夕暮れ,風が吹き抜ける路地に打ち水をする。日陰になり,柄杓で撒いた水がゆっくり蒸発するので涼しさが長持ちする。風呂上がり,縁台を出し 将棋を用意,蚊取り線香に点火し,さらに「一ノ蔵すず音GALA」とシャンパングラスも冷やして友を待つ。勝ち負けは二の次,お互い将棋盤に向かい合ってるだけで満足,次の手に悩む禿げ頭を見てるだけで,穏やかに時が過ぎる。大戦の混乱の中で生まれ,令和のこの年迄家族を守り 病院通いしながらも生き延びて,将棋の相手をしてくれるこの空間。残り僅かな時間を一緒に過ごす夕暮れの縁台は何故か,ノスタル爺にしてしまう?風鈴の音か一ノ蔵を注ぐ音のせいか。
将棋の駒の書体は100種類以上有ると聞いて驚く。四大書体と言われる,金旗,菱湖,水無瀬,源兵衛清安。中でも幕末に完成したと言われる 玉の字のテン(、)が王の外に出ている書体が特徴の〈菱湖,巻菱湖〉が棋士からの人気が高いらしい。
「夕涼みよくぞ男に生まれけり」を詠んだ其角は酒好きで満45歳で早死したそうだ。
浴衣ははだけ,褌が緩んでも気にせずに,団扇であおいで風を送れば,ああ男に生まれて良かったと思う。男の為のもぐら褌は,他の褌と異なり筒状なので 緩んでも横からこぼれ出ない。使い古しの?見苦しいものを曝け出さない。パッドを装着すれば,ちょい漏れも安心な夏の夕暮れ,縁台将棋。