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週刊 お奨め本
2009年2月22日発行 第330号
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『禁断のパンダ』 拓未司
¥1,300+税 宝島社 2008/1/26発行
ISBN978-4-7966-6194-2
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『蜜蜂のデザート』 拓未司
¥1,400+税 宝島社 2008/12/17発行
ISBN978-4-7966-6714-2
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柴山幸太は神戸でフレンチスタイルのビストロを営む新進気鋭の料理人である。
毎朝自分の目で見て、市場で魚介類を選ぶ。材料が決まってから料理が決まる。
固定のメニュー表はない。常に旬の料理を日替わりで提供する、それが幸太の拘
りである。
腕に自信あり。
有名店で修業し、若くして自分の店を持ち、数年で高評価を得るまでになった。
最初は店の客と主人の関係だった妻は、妊娠中。幸福を噛みしめる幸太は、ある
日、妻とともに妻の友人の結婚式に参列する。その料理は驚くべき味だった。
その席で出会った新郎の祖父、中島翁は人間離れした味覚を持つ料理評論家。
中島翁と、天才料理家の石国は、美味極食会という食事会を開催している。究極
の美食を求めて、禁断の食材が…。
『禁断のパンダ』
> 口に入れた瞬間、幸太は言葉を失った。
> とろけるようなフォアグラの濃厚さと鮮度の良さはもちろんのこと、脇を固め
> るアスパラガスのほろ苦い甘味とふわふわの食感のきめ細かいメレンゲ、そし
> てその中に忍んでいたトリュフの鮮烈な香りが一体となった、素晴らしい逸品
> だった。(禁断のパンダ・51頁)
『禁断のパンダ』の時点で妊娠八ヶ月だった幸太の妻、綾香はその後順調に出産
に臨み、生まれた息子は陽太と名づけられ、三歳になろうとしていた。愛らしく
も食いしん坊の息子に、安全でおいしいものを食べさせたいと願う幸太は、食品
偽造のニュースに怒りを募らせる毎日である。
ところが陽太に突如、卵アレルギーが発症。すでに卵料理や卵を使ったお菓子の
おいしさを知ってしまっている息子のために、幸太は卵を使わないスイーツ作り
に取り組む。折しもコースの最後を締めくくるデザートに力を入れ始めていた矢
先でもあった。
新しいスイーツの開発にあたり、パティシエたちと知り合う機会を得る。
そして食中毒事件と、その余波、さらに新たな事件に巻き込まれ…。
『蜜蜂のデザート』
> 冷たさと暖かさが入り混じる、温度差のある濃厚な甘味が広がった。そして、
> 異なる数種類のチーズの香りが鼻先に抜けたかと思うと、ほろほろと崩れるサ
> ブレのような生地とナッツの香ばしさが、舌にたしかな足跡を残した。それら
> すべてを土台となって支えているのは、ブルーチーズの深い複雑な味わいと、
> ほのかに香るサワークリームのような酸味だった。(蜜蜂のデザート・119頁)
『禁断のパンダ』は第6回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
去年読んで、紹介しようかどうしようか迷った末に見送ったもの。
『蜜蜂のデザート』はその続編。
えー、まあ、なんだ、ミステリとしてはどちらも、なんつーか、諸手を挙げて絶
賛! というのはちょっとムズカシイ。
しかしそれを補う魅力がこの小説にはある。
おいしそうなんだよ!
料理の描写がとにかくメチャうまそー!
これを堪能するためだけにでも、読む価値ありです!
☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆
『禁断のパンダ』 拓未司
http://www.amazon.co.jp/dp/4796661948/ref=nosim/?tag=sivabookpage-22
『蜜蜂のデザート』 拓未司
http://www.amazon.co.jp/dp/4796667148/ref=nosim/?tag=sivabookpage-22
週刊 お奨め本
2009年2月22日発行 第330号
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『禁断のパンダ』 拓未司
¥1,300+税 宝島社 2008/1/26発行
ISBN978-4-7966-6194-2
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『蜜蜂のデザート』 拓未司
¥1,400+税 宝島社 2008/12/17発行
ISBN978-4-7966-6714-2
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柴山幸太は神戸でフレンチスタイルのビストロを営む新進気鋭の料理人である。
毎朝自分の目で見て、市場で魚介類を選ぶ。材料が決まってから料理が決まる。
固定のメニュー表はない。常に旬の料理を日替わりで提供する、それが幸太の拘
りである。
腕に自信あり。
有名店で修業し、若くして自分の店を持ち、数年で高評価を得るまでになった。
最初は店の客と主人の関係だった妻は、妊娠中。幸福を噛みしめる幸太は、ある
日、妻とともに妻の友人の結婚式に参列する。その料理は驚くべき味だった。
その席で出会った新郎の祖父、中島翁は人間離れした味覚を持つ料理評論家。
中島翁と、天才料理家の石国は、美味極食会という食事会を開催している。究極
の美食を求めて、禁断の食材が…。
『禁断のパンダ』
> 口に入れた瞬間、幸太は言葉を失った。
> とろけるようなフォアグラの濃厚さと鮮度の良さはもちろんのこと、脇を固め
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> てその中に忍んでいたトリュフの鮮烈な香りが一体となった、素晴らしい逸品
> だった。(禁断のパンダ・51頁)
『禁断のパンダ』の時点で妊娠八ヶ月だった幸太の妻、綾香はその後順調に出産
に臨み、生まれた息子は陽太と名づけられ、三歳になろうとしていた。愛らしく
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ところが陽太に突如、卵アレルギーが発症。すでに卵料理や卵を使ったお菓子の
おいしさを知ってしまっている息子のために、幸太は卵を使わないスイーツ作り
に取り組む。折しもコースの最後を締めくくるデザートに力を入れ始めていた矢
先でもあった。
新しいスイーツの開発にあたり、パティシエたちと知り合う機会を得る。
そして食中毒事件と、その余波、さらに新たな事件に巻き込まれ…。
『蜜蜂のデザート』
> 冷たさと暖かさが入り混じる、温度差のある濃厚な甘味が広がった。そして、
> 異なる数種類のチーズの香りが鼻先に抜けたかと思うと、ほろほろと崩れるサ
> ブレのような生地とナッツの香ばしさが、舌にたしかな足跡を残した。それら
> すべてを土台となって支えているのは、ブルーチーズの深い複雑な味わいと、
> ほのかに香るサワークリームのような酸味だった。(蜜蜂のデザート・119頁)
『禁断のパンダ』は第6回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
去年読んで、紹介しようかどうしようか迷った末に見送ったもの。
『蜜蜂のデザート』はその続編。
えー、まあ、なんだ、ミステリとしてはどちらも、なんつーか、諸手を挙げて絶
賛! というのはちょっとムズカシイ。
しかしそれを補う魅力がこの小説にはある。
おいしそうなんだよ!
料理の描写がとにかくメチャうまそー!
これを堪能するためだけにでも、読む価値ありです!
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『禁断のパンダ』 拓未司
http://www.amazon.co.jp/dp/4796661948/ref=nosim/?tag=sivabookpage-22
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