井戸水

足の悪い老母は留守番を買って出た。
88歳になる父にとっても、この時期の墓参りはかなりの負担になるだろう。
奈良に住む父を迎えに行き、私たちは滋賀県の草津にある墓に向かった。

その墓には水道がなく、井戸水が利用されている。
長年使い込んだポンプは錆だらけで、赤くて鉄臭い水が出た。
それが数年前に、新しいポンプに付け替えられたのだ。
透明になった水は冷たく、口をすすいだり、顔を洗うととても気持ちがいい。
「夏」を肌で感じるし、何より生きていることを実感させられるからだ。

これって、実はとても幸せなことなんでしょうね！