういう造語がどこまで許されるのかが問題だ。

しかし「夢みる」であれば全体のリズムが壊れる。ここはどうしても「夢む」のほうがいい。

読んで読者に通じればいいという感じもしないでもない。


情けなきうれひけがれてゆくみちも夢見に消えぬ今朝の光は    揺之






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