ラグランジュの『解析力学 第2版(1811, 1815)』拡大
オイラーと並んで18世紀最大の数学者といわれるフランスの数学者、天文学者「ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange, 1736年1月25日 - 1813年4月10日)」である。
彼の初期の業績は、微分積分学の物理学、特に力学への応用である。その後さらに力学を一般化して、最小作用の原理に基づく、解析力学(ラグランジュ力学)をつくり出した。ラグランジュの『解析力学』はラプラスの『天体力学』と共に18世紀末の古典的著作となった。
ラグランジュの歴史的偉業として有名な著作『解析力学』のフランス語原書と英訳本が無料で公開されている。
解析力学は17世紀のニュートン力学を一般化、汎用化した古典力学の集大成である。それが適用範囲は極めて広く、一般相対性理論を含む天体の運動から、地上の物体の運動、流体力学、電磁気学、量子力学、場の量子論、そして原子核の中の物理現象にまで及ぶ。
NHKの「神の数式」という番組で素粒子の数式として紹介された式の左辺の「L」はラグランジアンのこと。「H」であらわされるハミルトニアンと並ぶ、解析力学における基本的な物理量である。
解析力学を日本語で学びたい方は「EMANの解析力学」や「よくわかる解析力学:前野昌弘」をお読みになるとよい。
フランス語版原書:
初版は1788年に2分冊として刊行、第2版は1811年に第1分冊が刊行、ラグランジュは第2分冊を完成して1813年に亡くなった。そして死後2年たった1815年に刊行された。
1853年に印刷された第1巻、1855年に印刷された第2巻は、それぞれこちらから閲覧、PDFのダウンロードができる。第2版のフランス語版ということになる。画像クリックでページが開くようにしておいた。
Mécanique analytique (tome premier), 1853
PDFファイル
https://archive.org/details/mcaniqueanalyti03lagrgoog/page/n10
Mécanique analytique (tome seconde), 1855
PDFファイル
https://archive.org/details/mcaniqueanalyti02lagrgoog/page/n6
このサイトには、他のエントリーとしても同書が閲覧できる。: 検索する
英訳本:
英語版はフランス語版原書の第2版を翻訳したものだ。2分冊が1冊にまとめられている。
Analytical Mechanics: Translated from the Mécanique analytique, novelle édition of 1811
PDFファイル
https://archive.org/details/springer_10.1007-978-94-015-8903-1/page/n3
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力学の誕生―オイラーと「力」概念の革新―: 有賀暢迪
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よくわかる解析力学:前野昌弘
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解析力学(久保謙一著、裳華房)
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量子場を学ぶための場の解析力学入門: 高橋康著
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全5巻完結!:ラプラスの天体力学論(日本語版)
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無料で読めるラプラスの『天体力学』のフランス語版と英語版
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/421170e43527e74c403fc82ee75da030
[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/67cec3d33c33810b91d0f7591bfbc2ee
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ラグランジュはオイラーが指導した学生の一人だそうです。仲もよかったようで、2人で論文も書いたりしてます。師を尊敬していた彼は
「オイラーを読め、彼こそ我らの先生だ!」といったとか。
釈迦に説法かもしれませんが、オイラーはプロイセンのフリードリヒ大王に隻眼を嫌われてエカチェリーナ2世のロシアに行ってしまうんです。その後任としてフリードリヒ大王はラグランジュを指名するんですけど…。
ラグランジュの立場には、なりたくないナア
コメントをいただき、ありがとうございます。オイラーの『無限解析序説』の閲覧用のページは、こちらの記事のほうで紹介していました。
[世界を変えた書物]展(上野の森美術館)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/67cec3d33c33810b91d0f7591bfbc2ee
> その後任としてフリードリヒ大王はラグランジュを指名するんですけど…。
> ラグランジュの立場には、なりたくないナア
昔も今も有名人になってしまうと、いらぬ苦労を背負い込むものですね。