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【1043冊目】クルーグマン教授の経済入門


kurogenkokuです。
1043冊目は・・・。

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クルーグマン教授の経済入門
ポール クルーグマン 著 ちくま学芸文庫


著者は言わずと知れた、ノーベル賞経済学者 クルーグマン。本書で伝えたいことは単純明快です。

*****************
経済にとって大事なことは、人の生活水準を左右するもの。
それは生産性、所得分配、失業だけ
*****************

前半部分は、そこに至った結論を、貿易赤字や財政赤字が与える影響を、実際起こったことを背景にしながら紐解いていきます。読みごたえがあるし、勉強になります。


ところで面白いのが、最終章「番外編」で同教授の日本に対する見方が展開されていること。
本書の初版が1998年なので、いわゆる日本経済の低迷期における処方箋を著者なりに考えているのですが、今日の日銀の金融政策や昨日始まった消費増税をどうとらえているか理解できます。


著者の主張を要約しますと、日本は生産キャパシティのかなり下で動いている経済なので、目下の問題は、需要の問題であって供給の問題ではない。またあらゆる面から見て、流動性の罠にはまっているため、従来型の金融政策は一切通用しない。
そのうえで、①構造改革、②財政政策、③金融政策、について提言します。

①構造改革
日本が構造改革が必要だということには同意するが、重要なのは、もっとみんながお金を使うように仕向けること。日本の議論を見ていると、経済を流動性の罠から押し出す理由がまるで見つからない。

②財政政策
流動性の罠に対する古典的なケインズ流の見方は財政政策(公共事業)であるが、日本はすでにもの凄い公共事業支出で経済を刺激しようとしてきたが失敗している。ムダな支出でも無いよりはマシだが、これでいいの?という疑問を抱かざるを得ない。

③金融政策
マネーサプライを一時的に変える金融政策は流動性の罠においては効果が無い。それは、従来のIS-LMの枠組みは静的で、一時的な政策効果と恒久的な政策効果を区別できないから。結果として、流動性の罠が永久に続くようだと示しているように見える
IS-LMでモデル価格が硬直的で無いと仮定するとマネーサプライを増やすと価格は同じ割合で上がるが、価格が硬直的な場合にマネーサプライを恒久的に増やすと、名目金利がゼロに張り付いて流動性の罠にはまっていても、金融拡大は未来の期待価格水準を上げて、結果としては実質金利を下げる。恒久的な金融拡大は、インフレ期待を引き上げて有効と考えられる。
そのためには、中央銀行が信用できる形で無責任になることを約束すること。日本において経済を拡大させる唯一の方法は実質金利を下げること。


「従来的でない金融政策」がポイントです。



【目次】
第1部 経済のよしあしの根っこんとこ
第2部 相も変わらぬ頭痛のタネ
第3部 政策問題
第4部 砂上の楼閣ファイナンス
第5部 アメリカの未来
番外編 日本がはまった罠

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