京賀塾道場日記(京都市山科区のキックボクシングジム)

日々の練習や試合での出来事等について普段は熱く、時にはまたーり語ります。“時々ぼやきも入りますよー”

たすきをつなぐ

2023-11-05 07:00:00 | 全般

石井の復帰戦から一週間が過ぎました。

12年ぶりの復帰戦。

ただこの12年間と言うのが

練習を継続していた12年間ではなく

最後の試合から

練習に来ても月に1回か2回、

年間で言うと20回も練習に来ていない期間。

特にコロナ以降は仕事の関係で

全く練習をしていなかった12年間です。

今年の2月に復帰すると

「もう一度試合に出たいです」

と私に言ってきました。

その時39歳、今月で40歳になる

復帰当初は腹筋50回もできないぐらいたるんだ腹、

一時は体重も70キロ台半ばまであった。

試合に出ると宣言してからは

仕事で来れないとき以外は

休まず練習に参加、

見る見るうちに体が引き締まっていった。

いくら昔やっていたとはいえ

40前の腹がたるんだ中年が

仕事で来れない日も走り込みと筋トレをし

たった9カ月で60キロまで体を絞り

リングに上がるって事は凄いことだと思います。

結果は3RTKO負けでしたが

試合翌日も練習に来て

後輩たちの練習のパートナーを買って出てくれる。

石井が復帰してからの過程を見ていた後輩たちも

やる気が出てきたのが見ててわかります。

 

ここから昔話になります。

15年ぐらい前、

どこの協会にも属さないフリーのジムは、

今ほど興業が多くない時代

どうやったらプロ興行に出れるかわからなかった。

総合のプロ興行の中でキックの試合を組んでもらったりはありましたが

それが本当にキックのプロとしてのキャリアになるのかもわからず

今の様にネットで情報が流れる時代でもなかった。

そんな時、2010年の1月の末だったか

NEXT☆LEVELさんから

セミプロの試合で欠場者が出たので

試合に出れる選手はいないかと連絡をいただきました。

確か試合まで数日しかなかったと記憶しています。

出たいが数日では調整ができないと躊躇している練習生の中で

櫻井君と言う練習生が

私が出ますと名乗り上げてくれました。

そして見事その試合に勝利した櫻井君に

NEXT☆LEVELの林塾長から

次回4月に行われるDEEP☆KICKへの出場枠をいただき、

初めてプロ興行へ出れると喜びました。

ただ、残念なことに櫻井君はその年の3月に大学を卒業し

4月からは警察官になることが決まっていたので試合には出れませんでした。

折角いただいた出場枠でしたので

代わりに石井を出場させていただく事になりました。

これが、京賀塾プロ第一号が生まれた経緯です。

そして、石井の復帰戦には櫻井君も応援に来てくれました。

櫻井君には今回の試合、どうしても来て欲しかったので

忙しい中、来てくれるとわかった時は本当に嬉しかった。

 

17歳ぐらいからうちに来ていた石井は、

後のK-1王者になる山崎と二人で

京賀塾の期待の若手でした。

いつかこの二人をプロデビューさせたいとずっと思っていました。

しかし石井は2009年の秋ごろから体調を崩し

2010年の1月にオファーをいただいた時

本来なら櫻井ではなく石井を出場させようと思っていたのですが

まだまだ体が本調子ではなく

試合に出れる状態ではなかった。

でも4月のDEEP☆KICKには

何とか間に合いそうだという事でエントリーし、

本格的に練習を開始したのがその年の2月。

DEEP☆KICKではその大会から始まった

60kg級関西最強決定トーナメントに

アマチュアの時の実績を認められ

初めてのキック興行出場でありながら

トーナメント出場者の一人に選ばれました。

しかし、本格的に練習を始めて直ぐに

スパーリングで眼窩底骨折をしてしまい

練習に復帰できたのが試合2週間前。

試合の結果は3R判定負けとなりましたが、

石井が繋いでくれたおかげで

次回興行には息子の優翔がDEEP☆KICKに参戦することができ

2年後には石井が巻けなかった60kgのベルトを

優翔が第2代王者として巻くことができました。

 

こうやって皆でたすきを繋いでくれたおかげで

何人もプロ選手を輩出することができました。

しかし、段々自分の我だけを通す選手が増えだし

チームの事を考えず自分の事だけを主張し

好き放題やって辞めていく選手が出てきました。

そう言う事もあり、

もうプロ選手を育てるのは止めようと考えていましたが、

石井が今回切れかけた「たすき」を繋いでくれたおかげで

もう一度プロ選手を育てても良いかなと思えるようになりました。

 

個人競技であってもチームワークが無いと強くなれない。

お手本を見せてくれる先輩の背中を追いかけ下の者が育つ。

そしてその者たちがまたその下の者の良いお手本になる。

 

そう言うジムをこれからも作っていきたい。

 

 

 

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