とね日記

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無料で読めるラグランジュの『解析力学』の原書、英訳本

2019年11月28日 17時43分08秒 | 物理学、数学
ラグランジュの『解析力学 第2版(1811, 1815)』拡大


オイラーと並んで18世紀最大の数学者といわれるフランスの数学者、天文学者「ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange, 1736年1月25日 - 1813年4月10日)」である。




彼の初期の業績は、微分積分学の物理学、特に力学への応用である。その後さらに力学を一般化して、最小作用の原理に基づく、解析力学(ラグランジュ力学)をつくり出した。ラグランジュの『解析力学』はラプラスの『天体力学』と共に18世紀末の古典的著作となった。

ラグランジュの歴史的偉業として有名な著作『解析力学』のフランス語原書と英訳本が無料で公開されている。

解析力学は17世紀のニュートン力学を一般化、汎用化した古典力学の集大成である。それが適用範囲は極めて広く、一般相対性理論を含む天体の運動から、地上の物体の運動、流体力学、電磁気学、量子力学、場の量子論、そして原子核の中の物理現象にまで及ぶ。

NHKの「神の数式」という番組で素粒子の数式として紹介された式の左辺の「L」はラグランジアンのこと。「H」であらわされるハミルトニアンと並ぶ、解析力学における基本的な物理量である。



解析力学を日本語で学びたい方は「EMANの解析力学」や「よくわかる解析力学:前野昌弘」をお読みになるとよい。


フランス語版原書:

初版は1788年に2分冊として刊行、第2版は1811年に第1分冊が刊行、ラグランジュは第2分冊を完成して1813年に亡くなった。そして死後2年たった1815年に刊行された。

1853年に印刷された第1巻、1855年に印刷された第2巻は、それぞれこちらから閲覧、PDFのダウンロードができる。第2版のフランス語版ということになる。画像クリックでページが開くようにしておいた。

Mécanique analytique (tome premier), 1853
PDFファイル
https://archive.org/details/mcaniqueanalyti03lagrgoog/page/n10



Mécanique analytique (tome seconde), 1855
PDFファイル
https://archive.org/details/mcaniqueanalyti02lagrgoog/page/n6


このサイトには、他のエントリーとしても同書が閲覧できる。: 検索する


英訳本:

英語版はフランス語版原書の第2版を翻訳したものだ。2分冊が1冊にまとめられている。

Analytical Mechanics: Translated from the Mécanique analytique, novelle édition of 1811
PDFファイル
https://archive.org/details/springer_10.1007-978-94-015-8903-1/page/n3




関連記事:

力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/39015937594a6282316377ae34a6a240

古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ:山本義隆
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e808487b7e9d668967f703396e32d80a

古典力学の形成: 山本義隆―続きの話
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b5904a574fd4c4e276da496bd2c1821b

微分積分学の史的展開 ライプニッツから高木貞治まで:高瀬正仁
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/33cc90c177cd44601d92cc256acc2de2

よくわかる解析力学:前野昌弘
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bd9d328483de3bc3f9a3ad14ec6fe078

解析力学(久保謙一著、裳華房)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e9d5d44cd35a7a2489379c9151816a0a

量子力学を学ぶための解析力学入門: 高橋康著
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/6518fc0926e35a657c148b9291ad7bf8

量子場を学ぶための場の解析力学入門: 高橋康著
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e5ebbd29d17ffac8ce95d0ca8cc5e099

全5巻完結!:ラプラスの天体力学論(日本語版)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a720b0cfb775d00625763f87a56b2414

無料で読めるラプラスの『天体力学』のフランス語版と英語版
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/421170e43527e74c403fc82ee75da030

[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/67cec3d33c33810b91d0f7591bfbc2ee


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2 コメント

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Unknown (MNT)
2019-12-02 16:48:08
たしかオイラーの『無限解析序説』も公開されていますよ。ラテン語版ですが…
ラグランジュはオイラーが指導した学生の一人だそうです。仲もよかったようで、2人で論文も書いたりしてます。師を尊敬していた彼は
「オイラーを読め、彼こそ我らの先生だ!」といったとか。
釈迦に説法かもしれませんが、オイラーはプロイセンのフリードリヒ大王に隻眼を嫌われてエカチェリーナ2世のロシアに行ってしまうんです。その後任としてフリードリヒ大王はラグランジュを指名するんですけど…。
ラグランジュの立場には、なりたくないナア
返信する
MNTさんへ (とね)
2019-12-02 20:07:14
MNTさんへ

コメントをいただき、ありがとうございます。オイラーの『無限解析序説』の閲覧用のページは、こちらの記事のほうで紹介していました。

[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/67cec3d33c33810b91d0f7591bfbc2ee

> その後任としてフリードリヒ大王はラグランジュを指名するんですけど…。
> ラグランジュの立場には、なりたくないナア

昔も今も有名人になってしまうと、いらぬ苦労を背負い込むものですね。
返信する

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