見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

日本人が少数派(その2)

2009-01-14 23:15:52 | 離島の風景
年末、屋久島YH(ユースホステル)に来た豪州人のDavidは、ここで4泊する予定だと言った。

歯科医大生で、インターンシップに入る前の休暇を日本で過ごすことにした。
東南アジアは行ったけど、日本は初めて。
今回の第一目的は、友人たちに薦められた北海道のニセコ。
生まれて初めてスノーボードをやって、本当に面白かった。
スキーはやったことがないけど、スノーボードはなかなかだよ、とDavid。

せっかく日本に来たのだから、少し日本を見たいと思って、
北海道から羽田経由で鹿児島まで飛んで、フェリーで屋久島に来た。
学生なので、フライトと鉄道が一緒になった格安周遊券が利用できる。

で、どうして屋久島なのかと聞くと。
「小さい島だと、ゆっくりクリスマスを過ごせるかなと思って」と。

彼が屋久島を知った情報源は、『Lonely Planet』だった。

日本人の『地球の歩き方』と同じコンセプト、同時期の1970年代後半に発行された世界のバッグパッカーご用達ガイドだ。
海外を歩くと、個人旅行の日本人と韓国人は『地球の歩き方』を、欧米人は『Lonely Planet』を持ち歩いている姿が目立つ。

彼の本を借りて見ると、確かに、屋久島が予想外に大きな扱いで地図上に明示されていた。



Davidと一緒に行動していたある日、
どこかでランチを食べようということになった。
レンタカーで島の周囲をしばらく走ったが手ごろな店が見つからない。
すると彼が、
「ユースホステルの近くにいい店があるらしいんだけど。『はちまん』という名前だった」と言った。

『Lonely Planet』情報だった。


残念ながら、その時は閉店していてランチは別の店に行ったのだが、
その夜YHに入ったアメリカ人のカップルが、『はちまん』で夕食を済ませてきたと言った。
「とても親切なスタッフたちで、魚料理が美味しかったよ」と。
もちろん、店の存在は『Lonely Planet』で知った。

<YHから西に数百メートルの距離にあり、750円の「テイショク」は素晴らしい。>等と書かれている。

翌日の夕食時、「はちまん」に行ってみることにした。
暖簾がかかった一般的な和食の居酒屋風食堂だった。
地域の人たちが何組か座テーブルでお酒を飲んでいた。



カウンターに座ると、おしぼりとメニューが示された。
ふつうの店だ・・・が、割り箸の包みにアルファベットが書かれていた。
`Wari・Bashi`

英語メニューはありますか?と、試しに訊いてみた。
今いるYHの知人たちが、この店を教えてくれたんです。外国人ですが。

カウンター内の女将は、笑顔で別のメニューを出した。
英語と日本語が併記されたメニューだった。



ここは、外国人向けの旅行ガイドに掲載されたようですね。
「ええ、私たちはまだ見たことがないんですが、
YHに泊まった外国の方が書いてくれたみたいですね。
おかげさまで、外国人の方はけっこう来てくれます」



ロンリープラネット効果は、静かに進行しているのかもしれない。
そういえば、年末に築地市場が見学中止になったのは、訪れる外国人の見学マナーが悪いからという理由もあげられていた。

『Lonely Planet』のカラー刷り特集「日本のハイライト」では、
カラー写真ページの2番目に、築地市場が紹介されていた。


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