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原爆-63年目の真実-

2008-08-03 00:35:30 | TV、DVD、ビデオ
原爆-63年目の真実-(テレビ朝日)

 風化されつつある戦争の記憶。
 夏になると戦争映画やテレビの特番が組まれることを「またこの時期がやってきたか・・・」と、なにか邪魔くさく感じていた幼い頃もあった。しかし、最近は戦争体験者が高齢になり、このままでは語り継ぐ者がいなくなるんじゃないかという危機感が先にくる。8月の映画鑑賞1本目が『ひめゆり』だったこともあり、こうなったら戦争特集番組を全部見てやる!と決意しました。ということで早速テレビの戦争特集を鑑賞。まず1本目はテレビ朝日で放送された「原爆-63年目の真実-」だ。

 ナビゲーターは中井貴一。リポーターの大沢たかお、石原さとみがそれぞれ活躍する。
 63年前に広島、長崎に投下された原爆。多大な被害を受けた現実と、隠された真実を「最後の生き証人」が重い口を開くという新しい切り口のドキュメンタリー番組でした。
 話は三つのストーリー。

 第一話はアメリカ戦略爆撃調査団が撮影した被爆3ケ月後の長崎の映像。その映像に映っていた14歳くらいの少女の謎の笑顔について石原さとみが調査する。その少女は生きているのか、ぜひ会って話を聞きたい衝動にかられ、ミステリアスに展開していくのです。笑顔の秘密が食べ物によって演じさせられたものだとしたら、許せない!しかし、事実は人間本来の優しさから生まれてきた。アメリカ人は原爆を落とした恐ろしい人種だと思っていたが、そうではないことに気づいた少女。言葉としてはなかったけど、やはり戦争が諸悪の根源であることを訴えてくる。

 第二話はウランを素手で掴んだ中学生と、京駒込にあった理化学研究所仁科研究室で原子爆弾の研究開発が行われていた事実を伝える。終戦の年に研究所がピンポイントの空襲によって炎上し、計画断念を余儀なくされた。「もし原子爆弾製造できていたら?」という問いに元研究員の「使わなくてよかった」という答え。
中学生の物語では、むしろ信頼の厚かった教師のエピソードが感動的。現在の学法石川となる中学校。英語が禁じられているご時世に英語の授業があったり、戦争について正しい認識を持っていた教師の言葉が印象に残る。「日本は戦争に負ける」「明日からはスコップの替わりに教科書を持ってきなさい」などなど。

 第三話は皇居に長崎原爆と同じ形をしたパンプキン型爆弾を落としたパイロット、クロード・エザリー(イーザリーとも)を大沢たかおが追う。英雄と称えられていた爆撃隊の中で、彼だけが戦後しばらくして郵便局荒らしや強盗未遂奇行を繰り返し、「原爆投下は誤りだった・・」とコメントを残した人物だ。最近の映画にもよく見られる惨状を知ったためのPTSDなのかと思っていたけど、関係者を辿っていくと事実は違っていたのです。彼は映画『ヒバクシャ』でも描かれていた米兵の被爆者だったのだ。千回以上も原子爆弾を爆発させているアメリカ。50万人もの兵士が関わり、被爆して死んでいく者が多いのに、政府はひた隠しにしている・・・「人間モルモットにされた」という痛烈な言葉。
 だけど、被爆していないエノラ・ゲイの乗組員は「原爆投下は正しかった」との主張を変えようとはしない(多分、『ヒロシマナガサキ』で証言した乗組員と同一人物。そういや笹森恵子さんも出演していました)。

夏はまだまだ続く・・・暑い・・・ 

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4 コメント

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石原さとみ (戦争)
2008-09-22 02:16:08
あの唇でフェラしてもらったら最高だよね。
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日本も原爆を作ろうとしてた (kossy)
2008-08-06 11:31:36
>祐。様
たしかに目新しい事実はなかったかもしれないのですが、番組の作り方は面白かったです。『帽子』も録画して鑑賞。記事も書いちゃいました。

ファットマンの詳しいサイトリンクありがとうございます。すごい記録ですね・・・びっくり。

>ゆーた様
エノラ・ゲイ乗組員の証言はいつ聞いても、「やっぱり変わってないんだな」とがっかりさせられますが、クロード・エザリーの話は良かったですよね~

日本が原爆を作ろうとしていたことも、なんだか恐ろしく思えてきました。まぁ、研究員の人数とかを考えると、開発競争では絶対にアメリカに勝てなかったんだろうけど・・・

今年はいつもの8月よりも戦争関連の番組が多くなってるような気がします。とにかく経験者が高齢となっているんだし、もっともっと証言を聞いておきたい気持ちでいっぱいです。
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作らなくて良かった (ゆーた)
2008-08-04 17:30:55
エノラ・ゲイの乗組員が「戦争を早く終わらせる為に原爆を投下した」って言ってましたよね。
名目上はそうだったのかもしれないけれど、恐ろしい兵器を使ったということは間違いない事実です。
日本がそんな恐ろしいものを作らなくて、本当に良かったと思います。
最近では身近な事件の方が恐ろしくて、戦争に対する考え方が風化されつつあるような気がします。
それを考える8月は、大切な時期なのですが・・・。
暑いですね・・・。
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帽子 (祐。)
2008-08-03 22:36:36
特集も見たかったかなとおもうけれど、新しいことが少なそうだったので「帽子」を観ました。田中裕子なかなか良かったです。内容は「夕凪の国・桜の街」的だったかな。

「ファットマン」を落とすために49個のパンプキン爆弾が各町に落とされたとのこと。
1945(昭和20)年7月20日から8月14日にかけて、東京、富山、長岡(新潟県)、敦賀(福井県)、福島、島田(静岡県)、焼津(静岡県)、浜松(静岡県)、名古屋、春日井(愛知県)、豊田(愛知県)、大垣(岐阜県)、四日市(三重県)、大阪、和歌山、宇部(山口県)、新居浜(愛媛県)など1都2府15県29市町(現在の自治体数)の44目標に模擬原爆49発を投下(計18任務、延べ50機)
http://www1.ocn.ne.jp/~susuma/bombing/509/509MSN.htm
しかし、何処に落としたかの資料があるところがすごい。

8/14まで 模擬爆弾落とさなくてもと思いました。 
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