読書とかいろいろ日記

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第508号 『ロスジェネの逆襲』

2012年07月22日 | メルマガお奨め本

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週刊 お奨め本
2012年7月22発行 第508号
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『ロスジェネの逆襲』 池井戸潤
¥1,500+税 ダイヤモンド社 2012/6/28発行
ISBN978-4-478-02050-0
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書店で冒頭数ページぱらぱら立ち読みしたら、止まらなくなっちゃって、購入。
企業小説というもの、ふだんあまり読まないですけど(けっこう読まないジャンル多いな)、さすが池井戸潤、おもしろかったです~~。

『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』につづく、シリーズ第三作。
といっても、発行人は前作未読のまま読みましたがぜんぜん問題なし。
もちろん、読んでからの方がいっそう、主人公への感情移入ができて、楽しめると思いますが。未読の方はぜひ順番にお読みになることをオススメします。
発行人も、イマからさかのぼって読んでみようと思ってます(^_^)。



バブル世代の主人公、半沢直樹。
東京中央銀行でエリート中のエリートコースを歩んできたが、いまは子会社の東京セントラル証券に出向中。その辺のいきさつは、たぶん前作で。

東京セントラル証券に、電脳雑伎集団の平山社長から企業買収の案件が持ち込まれた。
買収相手は、電脳雑伎集団と並ぶITの雄、東京スパイラル。
成功させれば、多額のアドバイザー収益が見込める。しかし業歴が浅く実績の少ない東京セントラル証券では、敵対的買収のアドバイザー業務は荷が重いのではないかと半沢は思う。
「ノウハウはあるか」
「なんとかなりますよ、そんなものは」
やはり銀行出向組でバブル世代の、諸田次長は根拠なく楽観している。

電脳雑伎集団の担当である森山は、ロスジェネ世代である。
「リスクが高すぎると思いますが」
冷静に判断する森山は、諸田に疎んじられ、アドバイザーチームから外される。
代わりにリーダーに指名されたのは、やはり銀行出向組の三木。

東京セントラル証券には、プロパー社員と銀行出向組との二種類の社員がいる。
役員は出向組で占められ、プロパー社員たちは不公平感を募らせている。

森山はプロパーである。そしてロスジェネである。
身を削るような就職活動をくぐり抜けて証券会社に入ってみれば、バブル時代に大量採用された危機感なき社員たちが中間管理職となって幅をきかせていた。彼らを食わすために、少数精鋭のロスジェネ世代が働かされ、虐げられている。それが森山の実感である。


買収案件のスキームを練り、二週間後に電脳雑伎集団を訪問すると、思いがけず契約の破棄を一方的に通告される。
その裏には、親会社である東京中央銀行が。
銀行が、子会社から契約を横取りしたのである。
半沢が怒る。「――やられたら、倍返しだ」



ということで、ここからは東京中央銀行のえげつない買収スキームが展開して、半沢と森山は東京スパイラルの瀬名に接近して、水面下の情報戦が展開して、銀行証券部対半沢の対立構図が鮮明になって、半沢はまたまた出向の危機で……。
と、スピード感ある展開で、どんどん読み進んじゃいます。


敵と味方がハッキリしていて、わかりやすいストーリーなんですよね。
登場人物の私生活がいっさい出てこないところも、潔くて私は好き。



全体として、世代論ではあるのだけど、世代に関係なくやるべきことはひとつなんだ、という半沢の主張が清清しい。

> 「どんな世代でも、会社という組織にあぐらを掻いている奴は敵だ。内向きの発想で人事にうつつを抜かし、往々にして本来の目的を見失う。そういう奴らが会社を腐らせる」(159頁)



この一冊まるまる、ロスジェネ世代へのエールでもあります。

> 「お前たちには、社会に対する疑問や反感という、我々の世代にはないフィルターがあり、根強い問題意識があるはずだ。世の中を変えていけるとすれば、お前たちの世代なんだよ」(365頁)


すかっと楽しめます。
気分転換に是非!


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ロスジェネの逆襲
池井戸 潤
ダイヤモンド社

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