「要点講義 ベクトル解析と微分形式: 井田大輔著」
あくまで微分形式にこだわるわけである。こちらの本は「曲線と曲面の微分幾何」とは異なり2次元と3次元のユークリッド空間のベクトル解析から微分形式へと説明を発展させるアプローチだ。たかだか110ページほど、行間も空いている本なので難なく読むことができた。2次元、3次元の微分形式の公式集としても使える本である。
また、この本は微分形式や微分幾何の意味や証明に重きを置かず、計算手法を前面に出しているのが特徴だ。話を2次元と3次元に限っているのでΣの羅列に惑わされず、すっきり覚えることができる。
さらに微分形式の効用にも十分ページが割かれている。この表現形式を使えばベクトル解析に出てくる div, grad, rot, ラプラシアン、ナブラなどを使ったお馴染みの公式もエレガントな短縮表記で次のように表現できてしまう。
grad f = df
rot u = *du
div u = *d * u
また複素解析の有名な定理も微分形式を使えば簡潔で美しい形で証明でき、その本質的な意味が浮き彫りになってくるのだ。(その中で複素微分形式も紹介されている。)
第3章では一般座標系の微分形式について学ぶ。つまり一般の曲線座標系で微分形式がどのように表されるかというアインシュタインの曲がった時空に通じる話題だ。一般座標系で使われる共変ベクトルや反変ベクトル、テンソルなどは一般相対性理論を学んだときにしつこく勉強したので今となってはお馴染みになっているが、これらを微分形式で扱うことにより、シンプルな表現が得られる。本質的な意味に違いはないが、表記の単純化は思わぬ形で物理理論の発展をうながすものだと思う。これさえマスターできれば微分形式を主体として書かれた「一般相対性理論:佐藤文隆著」が読めるようになる日もそう遠くはないだろう。
それでもやはり微分形式を道具として使いこなせるようになるためには計算練習は欠かせない。
微分形式については「T_NAKAの阿房ブログ」に詳しく紹介されているので参考にしていただきたい。
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_17.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_19.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_20.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_21.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_26.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_27.html
「要点講義 ベクトル解析と微分形式: 井田大輔著」
目次
第1章:ベクトル解析
- ベクトル
- R^2上のベクトル場
(内積/外積/函数の微分/ベクトル場の微分/ラプラシアン)
- R^3上のベクトル場
(内積/外積/函数の微分/ベクトル場の微分)
- 基本的な計算技法
(添え字の扱い/行列の記法/εの積の公式/典型的な計算/微分を含む計算/位置ベクトルを含んだ計算)
第2章:微分形式
- R^2上の微分形式
(微分形式/外微分/ポアンカレの補題/ホッジ作用素/微分形式の積分/ストークスの定理)
- 微分方程式への応用
- 複素解析への応用
(複素数値函数/正則函数/正則函数の特異点/複素微分形式/外微分/複素積分/コーシーの積分定理/留数定理)
- R^3上の微分形式
(微分形式/ベクトル解析との対応/R^3上におけるポアンカレの補題/R^3上のストークスの定理:ガウスの定理)
第3章:一般座標系
- 一般座標系におけるベクトル
(座標系/反変ベクトルと共変ベクトル/反変ベクトルの基底/共変ベクトルの基底)
- 一般座標系における微分形式
(計量/微分形式/外微分/体積要素とホッジ双対/面積分/ラプラシアン)
応援クリックをお願いします!このブログのランキングもこれらのサイトで確認できます。
あくまで微分形式にこだわるわけである。こちらの本は「曲線と曲面の微分幾何」とは異なり2次元と3次元のユークリッド空間のベクトル解析から微分形式へと説明を発展させるアプローチだ。たかだか110ページほど、行間も空いている本なので難なく読むことができた。2次元、3次元の微分形式の公式集としても使える本である。
また、この本は微分形式や微分幾何の意味や証明に重きを置かず、計算手法を前面に出しているのが特徴だ。話を2次元と3次元に限っているのでΣの羅列に惑わされず、すっきり覚えることができる。
さらに微分形式の効用にも十分ページが割かれている。この表現形式を使えばベクトル解析に出てくる div, grad, rot, ラプラシアン、ナブラなどを使ったお馴染みの公式もエレガントな短縮表記で次のように表現できてしまう。
grad f = df
rot u = *du
div u = *d * u
また複素解析の有名な定理も微分形式を使えば簡潔で美しい形で証明でき、その本質的な意味が浮き彫りになってくるのだ。(その中で複素微分形式も紹介されている。)
第3章では一般座標系の微分形式について学ぶ。つまり一般の曲線座標系で微分形式がどのように表されるかというアインシュタインの曲がった時空に通じる話題だ。一般座標系で使われる共変ベクトルや反変ベクトル、テンソルなどは一般相対性理論を学んだときにしつこく勉強したので今となってはお馴染みになっているが、これらを微分形式で扱うことにより、シンプルな表現が得られる。本質的な意味に違いはないが、表記の単純化は思わぬ形で物理理論の発展をうながすものだと思う。これさえマスターできれば微分形式を主体として書かれた「一般相対性理論:佐藤文隆著」が読めるようになる日もそう遠くはないだろう。
それでもやはり微分形式を道具として使いこなせるようになるためには計算練習は欠かせない。
微分形式については「T_NAKAの阿房ブログ」に詳しく紹介されているので参考にしていただきたい。
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_17.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_19.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_20.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_21.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_26.html
http://teenaka.at.webry.info/200701/article_27.html
「要点講義 ベクトル解析と微分形式: 井田大輔著」
目次
第1章:ベクトル解析
- ベクトル
- R^2上のベクトル場
(内積/外積/函数の微分/ベクトル場の微分/ラプラシアン)
- R^3上のベクトル場
(内積/外積/函数の微分/ベクトル場の微分)
- 基本的な計算技法
(添え字の扱い/行列の記法/εの積の公式/典型的な計算/微分を含む計算/位置ベクトルを含んだ計算)
第2章:微分形式
- R^2上の微分形式
(微分形式/外微分/ポアンカレの補題/ホッジ作用素/微分形式の積分/ストークスの定理)
- 微分方程式への応用
- 複素解析への応用
(複素数値函数/正則函数/正則函数の特異点/複素微分形式/外微分/複素積分/コーシーの積分定理/留数定理)
- R^3上の微分形式
(微分形式/ベクトル解析との対応/R^3上におけるポアンカレの補題/R^3上のストークスの定理:ガウスの定理)
第3章:一般座標系
- 一般座標系におけるベクトル
(座標系/反変ベクトルと共変ベクトル/反変ベクトルの基底/共変ベクトルの基底)
- 一般座標系における微分形式
(計量/微分形式/外微分/体積要素とホッジ双対/面積分/ラプラシアン)
応援クリックをお願いします!このブログのランキングもこれらのサイトで確認できます。