「何がそんなに可笑しいの?」
「うふふふ・・ 彼がなかなか現れなかったのよ。」
「どこで待ち合わせをしたの?」
「京都駅地下のコーヒーショップ[I]でなの。」
「ああ、あそこね。」
「午後2時に待ち合わせをして、その時点でどちらかが携帯で知らせることにしていたの。顔の写真を送るのも嫌だったしね。
私は2時10分前に着いて、そのお店に入ろうとしたら、入口に背の高い男性が立っていたので避けて中に入り、客を見回したけれど皆カップルか女性グループの客で、それらしき男性はいなかったわ。
仕方なく空いた席に着いて、入口付近を見ながら待っていたの。
だけどなかなか現れないのよ。
先程入口のところに立っていたゴマ塩頭の男性が出たり入ったりしているだけなの。
2時になっても中の客が出て行くだけで誰も入って来ないので、彼に携帯を入れようかと思ったけれど、何かの都合で遅れているのかもしれないと思い、もう少し待つことにしたわ。
入ってくるのは営業マンらしき二人連れの男性とかカップルだけ。」
「貴女、待ち合わせ場所を間違えたんじゃないの?」
「そう、私もそれに気が付いて、慌てて携帯を入れたの。
直ぐに応答があたので、
『待ち合わせ場所はコーヒーショップ[I]ですよね。』って訊ねたら、
『そうですよ。京都駅地下の・・・ 先程から待っていますが、都合が悪くなりましたか?』そう言うじゃない。
『私もずっと待っています。』
『ええっ! どこにいるんですか?』
こっちこそ『ええっ!』よねえ。
キョロキョロ見まわしてもいないし、するとまた携帯で、
『入口の所にいます。貴女は?』
何ですって! 入口のところにはあのゴマ塩頭の初老の男性しかいないではありませんか。
近寄って行って、『失礼ですが、Tさんですか?』
『もしかして秋絵さんですか?』向こうも驚いた表情で言ったの。」
「まあ、相手はそんなに老けて見えたの?
貴女は10歳も歳を誤魔化していたのだから、彼が分からなかったのは仕方がないけど。」
「そうじゃないのよ。」
秋絵はまた笑いが止まらなくなった。
やっと落ち着いて、先程はいらないと言っていたショウートケーキをパクパクと口に入れている。
そして話したところによると、相手も歳を偽っていて年齢が65歳という。
Yは秋絵をもっと若くてほっそりとした女性をイメージしていたらしい。
「酷いでしょう。
20歳もサバを読むなんて。」
「貴女だってサバ読んでいるじゃない。」
「だって私は10歳よ。だけど彼は20歳もよ。」
「五十歩百歩、相手を騙したことには変わらないと思うわ。
ところで その人はどんな人だったの?」
秋絵の目が急に輝きだした。
「65歳だけど、とても整った目鼻立ちをしていて、スタイルもいいし、歳よりはずっと若く見えたわ。」
「ふ~ん」
「それにインテリでね。話題が豊富で聞いていても飽きないのよ。
2時間があっという間だったわ。」
「それでまた会うつもり?」
「ええ、お茶をしたり、美術館へ一緒に行く約束をしてきたわ。」
「そんなお付き合いは、ご主人に悪いんじゃないの?」
「そんなことはないと思うわ。
ただの茶飲み友達じゃないの。」
茶飲み友達とはそんな間柄を言うのかしら。
真理は割り切れない気持ちであった。
「うふふふ・・ 彼がなかなか現れなかったのよ。」
「どこで待ち合わせをしたの?」
「京都駅地下のコーヒーショップ[I]でなの。」
「ああ、あそこね。」
「午後2時に待ち合わせをして、その時点でどちらかが携帯で知らせることにしていたの。顔の写真を送るのも嫌だったしね。
私は2時10分前に着いて、そのお店に入ろうとしたら、入口に背の高い男性が立っていたので避けて中に入り、客を見回したけれど皆カップルか女性グループの客で、それらしき男性はいなかったわ。
仕方なく空いた席に着いて、入口付近を見ながら待っていたの。
だけどなかなか現れないのよ。
先程入口のところに立っていたゴマ塩頭の男性が出たり入ったりしているだけなの。
2時になっても中の客が出て行くだけで誰も入って来ないので、彼に携帯を入れようかと思ったけれど、何かの都合で遅れているのかもしれないと思い、もう少し待つことにしたわ。
入ってくるのは営業マンらしき二人連れの男性とかカップルだけ。」
「貴女、待ち合わせ場所を間違えたんじゃないの?」
「そう、私もそれに気が付いて、慌てて携帯を入れたの。
直ぐに応答があたので、
『待ち合わせ場所はコーヒーショップ[I]ですよね。』って訊ねたら、
『そうですよ。京都駅地下の・・・ 先程から待っていますが、都合が悪くなりましたか?』そう言うじゃない。
『私もずっと待っています。』
『ええっ! どこにいるんですか?』
こっちこそ『ええっ!』よねえ。
キョロキョロ見まわしてもいないし、するとまた携帯で、
『入口の所にいます。貴女は?』
何ですって! 入口のところにはあのゴマ塩頭の初老の男性しかいないではありませんか。
近寄って行って、『失礼ですが、Tさんですか?』
『もしかして秋絵さんですか?』向こうも驚いた表情で言ったの。」
「まあ、相手はそんなに老けて見えたの?
貴女は10歳も歳を誤魔化していたのだから、彼が分からなかったのは仕方がないけど。」
「そうじゃないのよ。」
秋絵はまた笑いが止まらなくなった。
やっと落ち着いて、先程はいらないと言っていたショウートケーキをパクパクと口に入れている。
そして話したところによると、相手も歳を偽っていて年齢が65歳という。
Yは秋絵をもっと若くてほっそりとした女性をイメージしていたらしい。
「酷いでしょう。
20歳もサバを読むなんて。」
「貴女だってサバ読んでいるじゃない。」
「だって私は10歳よ。だけど彼は20歳もよ。」
「五十歩百歩、相手を騙したことには変わらないと思うわ。
ところで その人はどんな人だったの?」
秋絵の目が急に輝きだした。
「65歳だけど、とても整った目鼻立ちをしていて、スタイルもいいし、歳よりはずっと若く見えたわ。」
「ふ~ん」
「それにインテリでね。話題が豊富で聞いていても飽きないのよ。
2時間があっという間だったわ。」
「それでまた会うつもり?」
「ええ、お茶をしたり、美術館へ一緒に行く約束をしてきたわ。」
「そんなお付き合いは、ご主人に悪いんじゃないの?」
「そんなことはないと思うわ。
ただの茶飲み友達じゃないの。」
茶飲み友達とはそんな間柄を言うのかしら。
真理は割り切れない気持ちであった。
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