ポケコンを買ったせいでビョーキが再発してしまったようだ。(参考記事:「SHARP PC-1450 (1985)、CASIO FX-860P (1987)」)今日紹介するのは、関数電卓としては珍しい大き目サイズ、事務用電卓として使えるCASIO fx-650M (199X)だ。
PCやスマホで電卓が使えるとはいえ、事務用電卓は何かと便利である。手元に2つほど持っているが、数年ほど前からカシオのこの関数電卓が気になっていた。ヤフオクやメルカリではときどき見かけるし、それほど高額ではない。70年代、80年代のカシオ電卓の雰囲気を受け継いでいる。つい、ポチってしまったのが月曜のことだ。
中古市場ではレアでないにもかかわらず、ネット上にこの電卓の情報は少ない。発売年月がはっきりしないのだ。このURLから1995年のカシオ電卓のカタログがPDFでダウンロードできる。11ページ目にこの電卓が掲載されているから、この年には「使いやすい大きめサイズ」、関数の種類を抑えた7,900円の廉価版として販売されていたのだとわかる。10進だけでなく、2進数、8進数、16進数との相互変換、計算ができるのがこの電卓のよいところ。
日本で消費税が導入されたのは1989年だから、事務用電卓であれば税率キーがあってもおかしくない。しかし、この電卓には税率キーがない。
そして商品が届いた。内臓電池は消耗していて、開けてみたところ交換しにくいようだ。ソーラーパワーだけで動くからそのまま使うことにした。
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そしてさらに不思議に思ったのは関数の計算速度なのである。三角関数、指数・対数関数の計算は、それぞれ0.5秒ほどかかる。先ほどのカタログの同じページに掲載されている他の関数電卓だとそれらは瞬時に計算され、表示される。けれどもこの電卓の計算速度は、精度が2桁高いとはいえ1977年発売の手帳型関数電卓CASIO fx-2200と同じなのだ。(参考記事:「思い出の関数電卓(CASIO fx-2200、SHARP EL-586)」)
事務用電卓サイズの関数電卓は、他のメーカーも含め、僕が知る限り後にも先にもこのCASIO fx-600シリーズの2機種だけである。fx-650Mの前にはfx-600が販売されていたようだ。fx-650Mには科学定数キーがあり、fx-600には科学定数キーがない。それはここやここに公開されているPDFファイルを見るとわかる。日本で販売されていたものには「M」がつき、海外で販売されていたものには「M」がついていないようである。英語の操作マニュアルは、ここからダウンロードできる。
CASIO fx-650 manual (English)
https://casio.ledudu.com/images/calculs/casio/manuels/fx650.pdf
このような大きめサイズ、事務用電卓っぽい関数電卓は、他のメーカーを含め、僕が知る限りではこの2機種だけである。今でも需要はあると思うし(ツイッターで検索してみる)、復刻版の「fx-650M II(仮称)」(できれば12桁)が開発、販売されるのを僕は期待している。そのように昨年ツイートしたところ、カシオ計算機の公式アカウントからは「開発に伝えました!」とご返事をいただいた。(ツイートを見てみる)
しかし、この電卓が発売されたのはいつなのだろう?