とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

第59回 神田古本まつり、第28回 神保町ブックフェスティバル

2018年10月27日 16時01分24秒 | 日記
今日から神保町で神田古本まつりが開催されている。さっそく行ってきたので何を買ってきたか記録として残しておこう。

第59回 東京名物神田古本まつり 2018年10月26日(金)~11月4日(日)
http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html

同じ地域で「神保町ブックフェスティバル」も開催される。出版社ごと出店の路上のワゴンセールと露店で賑うイベントだ。古本まつりと両方楽しむのだったらこの土日に行くべきだろう。

第28回 神保町ブックフェスティバル 2018年10月27日(土)、28(日)
http://jimbou.info/news/book_fes.html


路上販売されているのが特価本である。最新情報は明倫館書店さんのブログに掲載されている写真でご確認いただきたい。

理工系古書専門店 明倫館書店ブログ
http://blog.livedoor.jp/meirinkanshoten/

今日のところはこのような感じで売られている。

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積読本がたまる一方だが、つい買ってしまう。読む時間がないのに本を買うことを昨今は「徳を積む」と言うそうだ。今年は差し当たり物理学書と数学書を2冊ずつ買って徳を積ませていただいた。4冊合わせて6000円。


物理学書:



量子力学: 砂川重信

内容:
量子力学の入門から、散乱理論、量子電磁気学などのやや進んだテーマまでを一貫した構想のもとに解説する。基本的な概念を懇切に説きあかし、計算の過程をていねいに示し、要所要所に必要十分な70の演習問題(詳細な解答付き)を配して、初学者が完璧に量子力学をマスターできるようにした。学部学生向けの教科書・参考書として最適。

量子電磁力学―ゲージ構造を中心として: 横山寛一

内容:
量子電磁力学について、広い枠組を持つ理論形式を導出することを目指す好著。ゲージのずれを正しく考慮し、くりこみ理論を正しく適用するために、量子電磁気学の理論構成をそのゲージ構造を主眼として考察する。


数学書:



線型代数入門: 齋藤正彦

内容:
線型代数の最も標準的なテキスト。平面および空間のベクトル、行列、行列式、線型空間、固有値と固有ベクトル等7章の他、附録をつけ線型代数の技術が習熟できる。各章末に演習問題があり、巻末に略解を付す。新版として刊行された「齋藤正彦線型代数学」もお勧め。参考記事:「線形代数学入門のための教科書談義

楕円曲線論入門:J.H.シルヴァーマン、J.テイト

内容:
Nagell‐Lutzの定理、Mordellの定理、Hasseの定理などの基本的な定理の証明に力を入れる。数論を学ぼうとする学生・教育者はもちろん、暗号理論や物理学を学ぶ人にとっても必読の書。
アマゾンのレビュー:本書の原書のタイトルは、『Rational Points on Elliptic Curves』となっています。そのタイトルが示すように、本書は数論的な楕円曲線論の入門書です。まえがきにもあるように、講義録をもとにしているので、未解決な話題にも触れながら、随所に説明的な記述があり、たいへんおもしろく、そして全体像が掴みやすい本になっています。
また、議論の展開もいたずらには予備知識を仮定せず、前半では、解析幾何的な扱いが多く、理解しやすくなっています。その分展開の仕方が古典的という感想を持つ人もいると思いますが、私のような独習者には有り難かったです。
Diophantusに端を発し、Fermatが関心を持っていた数論的な話題が楕円曲線と深い関係にあることを認識させてくれる最適の入門書です。

後日また行くことにしよう。徳を積ませていただく本は、その都度ここに追記して掲載させていただくことにする。

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2018年10月27日(土)に追記:

この日棚から最終日11月4日(日)までの棚の状況はここに連投ツイートしておいた。

購入した本は次のとおり。

道路側の棚で購入。2冊合わせて2100円


原子核物理学:八木浩輔

内容:
1971年刊行。最近の発展を十分にとり入れたユニークな教科書〔内容〕原子核の基本的性質/核力の二体問題/原子核の構造/原子核の安定性/放射線と物質との相互作用/β崩壊-弱い相互作用/γ線放射/加速器/原子核反応/原子核エネルギーの解放(詳細目次

分子軌道法―電子計算機によるその応用(1971):菊池修」(1989年の改訂版

内容:
量子化学の分子軌道法を実際の計算方法を豊富なFORTRANプログラムとその実行例で学ぶ。アルゴリズムの解説が詳しい。(序文1序文2目次)参考記事:「分子軌道法: 物理学と化学の境界」、「FORTRAN入門、COBOL入門


明倫館書店の店頭の棚で買った本。学生時代に刊行され副読本にしていたので懐かしくて購入。「明解演習シリーズ」はとても親切でわかりやすい。2冊合わせて800円。この2冊のほか「明解演習 数理統計:小寺平治」がある。機械学習を学びたければ、微分積分と線形代数は必須。そして欲を言えば数理統計も理解しておいたほうがよい。



明解演習微分積分:小寺平治
明解演習 線形代数:小寺平治

内容:
一般教養、基礎専門科目の微積分におけるいろいろな問題のよきお手本となる典型的な例題に、数学の本質をつく明解な解答を付し、重要事項は色刷りにして理解しやすく配慮した清新な演習書。高校数学との連絡を考慮して、新課程に準拠した例題と詳解を豊富に示し、特に重要な事項は色刷りにして注意をうながしてある。各章ごとにゼミナールを設けて(解答巻末)、実力養成を図った。


そして神保町ブックフェスティバルの丸善出版さんのワゴンで買ったのがこの本。2000円と超お買い得だった。今回買った中ではいちばんの掘り出し物だと思う。リー群、リー環を学んだ方には特にお勧め。2013年に刊行された二段組で細かい文字がびっしりの704ページの分厚い本。英語版は「The Mathematician Sophus Lie: It was the Audacity of My Thinking: Arild Stubhaug」でペーパーバックハードカバーKindle版で購入可能だ。参考記事:「連続群論入門 (新数学シリーズ18):山内恭彦、杉浦光夫」、「はじめて学ぶリー群: 井ノ口順一



数学者ソーフス・リー リー群とリー環の誕生:A. ストゥーブハウグ

内容:
本書は連続群論の創始者としてノルウェーが世界に誇る数学者、ソーフス・リーの伝記である。
激動の19世紀ヨーロッパの時代と風景の中でソーフス・リーの成長と成功、結婚、交友、別離、そして病苦が様々な逸話と共に活き活きと綴られている。リーは微分方程式のガロア理論を構想し、ライプチヒ大学教授として世界から学生を集めた著名な数学者であり、国を挙げての帰国運動が起きたノルウェーの英雄であった一方で、異国のドイツで精神的に苦しむ繊細な神経の持ち主でもあった。
彼の創始した連続群論は後にヘルマン・ワイルとエリー・カルタンによって大域的なリー群論として完成され、今や現代数学の基本的な概念として代数学、整数論、幾何学、微分方程式論、数理物理学など多くの分野で重要な位置を占め、その重要性はいよいよ増しつつある。
多数の文献と取材に基づいて注意深く書かれた本書は、数学の専門的知識がなくても読めるよう配慮され、最初にソーフス・リーの全生涯を要約するなど読みやすく工夫されている。
アーベルと並ぶノルウェーの数学の巨人ソーフス・リーの複雑な個性と交友関係を知るためのかけがえのない資料と言えるだろう。

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2018年10月30日(火)に追記:

超レア本をたった400円で買うことができた。

波動力學研究序説:ルイ・ドゥ・ブロイ著、渡邊慧譯
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/189f204f732ab835fb9baf720302a39d

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2018年11月1日(木)に追記:

道路側の棚にあったのが「ランダウの生涯―ノーベル賞科学者の知と愛 (1973年)」、そして店内で買ったのが朝永振一郎先生の「量子力学と私」。それぞれ500円。アマゾンの中古価格を見ていただくとわかるように「ランダウの生涯」は超お買い得だった。表紙がないためだと思われる。



ランダウの生涯―ノーベル賞科学者の知と愛 (1973年)

内容:
私は、レフ・ダヴィドヴィチ・ランダウを子どものころから知っていただけでなく、彼の影響を受けて成長したといったほうがよいでしょう。叔父は驚くほど人好きのする人でした。いつも親切で、陽気なダウ -- 叔父はふだんこうよばれていました。 -- は、すべての人をひきつけずにはおかない天性の魅力を備えていたのです。そして、決して威張ったことがなかったので、学生たちは、どんな質問でもすることができたのです。
私が叔父の話をノートしはじめたのは、まだ中学生のころでした。それからかなりの年月を経、あの自動車事故による傷がいえてからあと、叔父はよく自分の今までのことを話してくれ、私は何時間もノートしました。こうして、しだいにたまっていった資料を読者のみなさんに紹介するのは、自分の義務だと私は考えたのです。
しかし、叔父の友人や門下の物理学者の方々の御協力がなかったならば、この本はとうてい書き上げられなかったでしょう。(「著者まえがき」より抜粋)

量子力学と私:朝永振一郎

内容:
「大学3年で専門として当時はじまったばかりの量子力学をえらんだのはよかったが、何しろ新しい学問で専門の教官もおらず,勉強は困難をきわめた」後にノーベル賞を受賞した物理学者朝永振一郎(1906-79)が、ともに育った量子力学の歴史、くりこみ理論、素粒子の世界をやさしく語る。ノーベル賞受賞講演(英文)を収録。

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2018年11月3日(土)に追記:

新数学シリーズの最終巻。伊藤清三先生の「偏微分方程式」。(目次1目次2



偏微分方程式:伊藤清三

内容:
培風館の新数学シリーズは出版当時、高校上級から大学一般教養に向けた参考書という謳い文句であったが、この「偏微分方程式」はシリーズ最後の26番目で、何となく敷居が高い感じがして買いそびれていた。改めて読み返してみると熱伝導、波動、Laplaceの各方程式を取り扱う内容で解の存在定理まで論じられているが、工学的には同じ培風館・応用数学演習2の初めにある「偏微分方程式(初等解法)」の章の方が手早く全体を理解するには良いかも知れない。あとがきに挙げられてる参考書は、当然古いが有名なものばかりで、懐かしく参考になる。(アマゾンのレビューより引用)

明倫館書店の店内で買った本。左から1000円、1500円、1200円。



天体力学のパイオニアたち―カオスと安定性をめぐる人物史〈上〉」(紹介記事
天体力学のパイオニアたち―カオスと安定性をめぐる人物史〈下〉」(紹介記事

内容:
天体力学とは、太陽系内の惑星の運動に代表される、ニュートンの万有引力を及ぼし合う物体の運動を論じる学問である。なかでも太陽系の安定性の問題には、数多くの数学者がエネルギーを費やしてきた。フランスのポアンカレ、ロシアのコルモゴロフ、アーノルド、米国のバーコフ、スメールなど、煌星のごとくである。本書は、カオスや安定性の概念が天体力学の問題からいかに発生したかを、生身の人間の営みを通して生き生きと描いた大河ドラマである。

「数理解析のパイオニアたち」(シュプリンガー版)(丸善出版)(紹介記事

内容:
20世紀の現代数学から見て、17世紀の天才たちはどこまで到達していたのだろうか?本書は、現代ロシアの世界的数学者アーノルドが、17世紀のニュートンやホイヘンス等による近代数学の萌芽を振り返り、それらが200年後、300年後にどのような形で開花することになったかを独自の切り口で語ったものである。数学上の業績の解説だけではなく、ニュートンとライプニッツの先取権争いや、ニュートンとフックの確執など、伝記的な挿話も織り交ぜられ、生き生きとした興味深い読み物となっている。

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2018年11月4日(日)に追記:古本まつりの最終日

左から1000円、2000円、700円で、量子力学2だけ道路側の本棚、あとの2冊は店内で購入した。



量子力学 (共立物理学講座 (14)) - 1984
量子力学 (共立物理学講座 (15)) - 1972
量子力学演習 (共立物理学講座 (16)) - 1977

内容:
従来の量子力学1に散乱の問題を加えて全面的に補筆し、量子力学の基礎的体系全般を平易に解説。1.量子力学の形成 2.量子力学の原理 3.1次元の問題 4.球対称の問題 5.状態と物理量の表現 6.近似方法 7.多電子系の取扱い 8.散乱の問題 9.粒子数表現 10.輻射場の量子論 11.相対論的量子力学

「9. 粒子数表現」の最後にファインマン図のとても詳しい解説がある。(ページ )この部分はおそらく「相対論的量子力学(量子力学2改題):森田正人、森田玲子」の森田正人先生による執筆だと思われる。

店内で900円だったので購入。数学者の伝記は面白い。特にこれは自伝だからなおさらだ。後にシュプリンガー、丸善出版から同じ本の増補版を上下に分けて出版しているが、こちらは中古で上下巻を揃えようとしても値段が高い。



アンドレ・ヴェイユ自伝―ある数学者の修業時代」(リンクは増補版も含めて開くようにしておいた。)

内容:
波瀾万丈の生涯を綴ったドキュメンタリー、小説以上に面白い天才数学者の手記。パスカルの幼少時代とも比べられた類い稀な才能を持つ天才数学者アンドレ・ヴェイユの手記。20世紀を生き抜いた一知識人の修業時代の記録であると同時に、人間観察の書である。

波乱万丈の生涯を綴ったドキュメンタリー
ユダヤ系家族のこと/飛び級を繰り返した神童時代/エコール・ノルマルで数学をどう学んだか/学位論文(モーデル-ヴェイユの定理)ができるまで/インドで数学を教える/ブルバキ誕生秘話/スパイ容疑で死刑囚に/監獄から監獄へ/アメリカに渡って/妹シモーヌ・ヴェイユの死

僕が買っていない増補版は:2ヴェイユがこの自伝を書いて亡くなった後に見つかった貴重な写真や、ヴェイユと交流のあった日本人数学者(彌永昌吉,佐武一郎)による追想記、訳者稲葉延子によるヴェイユ家アパルトマン訪問記を増補編集した新版。


関連記事:

第58回 神田古本まつり、第27回 神保町ブックフェスティバル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4be923929c44b1928997b42eebd41c47

第57回 神田古本まつり、第26回 神保町ブックフェスティバル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c168df7016fa0a22b023894f4f6a725a

第56回 神田古本まつり
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e6f8747520c13a604be12dc5c9fdfd2c

第25回 神保町ブックフェスティバル
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2d423e662d49ff313acec5c991b6399e

第51回 神田古本まつり
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c8b3a07e28fd98a1f3f7feb852e1d2b1


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4 コメント

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Unknown (オライトイラオ)
2018-11-02 21:33:00
神田古本まつりは、いろいろな書物や掘り出し物もあって楽しそうですね。

理工系の書についてですが、新しいものは過去の内容を網羅して、加えて最新情報が掲載されているので、勉強するなら新しい本の方が良い様に思いますが、古い理学書にも利点はあるのでしょうか?(古本市は多くは安価と思いますが)


数回前の、橋本先生の時空・深層学習の回のときは、理解不足から敷居が高くてコメントを控えていました。

量子重力学と量子色力学が異なる次元で等価であるとか、どちらが先か知りませんが、ホログラフィ理論はホログラム画像と通じるところなどが興味を引きました。理論化される中で、電波望遠鏡などの宇宙画像はいったい何を表しているのか、人は何をどう観ているのかが疑問に思えてきました。(古代から人間は適者生存で身近な世界を2次元或いは3次元的に見ることに慣れてきたという意味で)
もっともそれが新説につながるところなのかも知れませんが。

返信する
オライトイラオさんへ (とね)
2018-11-02 23:50:34
オライトイラオさんへ
お久しぶりです。
古本まつりの本棚は、買われるたびに古本が補充されるので、行くたびに違う本が見れます。

> 勉強するなら新しい本の方が良い様に思いますが、古い理学書にも利点はあるのでしょうか?

技術書や教育的な目的で書かれた理工系書籍についてはおっしゃるとおりですが、物理学や数学などには名著があるので、そのような本は古くてもじゅうぶん読む価値があります。文学の名著の価値とは少し意味合いが違いますが、いわゆる「天才」が書いた本は、未来永劫価値が保たれるのですね。

あと、天才が書いた名著でなくても、物理学や数学ではその本が書かれたときまでに、理論が完成、成熟していて記述内容がしっかりしていれば、古い本であっても価値は損なわれません。もちろん新しい本にも良いものがたくさんありますから、どの本にするか迷うことになります。私が今回買った「原子核物理学」や「分子軌道法」は、こちらの基準にあてはまります。(天才が書いた名著ではありません。)
返信する
Unknown (オライトイラオ)
2018-11-06 19:36:38
質問にご返答くださり、ありがとうございました。

確かに発見者・天才の著作は価値がありますね。古本ではありませんが、ちくま文庫などで出版されている科学者の名著は読んだことがあります。

また、新しい理工書の場合は最近の流行りというか、有用性が重視されるために、今は必要度が低いとみて掲載されない分野もありそうです。稀にですが、そういう事項が研究対象になる場合があって、古い文献しか載っていないこともあると思いました。
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オライトイラオさんへ (とね)
2018-11-06 20:32:21
オライトイラオさんへ
どういたしまして。
「ちくま学芸文庫」には感謝しています。読者数が限られるでしょうから、赤字覚悟で出版しているのだと思います。
返信する

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