[B4] 統一場理論(1929年)
この論文は数式による表現が高度なため、僕にはほとんど理解できなかった。数式を構成する要素と物理的な対象との関係がつかめないのだ。したがって、文章の部分から汲み取れる内容のみ、ごくあっさりと紹介することにした。
過去の論文によって4次元連続体にリーマン型計量だけでなく、「遠隔平行性」という特性を付け加えることによって、重力場と電磁場をひとつの統一された場として記述する理論が試みられた。けれども場の方程式をハミルトンの原理から導くと、シンプルで一意な方法は見つからなかった。その後、場の方程式を導くためのひとつの方法が見つかった。それがこの論文である。
§1 形式的準備
局所的なn-バイン(ベクトル)はすべて互いに平行となるように設置されているものとする。そしてn-バイン場における特定のベクトルの平行移動を数式で表現しておく。
また一般相対性理論と同様に「共変微分」もn-バイン場で数式として定義しておく。
次にテンソルΛについても、以前の論文とは異なる形式でアフィン接続係数⊿を使って定義する。
そしてテンソルTについて「テンソルの発散」や「テンソル密度」などの式を求めておく。
§2 恒等式
n-バイン空間で曲率が0であることをアフィン接続係数⊿の式で表わし、式変形を続けることによって「テンソルΛだけから構成される恒等式」を導き、テンソル密度との関係を求めていく。(1ページほどの数式展開。)
§3 場の方程式
上記のセクションで求めた「テンソルΛだけから構成される恒等式」から、テンソル密度を示す式が求められるが、これが今取り上げている多様体(時空)を自然な方法で特徴づけるのに重要な役割を果たす。このテンソル密度の発散が恒等的に0であることから、第1近似として一般相対性理論でよく知られている「真空の重力場の方程式」が得られるからだ。
電磁場φについては、これに対するベクトル型の制限はないが、新たに別の形でテンソル密度を仮定することによって、第1近似で「マックスウェルの方程式」が得られる。
次に近似なしの場の方程式に理論を適用するため、§2の最後で導いた「テンソル密度の恒等式」を変形して計算を進める。そしてそれら20個の方程式が重力場の方程式とマックスウェルの方程式に第1近似で一致していることを述べている。
しかし、この論文では「近似なし」の一般的な条件のもとに、重力場と電磁場を導かずに終えられている。
関連リンク:
アインシュタイン選集(1)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/26d6fc929bf7b9f0fc1e2a210882f559
アインシュタイン選集(2):読みはじめた
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3d0869ab3911e84845b5b121bd1aa3e
時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ffc643a688ce45dec7460d107fe1392e
少年の頃の夢(の続き)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/a6e4b9271cd56b2e85c3bdaa0b8b7cae
趣味で相対論
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/90aa60383b600ff4e4fd7bea6589deaa
とね書店:
アインシュタイン選集(1)
https://amazon.co.jp/&tonejiten-22/dp/4320030192/503-5691539-3879144
アインシュタイン選集(2)
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アインシュタイン選集(3)
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