小関順二公式ブログ

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1位入札候補、東浜巨のベストピッチ

2012-10-10 09:05:17 | 2012年観戦記・大学野球

◇10月9日(火曜日)晴れ
東都大学リーグ/神宮球場
亜細亜大3-1中央大

 亜大のドラフト1位入札候補、東浜巨(右投右打・181/73)が見事な投球をした。今秋は9/1の東洋大戦、9/18の駒大戦を見たが、首を傾げる内容だった。スピードは9/1が最速144キロ、9/18が143キロ、この日が145キロと大して変わらない。失点もそれぞれ1、2、1と少ない。それでもこの日のピッチングが圧倒的によく見えた。投げ始めからフィニッシュまでの投球タイムは、9/1が1.8~2.1秒、9/18が1.9~2.1秒、10/9が2.0~2.3秒と大きな違いが見える。
 9月に取材した藤浪晋太郎(大阪桐蔭)は春が約2.1秒、夏が約1.8秒と投球タイムが速くなっていて、それに対して「あんまりゆっくりだとバラけてしまうので、ポンポンとしっかりリズムを作って」と説明してくれた(雑誌『アマチュア野球』より)。しかし、東浜は沖縄尚学時代から、投球タイムが遅ければ遅いほど投球内容がよくなる。
 ストライク率の高さも好・不調のバロメータである。よくないときは安易にボール球を振らそうと横着なピッチングになるが、この日は低めいっぱいのストライクゾーンにストレート、ツーシームを丁寧に配し、打者を打ち取っていった。3回までに奪った三振は2個。これは東浜にしては少ないペースだ。
 ツーシームを大きく落とさないで小さい変化でストライクゾーンに入れるという意識の徹底がこの三振数に表れていると思う。4~7回までの4イニングは三者凡退で切り抜け、12アウト中、三振が9個とようやくいつものドクターKぶりを発揮している。これは3回までの丁寧なピッチングで、ボール球を振らせる環境が整ったからと見ていいだろう。
 とにかくストレート、ツーシーム、スライダーとすべてのキレ味が素晴らしく、被安打は1回裏、影山潤二(3年・左投左打・173/68)に打たれた中前打のみ。8回はいずれも3ボール2ストライクから四球を3つ与え1死満塁にし、捕手・嶺井博希のミットが打者のバットに当たる打撃妨害で1失点を許した。3回にも2つの死球で一、二塁のピンチはあったが、それ以外は完璧に抑えた。ドラフトを16日後に控え、ようやく本来のピッチングを取り戻した東浜。1位入札で迷う球団のスカウトは、これでまた悩む材料が増えたのではないだろうか。


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