「入門確率過程:松原望」
伊藤先生の「確率論」の教科書が未消化に終わってしまったので、レベルをだいぶ下げて読んでみたのが本書だ。理数系の大学生の1、2年生および偏微分方程式に落ちこぼれた金融・証券系の学生、社会人をターゲットにしている。
著者の松原先生のホームページおよび本書のサポートページ(正誤表を含む)は次のとおり。
松原望の総合案内サイト
http://www.qmss.jp/portal/
「入門確率過程:松原望」のサポートページ
http://www.qmss.jp/prob/stocpr-book/
現代確率論と確率過程論を学べる良書である。なるほど、伊藤先生の教科書よりもずっと読みやすい。僕の理解度としては第1章から第8章までは100パーセント、第9章が90パーセント、第10章が70パーセントといったところ。第9章と第10章は金融実務の知識がないときつい。「ブラックショールズの公式」は第10章の最後で実例とともに解説されている。これら2章についてはもう少し詳しく記述してほしかったというのが僕の感想だ。
第1章 確率の基本
第2章 確率変数と確率分布
第3章 いろいろな確率分布
第4章 多次元確率変数
第5章 独立確率変数とその応用
第6章 ランダム・ウォーク
第7章 極限定理の基礎
第8章 ブラウン運動
第9章 確率積分と伊藤の公式
第10章 ファイナンス数理への応用
登山にたとえて言えば、伊藤先生の教科書は8千メートルクラスの山を足元の石ころや植物を見つめながらやっと登っている感じ。景色を見る気持ちの余裕は全くない。それにひきかえ松原先生による本書は2千メートルクラスの山を心地よい汗をかきながら登っているようなもの。行程全体を把握し、景色を楽しみながらの登山である。
数学的に厳密な証明も必要というのであれば伊藤先生の教科書がベストだが、考え方や数式を理解できればよいという立場であるのなら松原先生の本で十分だろう。
とはいえ数式アレルギーのある読者にとってはきつい本で、おそらく第4章あたりからついていけなくなるだろう。ただ確率測度についてのイメージは直観的に説明されているのでルベーグ積分や測度論で煙に巻かれてしまった文系読者にとってはありがたい。
ウィーナー過程やランダムウォークを金融工学に応用することの是非については「Excelで学ぶデリバティブとブラック・ショールズ:藤崎達哉」という記事で書いたように賛否が別れているし、その基礎理論を確立したとされる伊藤先生ご自身は否定的見解をお持ちだったようだが、本書の記述を見るかぎり松原先生は肯定派のようである。
第9章と第10章では多次元の場合のブラウン運動や伊藤の公式を例に数理ファイナンス(金融工学)の例を紹介しているのが本書の特色だ。物理学ではせいぜい3次元までで十分だが金融・証券の分野では変動する証券の種類の数だけ次元数が必要になるからだ。いくつかのパターンで連立確率微分方程式の例も紹介されている。証券・金融分野の知識がない物理・数学系の読者にとっても、多次元で確率過程がどのように展開されるのか見るのは有益だと思う。
本書でも落ちこぼれてしまったという読者のために、松原先生は次のような本も最近お出しになっている。いったいどうすればこれ以上やさしく書けるのかと興味がわいてきたところ。全部は読まないかもしれないが、見てみたい気がする。
「松原望の確率過程超!入門」
章立てと節の目次はこの記事の最後に掲載しておいたので参考にしてほしい。範囲はほぼ本書と同じで難易度を下げた形だ。「超!入門」を持っている友人の話によると「数式の数を極力減らしている」そうだ。(でも微分方程式がメインのはずだから、そのあたりはどうしてるのだろうか。。。)
本書を読んでみて「確率論:保江邦夫」の良さを再認識させられた。難易度は伊藤先生の教科書と松原先生の教科書の中間くらい。院生だった頃の保江先生は当時すでに確率論の大家であられた伊藤先生にアドバイスいただいたことがあり、その恩に報いるために書いたという意味合いが含まれている。この逸話は保江先生の確率論の「おわりに」に書かれている。保江先生の本は数理ファイナンス向けではなく物理学、量子力学を志向する学生向けの本である。
次に読む本は秘密にしておこう。ヒントを言えば、これまでしつこく学んできた確率過程論と量子力学を合わせるとどういうことになるかについて書かれた本だ。勘のよい方ならもうおわかりだと思う。きっと面白い記事になるはずだ。
関連記事:
確率論:保江邦夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1e61db01708357715d1d758b5c1308f5
増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4601dda9ae0833c273d5d04aa83424d7
関連ページ:
ネットで学びたい方は、以下のページをご覧になるとよい。
確率論入門:(横田 壽)
http://next1.msi.sk.shibaura-it.ac.jp/MULTIMEDIA/prob/prob.html
計画数理演習(確率微分方程式)
http://takashiyoshino.random-walk.org/memo/keikaku_ensyu/web.html
確率過程への30講(PDFファイル)
http://www.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/~yasutaka/files/tutorial/tutorial1.pdf
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「入門確率過程:松原望」
第1章 確率の基本
§1.1 確率の意味
§1.2 確率の定義
§1.3 事象と確率
第2章 確率変数と確率分布
§2.1 確率変数
§2.2 確率分布を表す
§2.3 期待値の考え方
§2.4 分散の考え方と役割
§2.5 さまざまな分布の形
§2.6 以下の確率
第3章 いろいろな確率分布
§3.1 4種の重要分布
§3.2 二項分布
§3.3 ポアソン分布
§3.4 指数分布
§3.5 正規分布
§3.6 中心極限定理の始まり
§3.7 モーメント母関数の効用
第4章 多次元確率変数
§4.1 確率変数の集まり
§4.2 同時確率分布
§4.3 周辺確率分布
§4.4 共分散と相関係数
§4.5 ポートフォリオ選択への応用
§4.6 同時確率分布の計算例
§4.7 共分散の必要性
第5章 独立確率変数とその応用
§5.1 独立な確率変数の和
§5.2 和の確率分布
§5.3 条件をつけて平均をとる
§5.4 条件付期待値の演算ルール
§5.5 2変量の正規分布を求める
§5.6 確率過程への応用の一例
§5.7 無相関と独立
§5.8 多変量正規分布
第6章 ランダム・ウォーク
§6.1 単純ランダム・ウォーク
§6.2 一般的なランダム・ウォーク
§6.3 マルチンゲールの考え方
§6.4 0へ戻る確率
§6.5 破産の確率
§6.6 「つき」の確率
第7章 極限定理の基礎
§7.1 事象の代数
§7.2 公理による確率の定義
§7.3 「いずれ」「永久に」の表現
§7.4 完全加法族に属する集合
§7.5 完全な情報リスト
§7.6 大数の法則 I
§7.7 中心極限定理
§7.8 大数の法則 II
§7.9 いろいろな収束のレビュー
§7.10 強い収束と弱い収束
第8章 ブラウン運動
§8.1 時間の連続化
§8.2 ブラウン運動の定義
§8.3 経路の連続性
§8.4 長さ無限と2次変分有限
§8.5 過去の値
§8.6 完全情報投資者の予測不能性
第9章 確率積分と伊藤の公式
§9.1 ブラウン運動から出発
§9.2 微分と積分のレビュー
§9.3 第一段(確率積分)
§9.4 第二段(伊藤積分)
§9.5 伊藤過程の導入
§9.6 伊藤の公式
§9.7 多次元のケース
§9.8 応用と発展応用
第10章 ファイナンス数理への応用
§10.1 分布をずらす
§10.2 測度変換と無裁定の仮定
§10.3 ギルサノフの定理 I
§10.4 ギルサノフの定理 II
§10.5 証券市場
§10.6 デフレータ
§10.7 ポートフォリオ,自己調達,無裁定
§10.8 ギルザノフの定理の効用:「無裁定」の条件
§10.9 理解のための練習
§10.10 応用:請求権とリスク・ヘッジ
§10.11 完備な市場
§10.12 完備性の条件
§10.13 請求権の価格
§10.14 ブラック・ショールズの公式
参考文献追加(解説付)
「松原望の確率過程超!入門」
第1章 確率の意味
1-1 確率ってなに?
1-2 順列と組み合わせ
1-2-1 順列とは
1-2-2 組み合わせとは
1-2-3 組み合わせの計算ルール
1-2-4 順列の計算ルール
1-2-5 かんたんな確率の計算
1-3 集合
1-3-1 集合とは
1-3-2 集合の演算
1-3-3 部分集合
1-4 事象と確率空間
1-4-1 確率空間
1-4-2 事象
1-4-3 事象の確率
コラム 「お話にならない」話……「計算した結果」でなければ,「確率」でない?
1-5 確率のたし算・ひき算
1-5-1 確率のひき算
1-5-2 確率のたし算?
1-5-3 すべての事象が起きる確率
1-5-4 排反な事象と確率の和
1-6 確率のかけ算・わり算――条件付き確率とベイズの定理
1-6-1 確率のかけ算
1-6-2 確率のわり算――条件付き確率
1-6-3 ベイズの定理
第2章 確率変数と確率分布
2-1 確率変数,それから,確率分布
2-1-1 確率変数とは
2-1-2 確率分布とは
2-2 期待値と標準偏差
2-2-1 期待値とは
2-2-2 総和を表わす記号
2-2-3 期待値の性質
2-2-4 分散と標準偏差
2-2-5 分散の性質
2-3 いろいろな確率分布
2-4 二項分布とポアソン分布
2-4-1 ベルヌーイ試行
2-4-2 二項定理と二項分布
2-4-3 二項定理の期待値と分散の出し方
2-4-4 ポアソン分布とはどういうものか
2-4-5 ポアソン分布と二項分布
2-4-6 ポアソン分布の期待値と分散
2-5 正規分布
2-5-1 正規分布の有用性
2-5-2 コイン投げと正規分布
2-5-3 離散型分布と連続型分布
2-6 中心極限定理と大数の法則
2-6-1 中心極限定理
2-6-2 大数の法則
コラム 指数関数超入門
第3章 確率過程(1) ランダム・ウォーク,待ち行列,マルコフ過程
3-1 ランダム・ウォーク
3-1-1 単純ランダム・ウォーク
3-1-2 単純ランダム・ウォークのモデル
3-1-3 単純ランダム・ウォークのシミュレーション
3-1-4 単純ランダム・ウォークの期待値と分散
3-1-5 ギャンブラーの破産問題
3-2 待ち行列
3-2-1 幾何分布
3-2-2 指数分布
3-2-3 ATMの待ち行列
3-3 マルコフ過程
3-3-1 マルコフ過程とマルコフ性
3-3-2 条件付き確率と推移確率
3-3-3 嘘つきのマルコフ過程
3-3-4 行列のn乗と固有値
3-3-5 遺伝学からのモデル
第4章 確率過程(2) ブラウン運動,伊藤の補題,ブラック=ショールズ方程式
4-1 ランダム・ウォークからブラウン運動へ
4-1-1 離散時間から連続時間へ
4-1-2 ドリフト係数とゆらぎ係数
4-2 微分積分ミニマム・エッセンス
4-2-1 微分積分のスピリット
4-2-2 微分の具体的な手続き
4-2-3 2階微分からテイラー展開へ
4-2-4 2変数の場合の近似式
4-2-5 微分積分学の基本定理
4-3 伊藤の補題
4-3-1 ブラウン運動の微分
4-3-2 幾何ブラウン運動
4-3-3 伊藤の補題,登場
4-4 ブラック=ショールズ方程式への案内
4-4-1 確率微分方程式
4-4-2 コール・オプション
4-4-3 ブラック=ショールズ方程式の導出
4-5 ブラック=ショールズ方程式を解き明かす
4-6 プット・オプション
コラム 株価デリバティブからリアル・オプションへ――基礎知識ミニマム・エッセンス
伊藤先生の「確率論」の教科書が未消化に終わってしまったので、レベルをだいぶ下げて読んでみたのが本書だ。理数系の大学生の1、2年生および偏微分方程式に落ちこぼれた金融・証券系の学生、社会人をターゲットにしている。
著者の松原先生のホームページおよび本書のサポートページ(正誤表を含む)は次のとおり。
松原望の総合案内サイト
http://www.qmss.jp/portal/
「入門確率過程:松原望」のサポートページ
http://www.qmss.jp/prob/stocpr-book/
現代確率論と確率過程論を学べる良書である。なるほど、伊藤先生の教科書よりもずっと読みやすい。僕の理解度としては第1章から第8章までは100パーセント、第9章が90パーセント、第10章が70パーセントといったところ。第9章と第10章は金融実務の知識がないときつい。「ブラックショールズの公式」は第10章の最後で実例とともに解説されている。これら2章についてはもう少し詳しく記述してほしかったというのが僕の感想だ。
第1章 確率の基本
第2章 確率変数と確率分布
第3章 いろいろな確率分布
第4章 多次元確率変数
第5章 独立確率変数とその応用
第6章 ランダム・ウォーク
第7章 極限定理の基礎
第8章 ブラウン運動
第9章 確率積分と伊藤の公式
第10章 ファイナンス数理への応用
登山にたとえて言えば、伊藤先生の教科書は8千メートルクラスの山を足元の石ころや植物を見つめながらやっと登っている感じ。景色を見る気持ちの余裕は全くない。それにひきかえ松原先生による本書は2千メートルクラスの山を心地よい汗をかきながら登っているようなもの。行程全体を把握し、景色を楽しみながらの登山である。
数学的に厳密な証明も必要というのであれば伊藤先生の教科書がベストだが、考え方や数式を理解できればよいという立場であるのなら松原先生の本で十分だろう。
とはいえ数式アレルギーのある読者にとってはきつい本で、おそらく第4章あたりからついていけなくなるだろう。ただ確率測度についてのイメージは直観的に説明されているのでルベーグ積分や測度論で煙に巻かれてしまった文系読者にとってはありがたい。
ウィーナー過程やランダムウォークを金融工学に応用することの是非については「Excelで学ぶデリバティブとブラック・ショールズ:藤崎達哉」という記事で書いたように賛否が別れているし、その基礎理論を確立したとされる伊藤先生ご自身は否定的見解をお持ちだったようだが、本書の記述を見るかぎり松原先生は肯定派のようである。
第9章と第10章では多次元の場合のブラウン運動や伊藤の公式を例に数理ファイナンス(金融工学)の例を紹介しているのが本書の特色だ。物理学ではせいぜい3次元までで十分だが金融・証券の分野では変動する証券の種類の数だけ次元数が必要になるからだ。いくつかのパターンで連立確率微分方程式の例も紹介されている。証券・金融分野の知識がない物理・数学系の読者にとっても、多次元で確率過程がどのように展開されるのか見るのは有益だと思う。
本書でも落ちこぼれてしまったという読者のために、松原先生は次のような本も最近お出しになっている。いったいどうすればこれ以上やさしく書けるのかと興味がわいてきたところ。全部は読まないかもしれないが、見てみたい気がする。
「松原望の確率過程超!入門」
章立てと節の目次はこの記事の最後に掲載しておいたので参考にしてほしい。範囲はほぼ本書と同じで難易度を下げた形だ。「超!入門」を持っている友人の話によると「数式の数を極力減らしている」そうだ。(でも微分方程式がメインのはずだから、そのあたりはどうしてるのだろうか。。。)
本書を読んでみて「確率論:保江邦夫」の良さを再認識させられた。難易度は伊藤先生の教科書と松原先生の教科書の中間くらい。院生だった頃の保江先生は当時すでに確率論の大家であられた伊藤先生にアドバイスいただいたことがあり、その恩に報いるために書いたという意味合いが含まれている。この逸話は保江先生の確率論の「おわりに」に書かれている。保江先生の本は数理ファイナンス向けではなく物理学、量子力学を志向する学生向けの本である。
次に読む本は秘密にしておこう。ヒントを言えば、これまでしつこく学んできた確率過程論と量子力学を合わせるとどういうことになるかについて書かれた本だ。勘のよい方ならもうおわかりだと思う。きっと面白い記事になるはずだ。
関連記事:
確率論:保江邦夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1e61db01708357715d1d758b5c1308f5
増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4601dda9ae0833c273d5d04aa83424d7
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確率論入門:(横田 壽)
http://next1.msi.sk.shibaura-it.ac.jp/MULTIMEDIA/prob/prob.html
計画数理演習(確率微分方程式)
http://takashiyoshino.random-walk.org/memo/keikaku_ensyu/web.html
確率過程への30講(PDFファイル)
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「入門確率過程:松原望」
第1章 確率の基本
§1.1 確率の意味
§1.2 確率の定義
§1.3 事象と確率
第2章 確率変数と確率分布
§2.1 確率変数
§2.2 確率分布を表す
§2.3 期待値の考え方
§2.4 分散の考え方と役割
§2.5 さまざまな分布の形
§2.6 以下の確率
第3章 いろいろな確率分布
§3.1 4種の重要分布
§3.2 二項分布
§3.3 ポアソン分布
§3.4 指数分布
§3.5 正規分布
§3.6 中心極限定理の始まり
§3.7 モーメント母関数の効用
第4章 多次元確率変数
§4.1 確率変数の集まり
§4.2 同時確率分布
§4.3 周辺確率分布
§4.4 共分散と相関係数
§4.5 ポートフォリオ選択への応用
§4.6 同時確率分布の計算例
§4.7 共分散の必要性
第5章 独立確率変数とその応用
§5.1 独立な確率変数の和
§5.2 和の確率分布
§5.3 条件をつけて平均をとる
§5.4 条件付期待値の演算ルール
§5.5 2変量の正規分布を求める
§5.6 確率過程への応用の一例
§5.7 無相関と独立
§5.8 多変量正規分布
第6章 ランダム・ウォーク
§6.1 単純ランダム・ウォーク
§6.2 一般的なランダム・ウォーク
§6.3 マルチンゲールの考え方
§6.4 0へ戻る確率
§6.5 破産の確率
§6.6 「つき」の確率
第7章 極限定理の基礎
§7.1 事象の代数
§7.2 公理による確率の定義
§7.3 「いずれ」「永久に」の表現
§7.4 完全加法族に属する集合
§7.5 完全な情報リスト
§7.6 大数の法則 I
§7.7 中心極限定理
§7.8 大数の法則 II
§7.9 いろいろな収束のレビュー
§7.10 強い収束と弱い収束
第8章 ブラウン運動
§8.1 時間の連続化
§8.2 ブラウン運動の定義
§8.3 経路の連続性
§8.4 長さ無限と2次変分有限
§8.5 過去の値
§8.6 完全情報投資者の予測不能性
第9章 確率積分と伊藤の公式
§9.1 ブラウン運動から出発
§9.2 微分と積分のレビュー
§9.3 第一段(確率積分)
§9.4 第二段(伊藤積分)
§9.5 伊藤過程の導入
§9.6 伊藤の公式
§9.7 多次元のケース
§9.8 応用と発展応用
第10章 ファイナンス数理への応用
§10.1 分布をずらす
§10.2 測度変換と無裁定の仮定
§10.3 ギルサノフの定理 I
§10.4 ギルサノフの定理 II
§10.5 証券市場
§10.6 デフレータ
§10.7 ポートフォリオ,自己調達,無裁定
§10.8 ギルザノフの定理の効用:「無裁定」の条件
§10.9 理解のための練習
§10.10 応用:請求権とリスク・ヘッジ
§10.11 完備な市場
§10.12 完備性の条件
§10.13 請求権の価格
§10.14 ブラック・ショールズの公式
参考文献追加(解説付)
「松原望の確率過程超!入門」
第1章 確率の意味
1-1 確率ってなに?
1-2 順列と組み合わせ
1-2-1 順列とは
1-2-2 組み合わせとは
1-2-3 組み合わせの計算ルール
1-2-4 順列の計算ルール
1-2-5 かんたんな確率の計算
1-3 集合
1-3-1 集合とは
1-3-2 集合の演算
1-3-3 部分集合
1-4 事象と確率空間
1-4-1 確率空間
1-4-2 事象
1-4-3 事象の確率
コラム 「お話にならない」話……「計算した結果」でなければ,「確率」でない?
1-5 確率のたし算・ひき算
1-5-1 確率のひき算
1-5-2 確率のたし算?
1-5-3 すべての事象が起きる確率
1-5-4 排反な事象と確率の和
1-6 確率のかけ算・わり算――条件付き確率とベイズの定理
1-6-1 確率のかけ算
1-6-2 確率のわり算――条件付き確率
1-6-3 ベイズの定理
第2章 確率変数と確率分布
2-1 確率変数,それから,確率分布
2-1-1 確率変数とは
2-1-2 確率分布とは
2-2 期待値と標準偏差
2-2-1 期待値とは
2-2-2 総和を表わす記号
2-2-3 期待値の性質
2-2-4 分散と標準偏差
2-2-5 分散の性質
2-3 いろいろな確率分布
2-4 二項分布とポアソン分布
2-4-1 ベルヌーイ試行
2-4-2 二項定理と二項分布
2-4-3 二項定理の期待値と分散の出し方
2-4-4 ポアソン分布とはどういうものか
2-4-5 ポアソン分布と二項分布
2-4-6 ポアソン分布の期待値と分散
2-5 正規分布
2-5-1 正規分布の有用性
2-5-2 コイン投げと正規分布
2-5-3 離散型分布と連続型分布
2-6 中心極限定理と大数の法則
2-6-1 中心極限定理
2-6-2 大数の法則
コラム 指数関数超入門
第3章 確率過程(1) ランダム・ウォーク,待ち行列,マルコフ過程
3-1 ランダム・ウォーク
3-1-1 単純ランダム・ウォーク
3-1-2 単純ランダム・ウォークのモデル
3-1-3 単純ランダム・ウォークのシミュレーション
3-1-4 単純ランダム・ウォークの期待値と分散
3-1-5 ギャンブラーの破産問題
3-2 待ち行列
3-2-1 幾何分布
3-2-2 指数分布
3-2-3 ATMの待ち行列
3-3 マルコフ過程
3-3-1 マルコフ過程とマルコフ性
3-3-2 条件付き確率と推移確率
3-3-3 嘘つきのマルコフ過程
3-3-4 行列のn乗と固有値
3-3-5 遺伝学からのモデル
第4章 確率過程(2) ブラウン運動,伊藤の補題,ブラック=ショールズ方程式
4-1 ランダム・ウォークからブラウン運動へ
4-1-1 離散時間から連続時間へ
4-1-2 ドリフト係数とゆらぎ係数
4-2 微分積分ミニマム・エッセンス
4-2-1 微分積分のスピリット
4-2-2 微分の具体的な手続き
4-2-3 2階微分からテイラー展開へ
4-2-4 2変数の場合の近似式
4-2-5 微分積分学の基本定理
4-3 伊藤の補題
4-3-1 ブラウン運動の微分
4-3-2 幾何ブラウン運動
4-3-3 伊藤の補題,登場
4-4 ブラック=ショールズ方程式への案内
4-4-1 確率微分方程式
4-4-2 コール・オプション
4-4-3 ブラック=ショールズ方程式の導出
4-5 ブラック=ショールズ方程式を解き明かす
4-6 プット・オプション
コラム 株価デリバティブからリアル・オプションへ――基礎知識ミニマム・エッセンス